モノの議会
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内容
本書は、近代が「自然」と「社会」を二項対立的に捉えることに焦点を当てた「科学の人類学」である。ラトゥールは、近代以前の人々は、そのような区別をしていなかったと主張する。地球温暖化、HIV/AIDSのパンデミック、新たなバイオテクノロジーなどの現代における公共的な関心事は、政治、科学、一般向けの言説、専門家による言説が深く混ざり合い、もはや単純な自然と文化の二元論では捉えられなくなっている。この不整合性がポストモダニズムや反近代主義の潮流を生み出したとされる。ラトゥールは、近代における自然と文化の区別は実在したことがないと主張し、社会と自然の世界を再接続しようと試みる。つまり、我々は自身を「非近代」あるいは「脱近代」 と捉えることがより有益であろうと語る。そして、「モノの議会」という概念を提示し、自然現象、社会現象、それらをめぐる言説がそれぞれ専門家によって研究されるべき個別の対象としてではなく、人、モノ、概念の相互作用によって作り出され、精査される「ハイブリッド」として捉えるように思考の再構築を迫る。