AIは民主主義を進化させるか?
https://www.youtube.com/watch?v=PHnH3KsCWHI&list=PLHsuZp6_Tsv9NlzuJwDNqf7ezKkp6O9MU&index=5
Plurality Tokyo Namerakaigi #2
17:20-18:00 セッション5 AI は民主主義を進化させるか?
​青山柊太朗(blu3mo)、Colin Megill、Audrey Tang、安野貴博。モデレーター: Akinori Oyama
パネリスト
Audrey Tang(台湾・前デジタル担当大臣/Plurality 共著)
Colin Megill(Polis 創設者・Computational Democracy Project)
安野 貴博(小説家・ソフトウェア開発者・東京都知事選2024候補者)
Blu3mo(青山柊太朗)(デジタル民主主義2030 技術リード)
1. 東京都知事選で試した「AI×民主主義」の具体例
Talk to the City
X・YouTube・Yahoo!コメントを自動収集し意見クラスタ可視化
“ブロードリスニング”で有権者の批判/共感を即時把握
GitHub + A
マニフェストをPull Requestで改訂(120件→80件マージ)
OSS開発フローを政策策定に応用
24h AIアバター「AIあんの」
有権者の質問に即応・世論を学習
パーソナライズ回答で関心喚起
2. デジタル民主主義2030
大規模AI仲介型熟議 (Idobata)
1.3億人が同時に“AIと対話” → 要旨をAIが集約
各自が納得度を更新し 熟議→再回答 を反復
広聴AI:パブリックコメントのトピック選別・要約をAIが支援
Polimoney:政治資金をリアルタイムで自動公開(API連携)
3. AI が民主性を高める“High/Low hanging fruits”
Low-hanging(すぐ実装可)
AIによる投稿・会議 要約
オープンモデルでの 検証可能なスパム/ボット検知
“要約モード”は幻覚を起こしにくく、市民の **文脈共有** を促す(Audrey)
High-hanging(次段階)
Recommendation Feedの再設計
*For You* → *For Us* に戻し、エンゲージメント依存を脱却
「10年間の悪夢=中毒型フィード」から卒業し、多様性をエネルギーに変える(Audrey)
4. リスクとガバナンス論点
1. 操作される仲介AI
ファシリ側が無意識に議題を誘導する危険
→ ロジック・プロンプトの **完全公開** が必須
2. 自分だけ“賢くなった”つもり問題
AIに思考を委ねると「市民の筋肉」が衰える
→ AIは“Assistive”であり **会話ネットワーク** を維持する設計に
3. 権威主義国の情報工作
メタ物語=「民主主義は混乱」
→ 多様性を活かした政策成果で pre-bunk(先回り無効化)
5. Q&A ハイライト
政府の役割は?
★Colin:技術実験を“大胆かつ安全”に回す制度設計
★Audrey:**市民発データ×オープンソース** の“サンドイッチ”構造でAIの無害化
教育との接続
台湾ではカリキュラムに市民熟議を組込み、若者の“免疫”と自己効力感を養成。
6. まとめ
AI は「代表制」を置き換えるのではなく、市民が“社会的筋肉”を鍛えるトレーナーになり得る。
その鍵は
1. *Assistive*な設計(要約・質問・検証に徹する)
2. ロジックとデータの完全公開(市民が監査人)
3. ローカル → グローバルへと実証を積み上げる“実験的民主主義”
日本の課題は「自己効力感18%」と低いこと
オープンなAI熟議と参加型予算の実運用が、その最短ルートである。