3.6 本章の結論
※要約
本章では、コモンズアプローチの創造的源泉の一つであるクリストファー・アレクサンダーによるパタン・ランゲージ(PL)およびPL理論をレビューし、批判的に方法論を継承する可能性を探った。
1項でPLの概説を行った後、2項から4項でPLの研究系譜と他分野への展開を概観・整理した。5項では、PL理論の批判的継承可能性を以下の3つの観点から検討し、仮説を立てた。
PLの発展に対する仮説①
PLは単なるナレッジスキルの方法ではなく、戦略的に価値観を表現し伝達することが可能
1977年版PLとPL理論は異なり、Alexanderの美とは異なる「さまざまなPL」を創造可能
PLの発展に対する仮説②
パタン化対象、パタン更新システム、パタン共有メディアの3点について自覚的に検討する必要がある
PLの発展に対する仮説③
パタンおよびPLの記述形式にはバリエーションがあり得る
新しいメディア・テクノロジーの特性を生かした記述形式の発展が可能
本章では、特に「前期パタン・ランゲージ」において実践されたPLの現代的応用可能性に着目し、上記の3つの仮説を立てることで、PL理論の批判的継承の方向性を示した。