S-1はeGFR区分で投与量を調整してもよい
前提
体表面積に応じた投与量
BSA < 1.25 m^2 : 40mg/回
1.25 ≤ BSA < 1.5 m^2 : 50mg/回
1.5 m^2 ≤ BSA : 60mg/回
適正使用ガイドよりCrClベースの投与量調整区分
80 > CrCl ≥ 60 mL/min : 初回基準量(必要に応じて1段階減量)
60 > CrCl ≥ 30 mL/min : 原則として1段階減量(40未満では2段階減量が望ましい)
Goto K, Fujiwara Y, Isobe T et al. Pharmacokinetic study of the oral fluorouracil antitumor agent S-1 in patients with impaired renal function. Cancer Sci 2019 110, 1987-1994.
方法の概要
S-1を服用している固形癌患者の服用8日目に採血して血中濃度を測定した。また、投与開始15日間の毒性を評価した。
この研究で使われているeGFR(mL/min/1.73m^2)ベースの投与量調整区分
1. 80 ≤ eGFR : 初回基準量
2. 50 ≤ eGFR < 80 : 初回基準量
3. 30 ≤ eGFR < 50 : 1段階減量
4. eGFR < 30 : 2段階減量
主な結果
2、3、4の5-FUのAUCは類似していたが、1のAUCは有意に低かった。
血小板数減少は1と比べて3で多かった。
感想
- PK的にはこの分類で問題なさそう。ただし、4は3人しかいない(他は各10人)ので、eGFR30未満については2段階減量すれば良いかは分からない(あとeGFR20未満も除外されているので注意)。
- 毒性については数が少ないので何とも言えない。
- 有効性も気になるところだが、PKが類似しているのであればそれなりに期待できそう。