心不全治療薬の過少投与量は転帰に影響するかもしれない
Overview
Title: Comparative Effectiveness of Dosing of Medical Therapy for Heart Failure: From the CHAMP-HF Registry
Author: STEPHEN J. et al.
Year: 2021
Method
前向き観察研究
適格基準
慢性心不全
駆出率 ≤ 40%
経口の心不全治療薬(利尿薬、ACEi、ARB、BB、MRA、降圧剤、血管作用薬/変力薬や他の心血管薬)を1つ以上使用
除外基準
鎮痛ケアを受けている又はホスピスにいる
余命1年未満
心移植、左心補助循環装置や透析の既往又はその予定がある
臨床試験へ参加している又は参加が予想される
HFrEF薬剤クラスのベースラインでの投与量を調査し、診療ガイドラインの推奨目標投与量の達成具合に応じてグループ分けした
ACEi/ARB/ARNIとBB
目標投与量 ≥ 100%
50% ≤ 目標投与量 < 100% : ①
目標投与量 < 50% : ②
投与なし : ③
MRA
目標投与量 ≥ 100%
目標投与量 < 100% : ①
投与なし : ②
調整した交絡因子
年齢
性別
人種
SBP
心拍数
EF
クレアチニン
登録前12ヶ月以内心不全入院
既往
AF
COPD
CAD
糖尿病
高血圧
慢性腎障害
植込み型除細動器
心臓再同期療法
ベースラインの使用薬剤
保険
年間世帯所得
Key findings
ACEi/ARB/ARNI
目標投与量と比較して、より少ない投与量は24ヶ月時点の死亡の増加と関連した。
① HR 1.16 95%CI 0.87-1.55
② HR 1.37 95%CI 1.05-1.79
③ HR 1.75 95%CI 1.32-2.34
心不全入院も同様の結果であった。
① HR 1.08 95%CI 0.90-1.30
② HR 1.23 95%CI 1.04-1.47
③ HR 1.29 95%CI 1.04-1.60
BB
目標投与量と比較して、より少ない投与量は24ヶ月時点の死亡の増加と関連した。
① HR 1.30 95%CI 1.00-1.69
② HR 1.41 95%CI 1.11-1.79
③ HR 1.24 95%CI 0.92-1.67
心不全入院は投与量と関連しなかった。
① HR 0.98 95%CI 0.82-1.18
② HR 1.12 95%CI 0.95-1.32
③ HR 0.88 95%CI 0.71-1.10
MRA
目標投与量と比較して、より少ない投与量は24ヶ月時点の死亡および心不全入院と関連しなかった(以下は死亡および入院の順)。
① HR 0.98 95%CI 0.72-1.32
② HR 0.97 95%CI 0.80-1.18
① HR 0.98 95%CI 0.80-1.21
② HR 1.00 95%CI 0.88-1.14
Significance/ implications/ questions
ACEi/ARB/ARNIは用量が転帰に影響を与えやすい一方で、BBとMRAはそうでもない
100%未満の患者の投与量が最大耐用量である可能性(Limitationで著者から指摘あり)(そもそも最大耐用量自体曖昧なものな気がする)
eGFR低下患者では腎排泄型薬剤は投与量が少なくともeGFRが保たれている患者でのGDMTになりうるが、この点はどう考えるか。
日本人のGDMTの目標投与量は?
最大耐用量が高い人(多い投与量でも問題ない人)が元気であるという可能性は?
References
GREENE STEPHENJ, BUTLER JAVED, HELLKAMP ANNES et al. Comparative Effectiveness of Dosing of Medical Therapy for Heart Failure: From the CHAMP-HF Registry. Journal of Cardiac Failure 2021;