スプラトゥーンと世界
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この豆腐バトルが原型だったそう
新しいキャラクターをつくることには
必ずしもこだわっていなくって、
まずは新しい構造のゲームをつくろうと。
岩田
そこ、けっこう大事だと思うんです。
情報開発本部のものづくり、
つまり宮本(茂)さんのものづくりというのは、
デザインからではなく、機能から派生して、
そのあとにデザインに行き着くじゃないですか。
新しい構造のものをつくるときは、
“プログラマー最強説”というのがあるんですよね。
散らかっていた機能を
“インク生命体”でできること、
“ヒューマン体”でできることを整理しなおすことにして、
ZLボタンで“インク生命体”になり、
ZRボタンで“ヒューマン体”がインクを発射する、
というように機能を振り分けました。
“インク生命体”でインクのなかに入ると、
速く移動するようにしようとか、
“ヒューマン体”で敵のインクを踏んだら、
足が取られるようにしようとか、
トレードオフになるようにしました。
天野
その時、自分たちは
“強いちから”を手に入れたように思いました。
このゲームには大きな柱が立ったので、
もうそこに何を入れても大丈夫だろうと。
野上
すると、ゲームのなかに
いろんな人のセンスがどんどん入るようになったんです。
井上さんが、アートディレクターとして
まとめてくれましたので
ひとつのものにまとまってるように見えるんですけど。
岩田
たとえばどんなことですか?
野上
ヒトのキャラクターを
いろんな衣装でカスタマイズできますけど、
それがストリート系のファッションになってるのは、
そういうのがすごく好きなスタッフがいたからなんです。
岩田
大きな柱が立ったからこそ
自分たちの好きな世界で埋められたんですね。
野上
そうです。あと、音楽もそうで、
インクを使ったナワバリ争いは、
あの世界ではスケボーのような
“やんちゃ”な遊びというイメージなのですが、
それに合うようなロック調の曲をつけたりして、
自分たちがいいと思うものを
ひたすら詰め込んだ、という感じでしたね。
それはある意味、
“悪ノリ”に近かったんですけど(笑)。
天野
そのような“悪ノリ”をしても
イカとヒトを切り替えて遊ぶアクションゲームという
基本コンセプトはまったく壊れなかったんです。
岩田
それだけ“強いちから”だったんですね。
天野
はい。いろんなものを載せても、
揺るがないほどの強度があった、
ということなんだと思います。
この入れる部分を民主化したらすごいことになるよねー
このゲームのキモでもある、
「インクを塗るのが気持ちいい」
「それで陣取りをするとおもしろい」
そして「戦略が生まれる」という遊びのサイクルは
E3の時点でもできていたんですけど、
お客さんに遊び続けていただけるものには
なっていませんでした。
そこで、そのサイクルの外側に
もうひとつ大きなサイクルをつくらなければ、と考えて
実際にいろんなものをつくっていきました。
人の性格によって行動が分かれるのが
おもしろいんです。
佐藤
いきなり敵陣にガーッと突撃する人もいれば、
地道に足場を固めながら進む人もいて、
人によってプレイスタイルが分かれるのが
おもしろいんですよね。
そういう構造を作ると深みが出るのね