第4回のQ&A

前回のSlidoから

おすすめローグライク作品を教えてください。

アドベンチャーゲームに属する最近のゲームが中々想像できないです…いわゆるノベルゲームはその系譜にあるのでしょうか。少し離れる気はしますが、「逆転裁判」シリーズや「デトロイト」なども特徴は近そうです

一般的な話題

課題に関して、長すぎると減点とあったが目安の文字数を教えてほしい。

ADV/RPG関係

アドベンチャーゲームという名称はColossal Cave Adventureという固有のゲーム名に由来するということであったが、Colossal Cave Adventureのどのような特徴がどれだけ見られたらそれはアドベンチャーゲームと言えるというような明確な基準はあるのだろうか。アドベンチャーゲームと他のゲームジャンルとの境界は曖昧になってきているように感じる。

ドラクエとFFの区別がよくついていなかったので調べたりしてみていたのですが、これらはいずれもRPGなのでしょうか？ネット上ではこの二つが三大RPGに含まれていたりするのですが…

特にFFではプレイヤーが主人公というより主人公のキャラクターがあらかじめ設定されているので、これを「ロールプレイング」と呼べるのか疑問に思いました。

ドラクエは授業の説明を聞く限りADVだよなあと思います。

そもそも、RPGとADVの関係というか違いというかが、わかったようでまだよくわかっていないです。（ADVはRPGに包含されるのですか？）明確に区分することはできないってことでしょうか。

〔…〕ADVは適切なコマンドを選んでいけば物語が進むという形式をとっており、RPGのようなキャラクターのステータスといったものは存在しないのが特徴と述べられていた。これに関して以前何かの恋愛ゲームで形式は選択肢を選んで進めるADVの形をとっているが、その選択肢次第で相手キャラの信頼度などが変化し、ストーリーが変化するというゲームをやったことがあるのだが、これはADVではなくRPGなのか疑問に思った。もしこれがRPGならば、ADVはかなり狭い範囲のゲームであり、RPGの占める領域が広いということになるのだろう。

A. まずADVとRPG以外にもゲームジャンルはいろいろあるので、「ADVでなければRPGになる」といったことはありません。授業で説明したように、RPGはプレイヤーキャラクターの成長要素が最低限必要です。好感度や信頼度のようなパラメータがあるだけならADVと言われるかもしれませんね（フラグを二値ではなく多値にしたくらいの話なので）。もうちょっといろいろな要素が付け足されると「恋愛シミュレーション」と呼ばれると思います。

ADVとR P Gを区別する基準はどのようなものであるかという点が気になった。個人的には、R P Gが操作キャラクターの成長を通じて試練の解決を目指すものであるのに対し、 ADVには成長という概念が存在せず、鍵となるアイテムの収集や節目節目で提示される選択肢に応じた分岐を通じてストーリーが進行するという点で差別化されているように感じた。

A. おおむねそういう感じだと思います。

「恋愛アドベンチャーゲーム」に冒険の要素がないことを不思議に思っていたが、ゲームの内容が冒険するかどうかではなく、構造がテキスト中心かどうかという点でカテゴライズされていると知り、一つ疑問が解けた。改めてGoogleでアドベンチャーゲームを検索してみたが、Webサイトのカテゴライズや記述をざっと見たところ、テキスト中心寄りのものとアクション中心寄りのもの両方が包含されているように感じた。

A. 上4つの回答の通りですが、現代的な意味でのADVにとってテキスト中心かどうかは重要な特徴ではなくなっています。

アドベンチャーゲームの進化の形が興味深いと思った。ポートピア連続殺人事件は推理ゲームのようなものだったが、このようにコマンドを選んで行動し、物語を進めていくというストーリーゲームの源流を感じた。ここから恋愛ゲームなどの、マルチエンディングがあるゲームに繋がっていったのだろうか。ポートピア連続殺人事件がマルチエンディングものなのかはわからないが、マルチエンディングやルート分岐という発想はどこから生まれたのか気になった。RPGでもマルチエンディングのものがあるから、ストーリーのあるゲームが生まれたときに同時に発生しそうな発想ではあると思ったが、実際はどうなのか。

A. ゲームオーバー（失敗）としてのエンディングも込みで考えればそれこそADVやRPGやゲームブックの最初からありますが、そういうのではなく、異なる結末にいたる一貫したストーリーが複数あるという意味でのマルチエンディングはビジュアルノベル（1990年代）あたりから本格的になったのではないかと思います。恋愛シミュレーション／恋愛アドベンチャーもおおよそ同時期に発展します。ちなみに初代ドラクエのラストにも選択次第でゲームオーバーになる選択肢がありますが、そういう戦闘以外でおしまいになるタイプのゲームオーバーはRPGではだんだんなくなっていきますね。

前回・今回の授業を通じて、ざっくりとした認識だが、TRPGの戦闘要素やキャラクター要素がCRPGに、ストーリー要素（舞台設定など）がADVに発展したというイメージを持った。『Colossal Cave Adventure』の原案となるプログラムを書いたクラウザーはD&Dのファンであり、ファンタジーモチーフを取り込んだという話があったが、そもそもクラウザーがテキストベースで進行する形式のプログラムを思いついたきっかけのひとつにもTRPGがあったのだろうかと気になった。

A. そのイメージの通りだと思います。テキストベースのプログラムの直接のアイデア元がD&Dかどうかはわかりませんが、対話式というところで遠くはないと思います（Youで語りかけられるのも含め）。

RPGやADVはアクション要素がほぼなく、またアーケードゲームでは実現が難しいキーボードによる入力が必要だったりするため、PCでプレイするのに適していたジャンルだったと授業のスライドでもありましたが、『北海道連鎖殺人　オホーツクに消ゆ』のようなコマンド選択式のADVならアーケードゲームにでも移植できるのではないかという疑問が浮かびました。しかしそういった例が見られなかったのは、ADVやRPGがセーブ/ロードという機能を必要とし、アーケードゲームのワンコインワンプレイというシステムが適用できないゲームジャンルだったからでしょうか。

A. セーブ／ロードはADV/RPGにとって必ずしも必須ではないですが（あったほうが便利ですが）、単純に時間がかかる（なかなかゲームオーバーにならない）という点でアーケード向きではないというのはそうですね。お店としても同じ人に何時間もプレイされたら困りますからね。下の方のコメントの通りです。

RPGやADVがPCでプレイするのに適していた理由の1つとして、アーケードゲームでは実現が難しいキーボードによる入力が必要だったという点があげられていたが、それに加えて「プレイに時間がかかる」ことも大きな理由だと考える。アーケードゲームは公共の場に置かれることが多かったため、長時間占有することが難しく、ストーリー性のあるゲームを初めから終わりまでやりきるには適さなかっただろう。

これに関連して、初期のRPG・ADVにおけるセーブ機能についても気になった。というのも、セーブ機能の有無によってプレイヤーの層や彼らのプレイスタイルが変わってくると考えられるからだ。ドラクエでは「ふっかつのじゅもん」というものがあったようだが、それ以前の作品のセーブ事情も知りたい。

ADVの新たな展開として、シナリオを手に入れるために新たなカセットを購入するのではなく、シナリオ自体を購入するという形態の誕生があるのではないかと考えた。これにより、新たなADVを始めるハードルが下がったのではないかと推測する。個人の、そのゲームに対する投ずる時間と投資する実際の金額に比例関係のようなものが生まれるというのも面白いと感じた。これは、伏線などの作りこまれた世界観が売りの「オホーツクに消ゆ」や「ポートピア連続殺人事件」のような初期のADVに組み込まれやすい形態ではなく、乙女ゲームのようなゲーム形態に相応しいものであるように感じた。（推しの誕生日などのイベントごとに新たなシナリオを生み出しプレイヤーに購入させる、など）

この、シナリオ自体を購入させる形態はいつ生まれたのか。ADV開発当初から考えられていた形態なのだろうかと疑問に思った。

ADVの探検という要素は、オープンワールドゲームの登場に影響したりしているのでしょうか？

A. オープンワールドの登場はだいぶあとですが、ADVやRPGの本来の理念（プレイヤーがやりたいと思ったことをぜんぶできるようにしたい）を引き継いでいるジャンルだと思います。

いわゆるホラーゲームでADVに分類されるものは、いつごろから広まるのだろうか

ところでADVとノベルゲーの違いってなんなんでしょうか？

A. 反例はあるかもしれませんが、〈ビジュアルノベルはADVの一種だが、その中でとくに選択肢しかない（インベントリもない）ものがビジュアルノベル〉くらいの理解でいいんじゃないでしょうか。ビジュアルノベルは基本的に一人称の内語的な語りの形式をとるという特徴もありますが、これはジャンルの本質というよりはたんに様式上の主流がそうであるというだけな気がします。

これらの中で興味深く感じられたのは、日本におけるADVの発達です。コマンドを直接入力する従来のADVは難易度設定が難しいように感じられます（コマンドを難しくするとクリアにたどり着けないなど）。しかし、コマンドを選択式にすることで、根気強く続けることさえできれば、必ずクリアにたどり着けるようになると考えられるので、難易度設定も容易になり、その結果、プレイヤーもやりがいのあるゲームが登場することにつながったと思われます。このようなアメリカのADVにはなかったゲームスタイルを日本が先んじて生み出すことができたのは、ADVがアクション要素の少ないもので、そのストーリー性に重きを置いたものであったためだったと考えられます。つまり、技術面ではなく、アイデア面での優れた部分が目立つADVだからこそ、日本が先にコマンド選択式を生み出せたのではないかと考えています。この点について、先生の意見も教えていただけたらうれしいです。

★A. 文化史的な事柄の多くは、個別的で偶然的な要因によります。なので、国や地域や民族などの大きい単位での心理的な傾向性（それ自体疑わしいですが、仮にそのようなものがあったとして）に歴史的な要因を求めることは、よほどの証拠がそろわないかぎりしないほうがよいという意見です（偏見やステレオタイプにつながりかねないという意味で倫理的にもよろしくないです）。それとは別に、有効なコマンドを探すのが英語よりも日本語のほうがはるかに大変なので自然にそういう発想になった、くらいのことはあるかもしれませんね。

キーボードで入力する方法の方が先で、コマンド選択式の方が後から登場したことは意外であった。現在おそらくコマンド選択式のものが多く、私もコマンド選択式のADVをプレイしたことがある。コマンド選択式では登場人物とのやり取りが機械的なものになり、ストーリーへの没入感があまり得られないと感じる。最近、登場人物に自由にメッセージを送ることができるAI的な機能をもったADVが新しく登場し、ここでは本当に人と話しているかのようなリアリティがあるそうだ。それを踏まえると、初めはコマンドを直接入力する初期のタイプの方がコマンド選択式よりもストーリーに没入して楽しめるのではないかと考えたが、初期のものはすべてのコマンドが有効なわけではなく、ゲームの操作の他に何度もチャレンジしなければならないことがあるというのはストーリーに没入どころの話ではないと考えなおした。現在のAI的な自由なコマンド入力のADVと、初期のADVは表面的には似たような入力方式に見えるが、全く異なるものである。それでも、私はゲームのプログラムに詳しくはないが、コマンド選択式の方が、プログラミングが簡単そうに思えるのに後から登場したのは疑問に思う。

A. グラフィックUIもない時代なので、最初はコマンド選択式という発想がそもそもなかったのではと思います。実質的にコマンドのショートカットキーを見せているだけなので、プログラミングの手間としては大差ないと思います（コマンドを用意している以上、エラーメッセージに丸投げできないという縛りを考えれば、作業量的にコマンド選択式のほうが大変かもしれません）。

ADVが最初は文字情報のみで、グラフィックが搭載されていなかったというのは驚きだ。またキーボードで直に入力するコマンド式では、まず有効なコマンドを探さなければならないというのが非常に面倒な印象を受けた。なぜ最初からコマンド選択式のものではなかったのか、初期のADVプレイヤーは有効コマンドを探し当てるという作業さえもゲームの楽しさとして享受していたと考えるべきだろうか。

A. どうなんでしょうね。ある種の推理としての楽しさはあるのかもしれませんが、その後コマンド入力式が様式として持続しない（リバイバルもない）ことを考えると、普通に面倒だったんじゃないでしょうか。

RPG・ADVはアクション要素がほぼなく、キーボード入力が要ることからもPCでやることが自然であったという話について、のちにコマンド選択式にしたことでPC以外でもできるような筋道ができた、と言うことはできますか？その点で『北海道連鎖殺人　オホーツクに消ゆ』は画期的なものだったと言えるかもしれないなと思いました。

A. それはそうでしょうね。ファミコン版『ポートピア』が可能だったのは、コマンド選択式のおかげだと思います。

ADVの楽しみは、謎解きと探検、ストーリーを楽しむことにある。今の脱出ゲームもADVに含まれると考えればよいのか？

RPGやADVはテキストメッセージ、すなわち言語の重要性が強いが、日本において海外のRPGやADVはどれぐらい普及していったのか、また言葉の壁は感じられなかったのか気になった。

日本においてPC普及に伴って、PCでのADVが広まっていったとのことだったが、日本において初期に普及したADV（個人で調べてみたところ、その後ファミコンが登場してからも同様にだが）の多くがミステリー系のジャンルのもので、探検系のものがあまり見られないように思われた。系統の偏りの背景には技術的な要因があるのか？はたまた当時のトレンド的なものが起因しているのか？

A. これは同じことを思っていて謎ですね。実際にはミステリー以外もいろいろ出ているので、たまたま売れたのがミステリー系ということな気がしますが、ミステリーとADVの相性は明らかにいいでしょうね。

コマンド選択式は、『北海道～』まで採用されていなかったのか気になった。授業中、欧米ゲームでは想像力重視の傾向があるという話があったが、その風潮からすると、自分で考えて隠されたコマンドを探すとか、より自由度の高いコマンド入力を好みそうではあると思った。

A. それはひとつの理由としてあるかもしれません。

余談だが、子供のころ、コマンド選択によって進む漫画のような絵本を読んだことがあるが、アドベンチャーゲームを再現しようとしたものだったのかもしれないと思い出した。一見漫画のようにコマ割りがあるが、漫画のようなコマの配置順で読むことはできず、コマンドにそって指定されたコマにとび、読み進めるというもの。いくつかのエンドがあった。

A. ゲームブック（Choose Your Own Adventure）の一種ですかね。ゲームブックはADVやCRPGに近いゲームを紙の本でひとりで遊べるようにしたもので、1980年代に多少流行します。

多くのユーザーが一定レベルのプログラマーであり、様々な個人作のゲームプログラムが流通していた、というコンピュータが普及し始めたころの状況や、スペック的にアクション系ができない、アーケードゲームではできないキーボード入力が可能といった当時のコンピューターの特性を踏まえると、RPGやADVが広くプレイされていたことに納得がいくのですが、その後もこれら、とくにテキストアドベンチャーのようなゲームが人気を維持する理由が良くわかりませんでした。個人的には、本やマンガ、アニメや映画といった映像作品などで代用が可能であるように思われ、アクションゲームの登場やグラフィック性能の向上などとともに落ち目になる気がしました（ストーリーへの能動的な働きかけという特徴はあれど、最終的にすべて明らかになるという点では小説などと大きく違わない気がします）。RPGについても、明確な終わりが存在するという理由で自分はあまり遊ぶ気になれないのですが、これらを踏まえてもなおユーザーをひきつける魅力はどういうところにあると思いますか。テレビや紙とは異なる新たな媒体として価値があるということでしょうか。

A. アクションゲームとRPG/ADVはそもそも楽しみのポイントが違うので、互いの代替にはならないでしょうね。RPG/ADVは、非インタラクティブなフィクションともだいぶ違います。あとあたりまえの話ですが、フィクションの魅力はストーリーの中身だけではないです（もしそうなら映画でも小説でもあらすじだけ把握すればいいことになります）。好きでないものを好きになるのは難しいですが、他人が何かを評価する際の観点を理解するのはそこまで難しくないので、もうちょっと観察したり考えたり自分の作品鑑賞のあり方を内省してみてください。

その他

PC初期に開発されたゲームがテキストベースのRPGであり、それがPCのスペック的な問題だったというのが驚いた。アーケードのような動きを再現できなかったということはアーケードの方が技術的に上位だったということだろうか、それとも小型なPCには不可能だったということだろうか。また、ゲームのジャンル的な歴史や伝統はなかったのだろうか。自分はインベーダーのようなアクションゲームとRPGのようなゲームは並列で発展したと思っているが、実際には時代的な前後はあるのだろうか。

A. アーケードのマシンは汎用のコンピュータではないので（用途がひとつしかないという意味では洗濯機のようなものです）、技術的な上下というよりそもそもカテゴリーが違います。ゲーム用途に特化した意味でのグラフィックや操作系のスペックの点では、少なくとも1990年代半ばくらいまでは一貫してアーケードゲームが一番優れていますね。

1970年代末から個人用PC普及⇨日本でもPC をもつ人が増える。ある程度技術屋さん的な、オタク的な人がたぶん最初に手に入れた。使うにはそれなりに知識が要ったので、最初期では自分でゲームを作ったりする用途が結構あった。PC雑誌でソースコードが配布されるような形で広まっていった…といった話について、雑誌でコードが記載されるということは、多分雑誌の売り上げのいくらかがそのコードを書いた人に行っていたのだろうと思いますが（もしよければ報酬があったのかどうかをご教示ください）、そうであれば「商業化」の動きはこの意味でもあったと言えるのかなと思いました。

A. 読者投稿みたいなものなので、とくに報酬や印税などはないです（プロにサクラを頼むとかいうケースがもしあれば報酬が発生していた可能性はなくはないですが）。

ボートピア連続殺人事件など今ほどゲームの開発会社が発達していない中でどんな分業体制でゲームが作られていたのか疑問が生じた。

A. 最初のバージョンは堀井雄二がひとりで作ったはずです。ファミコン版は当時オリジナルのゲームも作っていた中村光一（チュンソフト）がプログラムを担当しています。PCゲームの場合、個人制作は珍しくないですね。プログラム、グラフィック、音楽・サウンドあたりは必要なスキルが明白に違うので、別々の人が担当することが初期から多いでしょうね（素養のある人はひとりでいろいろやったでしょうが）。ゲームデザイン（ディレクション）やシナリオを担当する人が明確にいるかどうかは作品によって違うと思います。

ファミコンには通信機能があり、株取引やJRAの馬券が買えたと聞きますが、通信やPC作品の移植といった点ではPCの代替としての側面があったといってよいのでしょうか？

講義の中でグラが無い方が想像力が刺激されて良いかもと仰っていましたが、グラが物凄く精密な現代のゲームには描写に関して想像力が働く余地は残ってないんでしょうか。

A. そういう言説があるというだけで、実際のところは人によって違うでしょうね。たいてい規範的な主張込みなので（「だから現代のゲームはよくない」みたいな主張の枕になる）、あまり文字通りに理解しようとしなくてもいいと思います。「想像の余地」の有無というのではなく、単純にリアリズム志向にすると何か不自然さがあったときに余計に目立つ（結果として統一性が損なわれて作品の価値が低くなる）という考えは普通かなと思います。ビデオゲームにかぎった話ではないですが。

記述的定義についての解説で、あるカテゴリーについて知ろうとするなら分類の定義ではなく実践を調べる方が適切とのことでしたが、我々が日々実践している分類は主に「なんとなく」といった素朴な感覚に基づいているとおもいます。だとすれば、ゲームの分類を考えるときも、対象としているゲームの諸特徴というより、そのゲームをプレイしているときの我々のゲーム体験からの説明を考えた方がより真相に迫れるのではないかと考えました。具体的にRPGの特徴を備えている作品ではなく、「今までRPGとされてきた作品と同じような楽しみ・感覚を我々に体験させてくれた」作品がRPGにカテゴライズされるというのが本当のところなのかなと思います。その場合、我々のゲーム体験の様相をどのようにして議論の俎上に乗せるのかという問題は残りますが・・・。

A. 「素朴な感覚」によるカテゴライゼーションであるからプレイ中の「体験」から考えたほうがよい、という見解だと思いますが、その理屈はちょっとポイントがずれているのではと思います。「体験」というよりゲームの（静的な）諸特徴についての「素朴な感覚」にもとづいてカテゴライズすることもありえるでしょうし、多くのゲームジャンルの分類については実際のところそのようにされていると思います。もちろん、ゲーム中の（動的な）プレイ経験についての「素朴な感覚」にもとづいて実際に種々のゲームジャンルが分類がされているのであればそれに注目したほうがいいですが、それこそ分類の実践がどうなっているかの問題ですね。

また、『夢幻の心臓Ⅱ』が『ドラゴンクエスト』に与えた影響が大きいというのは、誰が言っていることなのであろうか。そもそも、影響関係の有無というのはどう判断すれば良いのだろう。勿論、明らかに分かるという場合もあろうが。

A. この言説の初出の具体的なソースはわかりませんが、少し検索すればわかるように、わりと定説レベルで広がっている言説ではあります。文化史における影響関係（inspiring/inspired）の特定をどうするかは方法論的な問題としてありますが、わかりやすいパターンは、①作者自身がそのように発言している、②作者が自分の作品を作る前にしかじかの作品をプレイしたことが史料的に明らかになっている、③作品の特徴が先行する作品に明らかに似通っている、などでしょうね。もちろん、たまたま似てしまっているだけのケース（とくにともに同じ作品を参照している場合など）などもあると思います。

最近Twitterで見た、テレビゲームをプレイする時間が長い子どもはIQが2.5ポイント高くなる傾向があるという発表を思い出しました。また、「ゲームをするとバカになる」的な言説はいったいいつ頃から出てきたのかが気になりました。直感的にインベーダーハウスが盛況した時点ですでにそういうことが言われてそうだとは思いましたが、なにかその言説に関する史料などは残っているのでしょうか。