第3回のQ&A

歴史的な疑問・コメント

この授業ではビデオゲームが日本とアメリカで発展したという話が繰り返し出てきますが、日本で発展する素地は何かあったのでしょうか。ボードゲームがユーロゲームという形でヨーロッパで発展した経緯も気になります。なぜ日本でボードゲームが発展せず、ビデオゲームが発展したのか気になります。

A. なんででしょうね。ボードゲームに関しては、生活スタイルや家族構成がありえる理由として挙げられることはありますが（たとえば家族みんなで遊ぶ慣習と時間があるかどうか）、何が流行するかしないかは多分に偶然的な事情だったりするので、状況（たとえば、日本ではほとんど家庭にテレビがあった）以上のわかりやすい理由を探さないほうがいいかなとは思います。

そして、アーケードビデオゲームがアクション性や短時間であることを特徴としているのに対し、物語性や思考の重要性が特徴であるビデオゲームのRPGが異なる起源をもつことには納得できたが、どちらも原型となる初期のコンピュータゲームが同時期にできていることはただの偶然なのかそれとも明確な理由があるのか気になった。

疑問としては、単純に同時期のアーケードゲームとCRPGではどちらが人気だったのか気になった。PCなど個人のデバイスが必要なCRPGよりは、ゲーセンなどに行けば遊べるアーケードゲームが人気だったのだろうか。

A. 少なくとも1980年代半ばまでは、アーケードゲーム（およびその系統に連なるビデオゲーム）のほうが圧倒的にプレイヤー人口は多かったと思います。PC自体がそこまで一般的なものではなかったからです。

D&Dに限らず、複数人でやるようなボードゲーム（D＆Dよりもルールがはっきりしている者もあるのではないか）を一人でもコンピュータでプレイできるようにしようという発想はほかにもありそうに思える。発想自体は以前にもあったが完成に至らなかったのか、コンピュータでプレイできるようにしようという発想がなかったのかが気になった。前者だとすれば、コンピュータを使える環境にあるかどうかと十分な技術を持っているかが影響したのだろうか。

講義の内容で特に印象に残ったのは、CRPGの原型となったD&Dの時点でRPGの大きな特徴であるステータスシステムが搭載されていたということだ。ステータスの変動などはコンピュータ上だからこそ可能な操作だと思っていたが、TRPGではどのような操作を行っているのか気になった。

A. 紙のキャラクターシートというのがあって、それを書き換えます。

RPGゲームがTRPGのGMの役割やゲーム進行上の処理をコンピューターに担わせる形で発展してきたことは、プレイヤーがメインであることを考えると納得がいきます。ただ、個人的な経験として、GMはGMなりに裁量の幅を利用することができ面白みがあると思うのですが、GM的な要素がコンピューターゲームに移植された例はあるのでしょうか？

・TRPGがアドリブなところがあると学びましたが、人間の代わりにゲームマスターをコンピュータプログラムで代替しているRPGではそのようなアドリブ要素はなくなったりしましたか？

もしアドリブ要素がRPGでもある場合、

①コンピュータプログラムでどう処理するのかが気になります。あらゆるシチュエーションをプログラムにすでに組み込んでいるのでしょうか？また、

②ドラクエにおけるアドリブの具体例を教えていただきたいです。

A. その側面はなくなりましたね。当時はもちろんですが、現代でもゲームマスターの役割（機械的でない部分）を再現するのは難しいと思います。Siri的なものがもっと進化したら近いことはできるかもしれません。

今回の授業で気になったのは、テーブルトップRPGの自由度の高さをいずれはビデオゲームでも表現できるようになるのかということである。最近はオープンワールドのRPGも増えてきており、かなり自由度があがっていると感じるが、Dungeons&Dragonsのように自ら新たな選択肢を作るということは今の段階では難しいと思われる。人工知能がさらに発展し、ビデオゲームの分野にも応用されるようになれば、このようなことも可能になるのだろうか。

A. オープンワールドやimmersive simは一貫してそういう本来のRPGの理念の追求ではあるので（やりたいことが何でもできるのが望ましい）、その方向での進展は引き続きあると思います（どこかで技術的な頭打ちがあるのかどうかはわかりません）。

RPGの良さとTRPGの良さは共通した点と異なった点があり一方がもう一方の完全な上位互換という形ではないように思えるが、RPGとTRPGの知名度の差は顕著であるように思われる。TRPGにスポットライトが当たった時代はないのだろうか。

A. 日本の場合ですが、むしろここ10年くらいでTRPGをする人が増えている印象はあります。ボードゲームブームと関係しているのかもしれません。

CRPGが誕生した時には、RPGとアーケードゲームに明確な区別があったのか気になりました。僕的には静的なターン制バトル＝RPGというイメージがあるのですが当時もそのような感じで意識されていたのでしょうか

A. 最初期のCRPGはそもそもターンベースしかありません。多少あとの時代になると、いわゆるアクションRPGの走りみたいな作品が出てきますが（『ハイドライド』など）、典型的なRPGではないですね。なので、どちらかと言うと、ターンベースのほうが「正統派」と見なされていた時代が長いかもしれません。日本（JRPG）と海外（WRPG）とで多少話が違うかもしれませんが。

「ＲＰＧ」と「アクションＲＰＧ］の関係について気になりました。これまでは「ゲーム内でキャラクターに扮するゲーム」という意味で広義の「ＲＰＧ」という語があり、その中でアクション性の高いものが「アクションＲＰＧ」、ドラクエやＦＦのようなものが狭義の「ＲＰＧ」と別れるのだと思っていましたが、今回の講義の内容から、ドラクエ型の「ＲＰＧ」の概念が先にあり、その派生語として「アクションＲＰＧ」が生まれたのだと考えました。この理解は正しいでしょうか。

dndから最初期のRPGが生まれた経緯が非常に興味深かった。そのあたりを勘案すると、ドラクエといったいわば古き良きJRPGに限らずドラゴンズドグマやエルダースクロールなど欧米圏の作品も、中世西洋ファンタジーという表象の受容やゲームマスターの役割(融通は効かないが)も果たす、能力データをベースにしたルールといった点においては、(逆説的ではあるが)まさに同一系譜上にあるといえよう。だとすると両者の間の断絶はどこから生まれたのか興味深い。

A. 明らかにドラクエ以降、日本の（とくに家庭用ゲーム機での）RPGが独自のしかたで様式化していったからですね。理由はよくわかりませんが、RPGの本来の理念が薄れていった（あるいはもとからなかった）というのはあると思います。そのころ（1990年代）は、RPGが日本のビデオゲームの代表的ジャンルだった時期でもあるので興味深いです。

『ドラゴンクエスト』が初めての家庭用ゲーム機におけるCRPGとして言及されているが、アメリカなどにおいてはコンピュータを使ったCRPGはあっても、ゲーム機として売られているものにはアーケード系のゲームしかなかったということなのか。もっと言えば、コンピュータとゲーム機との間の区別のようなものがこの頃にはあったということなのか。

A. 当時における汎用コンピュータとゲーム専用機の線引きはかなり微妙です（その線引きがまったくなかったわけでもないですが）。当時のいわゆる「ホビーパソコン」の多くはビデオゲーム用途をかなり想定して作られていたものですし、任天堂もファミコンに汎用コンピュータとしての機能を持たせようとして『ファミリーベーシック』などのソフトを出しています。なので、「家庭用ゲーム機初」というのはあまり厳密に考えないほうがよいと思います。正確に言えば「ファミコン初」でしょうね。それもRPGの定義論を踏まえないと異論が複数ありえるところですが（「最初のxxは何か」を論じる意味のなさを感じさせる例だなと思います）。

CRPGはTRPGを1人でプレイするという発想から生まれたという話だったが、授業内で話を聞く限りでは、最初期のCRPGには（もちろん技術的な制限などはあるだろうが）TRPGの重要なアイデアであるストーリー性が欠けているように感じられた。TRPGに特徴的な、詳細な舞台設定や感情表現・ストーリー展開などが見られない点でTRPGとCRPGには大きな隔たりがあるように思われた。授業内でJRPGという単語が出ていたが、現在でも、重厚なストーリーが展開される『ドラゴンクエスト』などの国産RPG作品には、TRPGの「プレイヤーの行動に応じてストーリー展開が自在に変化する」という特徴はあまり見られないと思う（海外作品には疎いためコメントは差し控える）。当たり前かもしれないが、人間とコンピュータの得意分野の違いが、ゲームの特性を大きく左右しているのだと考えさせられた。

★A. 初期のCRPGにストーリーを感じないというのは、おっしゃる通りですね。単純に容量的な問題はあるでしょうし、リッチなストーリーはプレイヤーが想像力で補完してくださいという面も少なからずあったのだと思います（このプレイヤーの想像力を重視する価値観はその後もかなり強力に残ります）。

「ドラクエ」シリーズも初期のタイトルのオリジナル版をやるとわかると思いますが、少なくとも最初の三部作くらいまではドラマティックと言えるほどのストーリー展開はありません（とても「重厚」とは言えないです）。一方「FF」シリーズは早い段階からドラマ志向ですが、それはそれで「本来の」RPGのあり方から外れているという批判を受けてきた面もあります（プレイヤーに「感情移入」できない、「自由度」がない、「想像の余地」がない、「映画的」である、などといった批判です）。日本のRPG（JRPG）全般がそういうネガティブな評価をされることもありますね。それに対して、西洋のRPG（WRPG）は「本来の」RPGの価値観を引き継いでいるという主張はよくあります（価値づけはともかく、実際にそうだと思います）。

私は今でもRPGは任天堂よりスクエニなイメージを持っているが、初期の大ヒットゲームが任天堂はマリオ、スクウェアはドラクエFFだったことが数十年経った今日のゲーム作りにまで影響を与えているのだと気づき、面白いと思った。私が知らないだけかもしれないが、ドラクエが流行った時に何故任天堂からもRPGを出そうとはならなかったのだろうかと思った。

A. これはたしかに不思議ですね。なくはないのですが、少ない印象はあります（「ゼルダ」シリーズはいわゆるRPGとは違いますね）。発売元が任天堂で開発元が別会社というRPGはいくつかありますが（『MOTHER』、『ポケモン』など。『ファイアーエムブレム』は微妙）、自社の開発チームに積極的にRPGを作ろうとする人材がいなかったのかもしれません。

いわゆるノベルゲーム・ビジュアルノベルは、ジャンル的にはアドベンチャーゲームに分類されると思うのですが、こういった「ストーリーをなぞる」ことに重点を置いたゲームはどのような流れで出現したのでしょうか？

D＆Dや最近流行りのオープンワールド系のRPGなどは自由度の高さが売りになっていて、これらのゲームとは畑が違うように感じました。

★A. おっしゃる通り、ビジュアルノベルはアドベンチャーゲームの派生形で、RPGとは性格がだいぶ違います。「流れ」はよくわかりませんが、時期的には1990年代初頭の『弟切草』『かまいたちの夜』で明確に確立するものです（事例自体はそれ以前からあります）。このへんはあまり論じられているのを見たことがないのですが、従来のアドベンチャーゲームと比較した場合のビジュアルノベルの特徴は、プレイヤーにできることが選択肢を選ぶくらいしかなくなった（結果として「謎を解く」という能動的な感じがあまりなくなった）ことに加えて、完全に一人称の語り（地の文がないと言ってよく、せりふ部分と主人公の内語で進む）になったところだろうと思います。

起源となったD＆DといったTRPGは現在の多くのテーブルゲームとはどのように違うのか。マーダーミステリーやリアル脱出ゲームといった最近流行りのゲームはRPGの系統樹の中でど子に位置するのかなと思った。

A. マーダーミステリーは直接には人狼から派生したものだと思うのでビデオゲームはあまり関係なさそうですが、もしビデオゲームの文脈につなげるとすれば、RPGというよりアドベンチャーゲームの系統だと思います。

リアル脱出ゲームのほうは、明らかにアドベンチャーゲーム由来ですね。もともと2000年代前半くらいにブラウザでできるフリーゲーム（flashゲーム）のジャンルとして脱出ゲーム（escape the room）があり、それを現実空間でのゲームにしたものがリアル脱出ゲームです。このビデオゲームの脱出ゲームは、アドベンチャーゲームの下位分類であるポイントアンドクリックの一種です。

授業後に真・女神転生を初めてプレイしたが、当時の東京を舞台とし、妖精や魔法といったファンタジーモチーフとコンピューター通信や実在の銃器などの現代技術が同居する世界観は、初期のCRPG作品がいずれもD＆Dの世界観を踏襲していたことを踏まえると、かなり珍しかったのではないかと考えた。

RPGやアーケードゲームに特徴的なアクションゲームやシューティングゲームなどからどのように分岐して育成ゲームやシミュレーションゲームが生まれていくのかが気になった。

A. ファミコンからスーパーファミコンにかけての時代は名作RPGが数多く作られた時期ですが、「女神転生」シリーズはそのなかでも風変わりな作品だったと思います。現代ものはファンタジーにおける魔法に相当するものをどう実装するかでけっこう工夫が必要になるのかもしれません。『MOTHER』も現代が舞台ですが、超能力という仕方で魔法を取り込んでいますね。

あまり考えたことがなかったですが、育成ゲームとかはどういう流れなんでしょうね。

現存する最初のCRPGとされるpedit5のオリジナルは制作後数か月で削除されたということであるが、ここにゲーム、特にビデオゲームを対象として研究することの難しさを感じた。本や、ゲームの中でもボードゲームのような類のものとは異なり、ビデオゲームでは、配信のサービス停止やデータの完全消去・破損が起きてしまえば、それ以上当該ゲームを資料として研究することは不可能となってしまうであろうと思うのだが、こうした問題に対してどのような対策がなされているのか気になった。

A. これは難しい問題で、意識的に残さないとどんどんなくなっていくので、保存のためのいろいろな取り組みはされています。ただ、静的なデジタルデータならまだ何かに定着していれば残りますが（pedit5のような事例はともかく、売り物のビデオゲームであれば大量にコピーが出回るので、普通何かしらは残っています）、オンラインゲームとかは運営がサーバを止めたらどうしようもないでしょうね。オンラインゲームは、ある意味で音楽ライブや演劇の上演などと同じカテゴリーと考えたほうがいいかもしれません。物を残すのではなく、映像記録や証言記録を残すという考え方ですね。

理論的な疑問・コメント

初歩的な質問で恐縮ですが、どこまでをロールとするのかがわからず、RPGの定義もあまりわかっていません。例えばテトリスなどのパズルゲームはプレイヤーの視点がそのままゲームに適用されており、同時にプレイヤーが操作するキャラクター（と表現すればいいのでしょうか）が不可視なためロールをプレイングしていないと考えるのが一般的かと思いますが、FPSはRPGに該当するのでしょうか。

★A. まず「RPG」という名称に引きずられないほうがよいです。RPGは、必ずしも「ロールをプレイするゲーム」というわけではありません。基本的には、パラメータを持ったキャラクターがいて、かつそれに成長要素があるのがRPGの必須要件でしょうね。それ以外に何が必要かについては諸説あると思います。以下のCRPG Addictというマニアックなサイトの管理人の人がよさげな定義を出しているので紹介しておきます。

1. Throughout the game, the character must become stronger, more resilient, and more capable of overcoming the game's challenges, including combat.

2. Such character development must be separate from inventory acquisition.

3. Such character development must not consist solely of improvements to maximum health.

4. Players must have some control over the rate or details of development.

ようするに、キャラクターの成長要素にいろいろ限定を加えている感じです（①ゲームプレイを進める上でキャラクターを成長させる必要がある、②そこで言う成長は、たんなるアイテム獲得は異なる、③そこで言う成長は、たんに最大HPがアップするだけではない、④キャラクターの成長のしかたに対してある程度のコントロールが可能）。

定義を考える際の一般的な考え方についてもコメントしておきます。たとえばRPGの定義を考えるには、どの作品がRPGというカテゴリーに含まれる（べき）かが定義以前にすでにある程度はっきりしている必要があります。たとえば、『ドラゴンクエスト』は含む、『ファイナルファンタジー』は含む、『スーパーマリオブラザーズ』は含まない、『ゼルダの伝説』は含まない、などです。そのうえで、〈RPGに含むべきものが共通して持ち、かつ、RPGに含むべきものしか持たない諸特徴〉を挙げるのが定義（正確に言えば記述的定義）です。ようするに、ひとつのジャンルは、何らかの明確な定義があるおかげでひとまとまりになっているわけではなく、何らかの分類の実践がすでになされているおかげでひとまとまりになっているものです。なので、よくわからないカテゴリーが出てきたときにまずすべきなのは、定義を知ろうとすることではなく分類の実践を知ろうとすることだと思います。

定義関連で受けたインタビューが最近記事になったので、リンクをはっておきます。

一見RPGゲームの様相を呈しているが、特にストーリーがあるわけでも能力値があるわけでもない「どうぶつのもり」をRPGゲームに分類すべきなのでしょうか?

A. 上記と関連しますが、「どうぶつの森」シリーズをRPGとして分類する実践はとくにないと思います（RPGに近いと言いたくなる気持ちはわかりますが）。Wikipediaの英語版で個々の作品のページを見ればどのジャンルに属するかが書かれているので、（信じるかどうかはともかく）気になったら参考にするとよいと思います。

授業を受ける前のRPGへのイメージとして一人でプレイするものだという印象があったのですが、これは特に決まっていないのでしょうか。

A. TRPGは複数人でプレイするものですが、CRPGは1人プレイが大半です。いまでもそれは変わっていないと思います。MMORPG（多人数オンラインRPG）やMORPG（複数人オンラインRPG）はその名の通り複数の人が同じ世界に入ってプレイするものですが（他の人とパーティを組まないといけないかどうかはいろいろです）、いわゆるCRPGとはちょっと違いますね。

今回、RPG、特にD&Dの特徴に関して、「プレイヤーひとりひとりが自分に充てられた役割をそれぞれ演じる」というものがあったが、比較的最近のRPG、例えばドラゴンクエストの中には、「ひとりのプレイヤーが複数のキャラクターを操作する」ものが存在するが、これはビデオゲームにおいてどのように異なる点であるのか、あるいはそれがどのような発展といえるのか気になった。

コンピューターゲームの発展の流れとしてアーケードゲームとRPGとがあるがRPGの世界観が剣と魔法にほとんど統一されているのが気になった。アーケードで扱われた「宇宙」などが入り込むこともできないほどに「D&D」の影響力が大きいのだろうか。またウォーゲームからの流れで敵との遭遇、戦いありきでゲームを進行させる必要があることも世界観の「狭さ」の要因なのだろうかとも考えた。

A. ファンタジーモチーフとRPGの結びつきは初期だけで、その後はいろいろな舞台設定のRPGが作られていきます（時代劇、学園もの、スチームパンク、SF、etc.）。とはいえ、西洋のRPGはいまでもファンタジー志向が強いですし、日本のRPGも、異世界転生ものを見ればわかるように、謎のへんな舞台設定（「中世ヨーロッパ」とか言われるがぜんぜん実際の中世ヨーロッパではない）のイメージが定着していますね。戦闘の要素がある、集団戦ではない、武器はあるが飛び道具（銃）が主体ではない、あたりの制約でそういう舞台設定になりがちということかもしれません。

CRPGに見られる（西洋風）ファンタジー要素が、歴史的な経緯によって付属したものだということは、もしガイギャックスらが中世ヨーロッパではなく近未来の宇宙に舞台を設定していたとしたら、CRPGはSF要素と結合したものとして発達していったのだろうか。SF要素が主であるCRPGは、ファンタジー要素が主であるCRPGとプレイ体験が大きく異なり、ファン層やメディア展開も違うものになると考えられるため、キャラクターをプレイするという形式のみではなく、「ファンタジー的な世界観」を備えているということが、現行のCRPGを語るうえでは不可欠な要素であるのだろうと思った。

A. 最初がSF設定だったらぜんぜん違ったゲームジャンルになっていたかも、というのはその通りだと思います。