集団淘汰論
Group Selectionとは
進化の単位が個体や遺伝子ではなく「集団(group)」であるという仮説。
つまり、ある性質(例:利他的行動)が、個体には不利でも集団全体の生存や繁栄に貢献する場合、その性質が進化的に有利になり得るという考え方。
🔍 背景と対立軸
1960年代以前は比較的受け入れられていたが、1966年にジョージ・C・ウィリアムズ(George C. Williams)が『Adaptation and Natural Selection』で厳しく批判。
1976年のリチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子』以降、進化の単位は「遺伝子」だとする見方(遺伝子選択説)が主流に。
集団淘汰は「進化的に不安定である」「遺伝子レベルで説明できる」とされ、長く非主流扱いに。
🧬 それでも生き残った理由(現代の見直し)
1990年代以降、一部の生物学者(例:エリオット・ソーバー、デヴィッド・スローン・ウィルソン)によって、「マルチレベル選択(multi-level selection)」として再評価。
個体・遺伝子・集団が並行して淘汰の単位になるとする立場。
特に社会性昆虫やヒトのような「強い協力行動」を説明するために、再び議論が盛んに。
🧠 要するに:
▶︎ 「みんなのため」が「進化的に成功することもある」
▶︎ でもそれが本当に「集団」による淘汰なのか、「個体や遺伝子のレベルで説明できるだけ」なのかは、今も論争中