ブルーノ・ラトゥール
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元々は哲学・神学を学び、その後、アフリカでの科学実践の民族誌的調査から社会学へ転向。パリ・グランゼコールの一つ、パリ政治学院(Sciences Po)の教授を長く務めた。 主な思想とキーワード
アクターネットワーク理論(ANT: Actor-Network Theory)
社会は**人間と非人間(モノ、装置、テキストなど)**が共に「アクター(行為主体)」として関係しあうネットワークで構成されている。
科学技術も、単に客観的事実が「発見」されるのではなく、実験装置・論文・研究者・資金などの複雑な絡み合いによって構築される。
モノにも「発言権(agency)」を与えることで、伝統的な人間中心主義を乗り越えようとする。
科学の社会構築性
科学的事実は「自然の本質」を発見するのではなく、「ラボ内外の交渉・翻訳・装置・説得」の過程で段階的に安定化していく。
ポスト自然主義的な政治思想
科学と政治の分離を批判し、「事実」も「価値」も共に交渉される場(アリーナ)で扱うべきと主張。
気候変動の議論では、単なる「事実問題」ではなく、「我々がどこに住むのか」という世界構築の問題として捉え直す。
よく使われる言葉・比喩
「ハイブリッド」:人間と非人間、自然と社会が混ざり合った存在のこと。ラトゥールはこれを現実のあり方として肯定的に捉える。 代表作(邦訳あり)