発明把握の手法(発明把握のフレームワーク)
発明把握の手法(発明把握のフレームワーク)
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第2章で説明した、発明把握のルールを使用して、発明を把握してみましょう。
この発明の把握こそ、特許明細書を作成する上で、最も重要な作業であると言って良いでしょう。発明の把握を間違えたら、全てが水泡に帰すからです。ここに、発明把握の思考方法を紹介します。
発明の把握は、発明者がした発明を把握して、さらに、当該発明の保護のために、最適化する作業であり、
1)発明者がした発明行為の事実認定をし、(静的分析)
2)その事実認定された発明を視点・視座・視野を変えて様々な観点から評価し直し、(動的分析)
3)評価し直した発明を、公知技術や競争相手、商品戦略等自社の事情に応じてどのように保護するのが最適かを考え、クレーム化する、(請求項の構築)
という行為である。
換言すると、事実としての発明を把握し、それを、特許法の保護対象である発明思想として概念化するコンセプト作業である。
ここでは、発明情報を「検索」して、それらを目的・構成・作用効果にありのままに整理して「観察」し、
作用効果に記載した発明構成要素の機能に着眼して、発明思想を「探索」します。
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旭山動物園の行動展示のコンセプトをソフトシステムズ方法論で表現すると、以下のようになろうかと思います。
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1)発明行為の事実認定。
まず、発明情報を「すべて」「もれなく」「くまなく」ミーシー(MECE)=Mutually( 相互に) Exclusive(重複せず) and Collectively(全体として) Exhaustive(漏れがない)ように書き出し、整理する。
2)その事実認定された発明を視点・視座・視野を変えて様々な観点から評価し直す。
ここでは、発明者が認識していなかった課題、構成の組み合わせによる新たな効果などを拾い出し、発明を見出す。発明のカテゴリー、実施場面(生産・使用・譲渡場面)などでの発明の変異の考慮も入れる。
3)評価しなおした発明を、公知技術や競争相手、商品戦略等自社の事情に応じてどのように保護するのが最適かを考えてクレーム化する。
ここでは、公知技術を参酌して、どの範囲で権利化が可能か、自社技術を保護する上で、どの範囲が最適か、他社技術を牽制する上でどの範囲が最適か、などを考慮する。