ソフトウェア関連発明
特許法上、発明は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」でなければなりません。
ソフトウェア関連発明については、人為的取り決めをベースに成り立っていることが多いため、
「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるか否か(発明の成立性)が問題となります。
この点につき、特許庁における審査基準・審査ハンドブックでは、以下のように扱ってきました。
★昭和52年12月審査基準(その1)
"手法の因果関係"が自然法則に基づくか否か
★昭和57年12月「運用指針」
マイクロコンピュータが果たす複数の機能実現手段=装置発明
★昭和63年3月「審査上の取扱い(案)」
○ソフトウェアが、ハードウェア資源が有する特定の性質や構成を利用して作成されているとき、
○ハードウェアを制御あるいは有効利用する方法として把握できるとき、
○コンピュータにより実現される機能とハードウェアとの結合が装置として把握できるとき、
★平成5(1993)年7月1日「審査基準」
○ソフトウェアによる情報処理が、対象の物理的性質または技術的性質(構造上の性質を含む)に基づいてなされている場合
○以下の条件が満たされるときは、その発明は自然法則を利用したものとし、いずれの条件も満たされないときは、自然法則の利用はない
(Ⅰ)ソフトウェアによる情報処理に自然法則が利用されている。
(Ⅱ)ハードウェア資源が利用されている。
★平成9年改正特許法等における審査及び審判の運用
○プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を物の発明とする。
○解決手段が以下である場合に、自然法則を利用しているといえる。
(i) ハードウエア資源に対する制御又は制御に伴う処理 (ii) 対象の物理的性質又は技術的性質に基づく情報処理 (iii) ハードウエア資源を用いて処理すること
★平成12年12月28日改訂審査基準
○「プログラム特許」は、「物の発明」
○「ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」
☆「ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」場合とは、
「ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的手段」によって、
「使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現する」ことにより、
「使用目的に応じた特有の情報処理装置(機械)又はその動作方法が構築されること」をいう。
そして、平成9年の (i) (ii)は、一般審査基準となった。
○機器等(例:炊飯器、洗濯機、エンジン、ハードディスク装置)に対する制御又は制御に伴う処理を具体的に行うもの、又は
○ 対象の物理的性質又は技術的性質(例:エンジン回転数、圧延温度) に基づく情報処理を具体的に行うもの、も当然発明として保護される。
2015 年 9 月 16 日特許庁 改訂「特許・実用新案審査基準」
審査基準「第Ⅶ部 特定技術分野の審査基準」第1章の
「コンピュータ・ソフトウエア関連発明」は、ハンドブック(附属書B第 1 章)に移行された。
「ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」とは、
ソフトウエアとハードウエア資源とが協働することによ って、使用目的に応じた特有の情報処理装置又はその動作方法が構築されることをいう。
特許・実用新案審査基準 2018年6月6日
ハンドブック(附属書B第 1 章)に移行された。
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