音MAD衰退論って結局何なんだ
論点がハッキリしていないから、各々の目に映る範囲や語りたい対象を自由に発言している
それ自体は別に良くも悪くもないんだけど、断片的な情報が断片的にTwitterのおすすめタイムラインで流れてくることで妙にやきもきする
界隈が衰退することに対する漠然とした不安だったり、危機感のようなものを皆うっすら持っているのだろうな、と思う
自覚的であれ無自覚的であれ、「音MADが好きな人たち」の集まりが形成されている中で、自らが属する界隈やコミュニティが衰退していくのは、やはり寂しい
自分自身もそう思う
音MADは衰退しているよ
データによる検証
https://note.com/beefkosogod/n/n5fd5a3d8fb13
https://x.com/owatax00/status/1978805624084234586
少なくとも投稿動画の再生数は、平均値でも中央値でも落ちているように見える
当たり前だけど、過去に投稿された動画は時間を掛けて再生されていくので、集計結果に対しては各年ごとに対して何かしらの係数を設けて評価するべきだとは思う
2025年に至っては年の途中での集計だし
とはいえ、ことニコニコ動画上においては再生数が伸びづらくなっている傾向はあるように見える
2025年にミリオンを達成した動画が1つもないのは、この肌感に大きく影響している気がする
2025/10/30時点で一番伸びている動画でも41.5万再生
10万再生越えの動画も少ないよね(34本)
ただ一方で、再生数の中央値に関しては前からこんなもんだったような気もする
気合の入った合作動画とかの伸びが以前と比べて悪くなっている?
毎年安定していたNYDですら2024年版は17万再生に留まっている
音MADは衰退していないよ
企画系は元気だよね
音U19の参加者は108人(!)
音U19、超晒し、nerdtronics、MADDRIFTなど、企画自体は活発に動いている
企画量自体は2017年(摩天楼合作、音MADLIVE.XXX辺りで区切られがち)以前と比較して明らかに盛り上がっている
投稿数は増えているよね
統計URLを参照
YoutubeやBilibili、TiktokにTwitterなど、ニコニコ以外のフォーマットでは伸びてる動画も多いよね
定量的な評価が難しく、ここも議論としては霧散しがち
マヨネーズ.exeさん、ずんだもんすこすこさんなど、安定的にヒットを出せる制作者の存在はかなり大きい
ただプラットフォームの特性上、注目されるのが「投稿者単位」になりがち
……な印象はあるんだけど、ヒカニチが1ジャンルとして根付いているのを見ると、音MADでも似たような状況は再現出来るんじゃないか、というような気もする
それこそ実況者MADとかは、既にその土壌が出来ているような気がする
音MAD畑出身のクリエイターは増えているよね
古くは加速サトウさんやレオルさん、最近だと葛飾出身さんやれでぃばさん、名前を変えている人も含めたらチラホラ
企業公式から音MADを強く意識した、あるいは音MADと銘打った広告を打ち出されることも少なくないよね
音MAD的な表現手法が、既に映像表現やプロモーションの一貫として定着し始めている
何をもって「衰退した」と見做すのか、便宜上で良いので一旦基準を定めてから語ったほうが有意義なんじゃないか
定量的なデータで見るのか、企画の盛り上がりで見るのか
軸が無いとフワフワしちゃうよね
その基準を設けるのがまず難しいよねって話でもあるが・・・
これを書いた人の所感としてはこんな感じ
☀️「音MAD界隈」は現在も盛り上がっている
☀️「音MADの投稿数」も伸び続けている
☀️「音MAD」という単語の認知度も上がっている(ソースなし)
☀️「音MAD的な表現手法」が、公的にも受け入れられ始めている(マクドナルドや日清など)
☔「音MADタグ」の再生数は、ニコニコ動画上では伸びづらくなっている
☔「音MADを日常的に見るマス層」は、以前よりも少なくなっている(ような気がする)
これについては後述
総合的にはそこまで変に悲観しなくてもいいんじゃないかなと思いつつ、打てる手は打っておきたいよね、といったところ
---------------------------------------------------------------------------
別の切り口で考えてみる
音MADが音MADとして盛り上がっていた時期のほうがむしろ珍しいんじゃないか
2008年前後の黎明期を例に考えてみる
当時はあくまで「松岡修造」「エア本」「チャージマン研!」「遊戯王」といった人気ジャンルがあった上で、そのジャンルを楽しむための1手段として音MADが用いられていただけなのではないか
音MADを音MADとして楽しんでいる人たちは、かなり少数派だったように思う
10選の得票数や、特定ジャンルに紐づかない生放送の来場者数などにも表れている
2012年前後も例に考えてみる
音MADは衰退しました? - posfie
https://posfie.com/@light_snow/p/mGprvML?page=1
2012年当時の状況としては、上で述べたような人気ジャンルの人気に陰りが出た時期だった
また、以下のような要因もあり、「ネタ系のMAD、あるいは一般ウケする動画が減った」と言われだした時期だったように思う
2009年頃からYoutubeより輸入されてきたYTPMVの文化も界隈内に根付いてきた
TwitterやSkypeの普及で「音MAD界隈」が徐々に形成され、内向きの動画も増え始めてきた
一方で、ニコニコ運営のやらかし(Zeroとか)による運営への反体制の動きが強まっていた時期でもあり、淫夢を始めとした例のアレ周辺はかなり元気な時期だった
結果として、(当時も漠然とした不安自体はあったものの)伸びる動画は伸びていたこともあり、特段衰退したという印象は受けなかった
この時期の妙な閉塞感のようなものは、音MADLIVE.XXX(2017)や音MDM(2018)を契機に払拭された
動画投稿数の増加や企画の活性化などを考慮すると、「音MAD界隈」としては、むしろ以前よりも盛り上がっていると思う
ただ一方で、「音MADを日常的に見ている人」の母数は少なくなっているのかな、とも思う
ここで注意したいのは、「音MADを見たことがある人」自体は増え続けていること
「音MAD」という言葉が通じる範囲自体は、明らかに年々広がり続けている
なぜ、音MADを日常的に見ている人が減っている(ように感じる)のか?あるいは、なぜ音MADが衰退したように感じてしまうのか?
これまで感じてきた「音MADタグ」の盛り上がり方としては、音MADタグを共通項としつつも、それぞれのジャンルで個別の盛り上がり方をしていたように思う
「松岡修造MAD」「チャー研MAD」「Z会MAD」「アイマスMAD」「ブルアカMAD」「淫夢MAD」など、特定のコンテンツに根ざした確固たる人気を各ジャンルごとに有していて、それらを「音MAD」の名のもとに集結して観測していたからこそ、音MADの盛り上がりが可視化されていたように思う
2025年現在、ジャンルごとの盛り上がりは以前と比べて大人しくなったようには感じる
投稿動画の再生数順で見た印象では、学マス/ブルアカ/淫夢辺りが元気ではある
が、ニコニコ自体の衰退も向かい風となってか、再生数としてはやはり落ち着いている
結果として、ジャンル単位での盛り上がりが「音MADタグ」から観測し辛くなっており、これが音MADの衰退感を覚える要因の一つになっているのではないか
動画投稿数自体は増えてるんだから、ジャンル単位で盛り上がっててもおかしくなさそうだよね(でも、そうは見えない)
全体の傾向として、音MAD界隈内向けの動画が増えてるのはありそう(ソースなし)
ただこれは当たり前で、長いこと音MADを音MADとして見続けていると、一般ウケする動画って心理的に作りづらくなっていくよね
音MADに限らず、何かしらの創作物を作り続けていると自分なりの趣味嗜好がより具体的に形作られていって、そして多くの場合、それは一般ウケするものから離れていく
音MAD以外の創作物であれば、自身の趣味嗜好と大衆性をすり合わせていくことにインセンティブが発生するのだけど、音MADに関しては起きづらい
金銭面でのインセンティブ:
イラスト、音楽、映像ではシンプルに受注数や単価向上に繋がる
音MADは多くの場合金銭の授受は発生しない
名誉面でのインセンティブ:
Youtuberなどではチャンネル登録者数や自信の人気、発信力の向上に繋がる
音MADでは……一般ウケすることで満たされる欲求自体はあると思うけど、界隈内の傾向として、一般ウケする作者に対して羨望の目を向けられることはあまりないように感じる
Neroさんくらい?
一般ウケを狙いに行くメリットが薄く、かつ界隈向けの動画で評価されたほうが界隈内での居心地は良くなりそう(要出典)
かつ、自分の作りたいものも界隈向けの動画寄りなんだったら、そりゃそっちで作るに決まってるよね
とはいいつつも、安易に一般受けを狙いにいかない人が多いことで、文化的に発展した面も多分にある
しかしながら、大衆受けとコア層向けを上手く両立出来ているジャンルもあるので、音MADももうちょっと大衆受けする動画が増えてくれたら嬉しいなぁ の願望
(凡例)ボカロ周辺とかは、ボカコレとかが賞レース的でなんだかんだみたいなことを言われつつも、大衆ウケする楽曲とコアな楽曲がかなり上手いこと共生出来ているように見える
ただ、ボカロは大衆ウケに対するインセンティブがあるからなぁ(再放送)
色々な背景はありつつも、音MAD作者/視聴者以外のマス層において、音MADを日常的に見る人は以前よりも少なくなっているような気がする(ソースなし)
ニコニコの総合ランキングにも上がりづらくなり、受動的に音MADに触れる切っ掛けが(少なくともニコニコ動画上においては)以前よりも少なくなっていそう
結局何すりゃいいのさ
各々がやりたいことを自由にやっている今の状況で何だかんだ良いのでは?という気持ち
楽しそうなことをやっているところに人は集まるので、目一杯今やってることを楽しめば良いと思います
こと動画に関しては
せっかく時間を掛けて作った動画なんだから、YoutubeショートやTiktokに上げてみても良いんじゃないかな〜、みたいなことは思う
めがっちPさんとか精力的にTiktokにも上げてるよね
個人作だけでなく、合作の単品切り抜きとかも
合作の単品投稿の文化はショート動画とかなり相性良い気がしています 上げるだけタダなんだし上げちゃおう
といいつつ、多くの人は「自分の属するコミュニティ以外での再生数や評価」にはあんまり興味ないから、上げるのが億劫になる気持ちはまぁ分かる
ニコニコだけに上げてYoutubeには上げない人とか、その逆とか全然今でもあるしね
とはいえ、勝ち馬に乗ることはシンプルながらかなり有効な手なので、音MAD界隈(あるいは音MAD)の今後の発展を願う気持ちがあるなら、億劫な気持ちを少しだけ押しのけて、アップしてみてもらえると嬉しい
https://scrapbox.io/files/69032b65947eefbad346c3ac.png
いいこと言うなぁ