エンジニアの知的生産術 ―効率的に学び、整理し、アウトプットする
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ブクログのレビュー:
やる気を維持するには
ゴールは明確に
大学に行くとほかでは手に入らないような秘密の知識を教えてもらえるという誤解をする人もいるようだが、大学はそういうものではない
情報収集」を漠然ととらえていると、どこから手を付けてよいかわかりらない。達成条件が不明確。
なので、まずもっと小さい単位に分割し、近いゴールまで走ることを目標にしてみよう。そこで「情報収集」を分割する方法について考える。
時間は貴重ですし「必要になるかもしれない」と言って学んだことが必要にならなければ時間は無駄になる
ゴールが遠いとやる気の維持が難しい
Matzのソースコードの読み方
全体を読もうとしない
目的を持って読む
目的を持って読むことが大事
知りたいことに集中するこの学び方は、やる気高く楽しんで学べる、理想的な学び
これが機能するいくつかの前提条件
1. 目標が明確化されている
2. 目標が達成可能である
3. 大まかに全体像を把握している
すべてを詳細に知ろうとするのはよくないゴール設定。なぜならものすごく遠いゴールになっちゃうから。
一番大事なのは「大まかに」
おおざっぱにぼんやりとでも良いので全体を見る
大雑把な全体像の把握ができない状態は、理解を組み立てるための材料が足りていない。大まかな説明を読んでも頭の中でイメージが湧かないなら、イメージするための知識がそもそも欠けている。
理解を検証する
自分の言葉で説明できるか?
自分の経験に基づいた具体例を挙げることができるか?
自分の目的を達成するためにその知識を使える
学びのサイクルを回していくためには、原動力である「やる気」に注目することが大事
やる気が出ない人の65%はタスクを1つに絞れていない
あなたが複数のタスクをやろうとして、やる気が出なかったり頭が混乱したりしているなら、まずはやることを1つに絞り、1つずつ片付けていこう。
「タスクを1つに絞りましょう」と言われてもそれができない人の76%はタスクが書き出されておらず、脳内だけにある状態
まずは全部書き出して、全部でどれくらいあるのか、どんなタスクがあるのかを把握する
「優先順位付け」はそれ自体が難しいタスク
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「通知された」は「緊急」ではない 「緊急」と「最近通知されたもの」は混同しがち。まず考えるべきことは「これは自分にとって重要なのか?」
そのタスクに時間を奪われることで、何か別のタスクが止まることになる
人生の目標は、ピラミッドの頂上部分です。これを先に決めて、そこから噛み砕いて個々の行動を決める
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優先順位付けは思っているほど簡単ではない。タスクの数が多いと大変だし、たった2つのタスクであっても、評価軸が複数あったり、不確実性があったりする。
たくさんのタスクからどれをやるか選択することの心理的コストがやる気を失わせる
タスクを1つに絞ってもやる気が出ないケース
タスクが大きすぎる
タスクが大きすぎてゴールが遠いことや、大きさが見積もれていないせいで漠然と大きそうに思うことが、腰を重くしている
解決策:時間で区切る。
人間が集中力を持続できる時間には限界がある
ポモドーロテクニック:タスクの大きさをポモドーロの個数で見積もる
キリが悪くても時間になったら休憩する。その時自分がやっていた方法よりもっと良い解決方法を思いつく。集中力が高くても、正しくない対象に集中したのでは価値の低い時間の使い方になってしまう。
見積り能力を鍛える:実際にやってみて、ズレを観察することで鍛える。
記憶を鍛えるには
生物の脳は、まずはすぐに作れてすぐに消える記憶を作る
その記憶が消えるまでの間に同じ刺激が来ると、もうひと手間かけてもっと長持ちする記憶を作る。繰り返し使うことで徐々に強くなっていくものと言えば、筋肉です。記憶を作ることは、ファイルの保存よりも、筋肉のトレーニングに近い。
記憶のために何かを繰り返そうと考えたとき、インプットを繰り返すことをイメージしがちだが、インプットとアウトプットの両方が必要。
脳には似た情報が繰り返し入ってきた場合に、どんどん鈍くなり、その情報を無視するようになる現象も観察されている。
達成感や楽しさ、喜びなどの精神的な報酬が得られないと、脳はそれが役に立たない、無視すべき情報であるかのように振る舞ってしまう。
インプットだけを繰り返していると、退屈になりがち。アウトプットまで含めて繰り返す必要。
例:教科書をずっと読むのではなくテストを受ける。テストの後に復習すると、さらに記憶が強化される
実験:4回繰り返しインプットするよりも、その時間の一部をテストに回したほうが成績が良かった
プログラムを書いている最中にたとえば「文字列を結合する命令は何だったかな?」と引っかかったら、テキストを確認したりインターネットで検索をするなどしてすぐに情報のインプットを行える。そしてインプットした情報をすぐに使って続きのプログラムを書く。つまりプログラミングは、1行1行が小さいテストで、学習とテストのサイクルをとても高速に回している
インプットしてからアウトプットするまでの最適な間隔のことはあまり気にしない方が良い
チャレンジが少ないと退屈になり、適度なチャレンジのときに高い集中力を発揮する精神状態(フロー状態)になる
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脳の記憶のしくみは、コンピュータでファイルを保存するのとは違い、筋肉のトレーニングのように繰り返すことが必要
繰り返しは大事だが、単に繰り返し読むのではなく、テストをしたほうが良い
テストをすると主観的には自信がなくなりますが、客観的な成果は高くなる。
効率的に読むには
速読術を学ぼうとする人の多くが、過度の期待を抱いている
読む速度に差が出る場合、読む速度のボトルネックはあなたの頭の理解速度。つまり、情報を取り込むところではなく、それを組み立てていくところがボトルネック。
理解の速度がボトルネックになっている場合、単位時間あたりの情報入力量を増やしても、単位時間あたりの理解の量は増えない。
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自分の認知能力ではこの速度が限界だ」という現実を認める必要がある。
「理解する」は不確実なタスク
できなかった時にモチベを損ねる
1回読んで読み返さなかった本の内容はほとんど覚えていない
人に教えるための資料を作ることは、自分自身の記憶も強化する。
実際に教えなくても、資料を作るだけで効果がある。
本を読んで何かを学んだら、それを人に教えるスライドやブログ記事などを作り、それを公開してみよう。公開することで種をまき、フィードバックを受けて徐々に成長していって、時間をかけてあなたの中の理解が大きな木に育つ。
差別化戦略
知識を価値につなげていくには、その知識分野に最も詳しい人になることを目指す必要がある
まず最優先で卓越し、それによって成長の機会を得る
とはいえ、たとえば先輩と自分の知識量の差を見て「トップになるなんて無理だ」と思うかも。そこで次に紹介するのが差別化戦略。
知識が完全に重なっていることが2番手になる原因なので、意識してずらす。先輩が得意な分野で先輩を打ち負かす必要はない。先輩が不得意な分野で、先輩よりも詳しくなればよい。
自分の知識の絶対量が少なくても、差別化をすれば、他人に教える立場になることができる
卓越は、かけ合わせによっても作ることができる。
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2つの集合のかけ合わせで領域を絞れば、比較的簡単に一番になることができる
人と人とのコミュニケーションは、共通の知識が多いほどスムーズ
分野Xに詳しいAさんと 分野Yに詳しいBさんがいるとする。自分はXもYも知識はあるけど2人より知識量が少ない。
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人と人とのコミュニケーションは、共通の知識が多いほどスムーズ
AさんとBさんは知識のオーバーラップが少ないのでコミュニケーションが困難。でもAさんともBさんともオーバーラップのあるあなたは、どちらともコミュニケーションがとりやすい
連続スペシャリスト戦略
時間は有限。自分の専門知識をより高めるために投資すのが良い。
この時、スペシャリストとジェネラリストどっちを目指すべきか?
専門性を持たない人は、転職の際にアピールできることがなくて不利
一方で、変化の激しい時代では未来にどのような専門性が価値を持つかを予測することが困難。なので、一つの専門分野に一点集中することはリスクが高い。
そこで、連続スペシャリスト戦略 > ある分野の専門性を獲得し、その専門性を活かして異なる分野へ参入し、そこで新しく専門性を獲得する戦略
1つ目の専門性によって卓越の立場を作り、その立場から収穫を得て、それを2つ目の専門性の獲得に投資する
どの程度の専門性を獲得したら次の分野に進出すべきなのか。これはあなたの置かれた環境にもよるので、一概に言えない
分野Xと分野Yの知識の両方が必要なケースでは、どちらか片方の専門性が高い人よりも、両方を持っている人が求められる
教科書に書かれた知識は、「すでに誰かが作り出して流通させている知識」
知識は複製ができるので、その知識が流通している時点で、すでにその知識を持っている人は何人もいることでしょう。ということは、外の知識を取り込んでも、その知識では、差別化につながりにくい
一方、実際の応用の現場で必要に応じて生み出された知識は、流通しておらず、現場の状況にフィットした価値の高い知識
知識を持っていることではなく新しい知識を生み出す力が、価値の源泉
プログラミングの教科書に書かれたことを丸暗記しても差別化にはならず、状況に応じて新しいプログラムを生み出す力が価値の源泉
生み出す力が価値の源泉」という考え方が、プログラミング以外の領域にも当てはまる