寄生植物
ヤドリギ『槲寄生』
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ヤドリギは樹木の枝や幹に球体となって寄生する植物です。
ヨーロッパおよび西部・南部アジア原産。寄生植物で地面には根を張らず、他の樹木の枝の上に生育する常緑の多年生植物である。他の樹木の幹や枝に根を食い込ませて成長するが、一方的に養分や水を奪っているわけではなく自らも光合成をおこなう半寄生である。
ヤドリギは、種子散布を鳥に託します。鳥はヤドリギにとって都合の良い場所に種を運んでくれます。
ヤドリギ Viscum album は2〜3月に花を咲かせ、10月〜12月頃に実をつけます。種子は粘着性のある果肉に包まれており、鳥の消化器を通過して排泄されるまでその性質を失いません。
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セイヨウヤドリギの果実 Photo by H. Zell, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
そのため、鳥がヤドリギの実を食べると鳥のお尻から粘着物質が垂れ下がり、その中に数個の種がくっついた状態になります。鳥は、種子入の粘着物質を糸のように10cmも20cmもぶら下げたまま木の上に止まったりするため、種子は、地面にそのまま落ちるのに比べてずっと木の幹にくっつくチャンスが増えると考えられます。
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ストライガ『独脚金属』
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図1: ストライガの被害が深刻なソルガム畑(スーダン) 図2: ストライガの養水分収奪モデル
ストライガはサハラ砂漠以南のアフリカを中心に分布する寄生植物です。トウモロコシ、ソルガム、ミレット、イネ、コムギなど主要なイネ科作物の根に寄生し、宿主から養水分を収奪して生育します。アフリカではストライガによる農業被害が年間一兆円にも達すると推定されています(図1)。ストライガは葉から盛んに蒸散することで、地下の結合部を通して宿主から養分や水分を吸い上げると考えられます(図2)。乾燥条件下で、植物は一般に水分損失を抑えるために蒸散を抑制しますが、ストライガは高い蒸散を維持します。そのため、乾燥した地域ほど効率的に宿主から養水分を奪い取ることができます。しかし、ストライガが高い蒸散を維持できるメカニズムは明らかになっていませんでした。
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図1 乾燥地でストライガの被害が深刻化する理由
ストライガは乾燥状態におかれても,気孔を開いたままで盛んに蒸散を行う.この結果,両者の間で水分の流れがストライガ側に傾くことで,乾燥した地域ほど効率的に宿主から養水分を奪い取ることができるため,乾燥地ではストライガによる被害が深刻化する
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寄生植物(寄生植物)は、他の植物(宿主植物)に依存して栄養を摂取する植物です。彼らの生存戦略は通常の植物と異なり、光合成を自力で行わず、宿主植物から直接栄養や水分を奪取します。以下は、寄生植物のメカニズムに関する詳細です:
寄生のタイプ
寄生植物は寄生の仕方によって主に以下の二つに分類されます:
全寄生植物(ホロパラスティック):
これらの植物は完全に宿主に依存しており、自ら光合成を行うことができません。例としては、ヤドリギ科(ミステル類)やツユクサ科(ラフレシア)が挙げられます。
半寄生植物(ヘミパラスティック):
これらの植物は光合成能力を持ちながらも、宿主からも栄養や水分を吸収します。例としては、アヤメ科のツクシタケが含まれます。
寄生メカニズム
寄生植物が宿主植物から栄養や水分を得るためのメカニズムは次の通りです:
ハウストリアの形成:
寄生植物は、特定の器官であるハウストリア(吸器)を形成します。ハウストリアは宿主の茎や根に侵入し、宿主の維管束(木部と師部)に接続して水分や栄養分を吸収します。
化学シグナルの利用:
寄生植物は化学シグナルを使って宿主を認識し、宿主にアプローチします。例えば、ストライガ(Striga)やオロバンケ(Orobanche)は、宿主の根から分泌される化学物質を感知して発芽し、成長します。
寄生の部位:
寄生の部位に基づいて、寄生植物は根寄生(根に寄生)と茎寄生(茎に寄生)に分けられます。根寄生植物は宿主の根に寄生し、茎寄生植物は宿主の茎に寄生します。
【例】
ヤドリギ(Viscum album):
ヨーロッパに広く分布する半寄生植物で、宿主の樹木に寄生します。宿主の木部から水分を吸収し、自らも光合成を行います。
ストライガ(Striga spp.):
アフリカやアジアの農作物に広く影響を与える全寄生植物で、特にトウモロコシやサトウキビに重大な被害を与えます。
寄生植物は、宿主植物に対して重大な影響を与えることがあります。特に農業においては、寄生植物による被害が作物の収量を大幅に減少させることがあるため、その管理や駆除が重要です。