掌編のおぼえがき|2020.03.09
書く前にやっておいた方がよいこと
5W1Hを、面倒くさくおもっても、毎回必ず書き出す(箇条書きで良い。各項目一行、一言でもいいので、とにかく取っ掛かりを制作すること)
はじまりと終で変化している『モノ』『コト』があること(『人物』でなくてもよい)
書きたいシチュや思いついたフレーズは、取り敢えず書き出してみて、眺める。で、眺めた後にトイレとか風呂とか、ぼうっとする(そうすると「こうかな?」が浮かぶ)
100字が4つ、140字が3つ…という風に、書くフィールドを分けると書きやすくなる(ここのフィールドはこれ、ここはこれ、というふうに、書くことを変えやすくなる。悪く言えば「整理のつかない混じり気・雑味」が薄まる可能性もある。雑味で良さを出せるほどなにか洗練しているわけでもないし、それは出そうと思って出せるのかまだ判らない)
意識のそれそうなものを近くに置かない。ポメラなどの、『ネット環境から隔絶されたなにか』を用いて書くこと。出ないとネットに船出をしたくなる。自分の意識を船出させたくなかったら、沖から離れて山に籠るようにする。
『書くだけ』ばかりしていると書く内容がどんどん陳腐になりうるので、少なくとも週に一回はネタを仕入れる機会を作る(今は仕入れる機会を増やした方が良い。読書・映画鑑賞など、なんでもよいのでみたり読んだりして、まとめることが出来なくてもよいので、「面白いなあ」とか「苦手だなあ」とか、感覚を得る。四字熟語みたく、小説や映画以外の何らかでも、色々感じうることがあると思う。曲を聴くとか、絵画・画集をみるとか。個展へゆくとか、興味のある事柄の書かれた論文を読んでみるとか………)
キッチンタイマーを活用すること。400字一本を書くには60分かかる。「キッチンタイマーを使っている間は集中して取り組むぞ」にしておくと、面倒な時でも切り替えしやすい。
一気に書くこと。鮮度が出るというか、一気に書いた勢い故の統一感が出る気がする(書きながら見直す)書きだめはしない方がいい。(楽にはなるかもだけれど鮮度が落ちるのと、書きだめをするが故のしんどさが生じて書けなくなるので)
余り気張らないで、とりあえずやってみるのが大事。「傑作をつくろう、書こう」などと思っても書けるものではないので、そのときそのときで取り組んでゆくのが良い。「良いものを書きたい」という感覚が大事だけれど、じっくり丁寧にやったから良いものが必ずできるのかと云うとそうでもない(瞬発力が無くなったり、だらけているだけだったりすつ場合もあるので)要はなんというか、「大作思考」にならないことが大事。冗長にならないようにする。
(これは主にぼく自身へ向けて)創作法や創作論をまとめているときというのは、「書けなくなっているとき」が多い。かつそれをブログやツイッターに、何らかの私感を挙げる場合も、それを読んでもらうことによる承認というか、満足感を手早く得ようとしているので、注意。
個人的な取り組むことへのマニュアルが生じるの事態はよいことなのだけれど、それだけになってゆくというか、創作論だけを吐き出し続けて実作が全く書けなくなると、あまりよくない。というかたぶんヤバいので、気を付ける。
ただ諸々の整理や言語化は大事に思うし、ヒントを得るのも大事に思ったりで、とにかくなんというか、バランスよくいければいいのかなという感じ。日を置いて、書いた後に感じた「こうだったかな…」をノートにまとめて「次はこうしてみたいな…」くらいに捉えるのが、精神的にも良いかもしれない(場合による)
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組み上げ
状況設定は端的に行う。70~100字で行えるとベスト。
説明ばかりをせずに動かす、転がしてゆくこと。変化をさせること。
おとしどころ、「前提」として提示した事柄からのおとしどころを見極めること。最初に書いた事柄への言及とか変化がないと、読んだときに「何の話?」になることが多い(言及しないで素通りしてしまう方が面白い場合もある気がするので、その辺りはなんというか、そのときそのときで。基本は前提に基づいた展開をするように気を付けること)
段落は3~6程度にすること(100字4つ|140字3つ|70字6つ………とか)
最初の設定は長くても三行以内に納めること。
展開で持ってゆくなら短く短くカットを割る。ぽんぽんぽん、というテンポと、転がり自体のおもしろさが大切。
心理的なものとか情景とか、そういう感情的な部分でやるなら、じっくりながくゆったりでも良い。その代わり、その情景や風景が良いものであることとか、ぐおっとくるものでないといけない(予告編やPVみたく、一番よいシーン、印象に残るシーンへ、読み所をもってゆくのが大事)
状況の中で「僕」「私」がどうするか、どうなるか、を書く。
「どの視点で語るか」を設定する(印象が変わる)。逆にこう、「こういう僕」「こういう私」という、個人の職業や特殊な諸々自体が状況を形作ってゆく場合もある。
意味のない文言はなるべく取り除く。「それさえ書かれていれば意味がキチンと通じる」という状態にもってゆく。必要最低限の言葉で物事を繰り出してゆくこと。(僕は無駄が多いのと、文法を理解していないからいけない、のでどこかでキチンと読むようにしておく)
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展開
なんとなく、展開の仕方を分けてみる(網羅出来ているわけではない)
1.
前提出したけど前提がフェイクでした
嘘語り手
前提出したけど前提の逆がほんとうでした
生きてると思ったら死んでいた
聖人と思ったら悪人だった
普通、平凡な人…と思わせておいて異常な人物だった
どんでん返しが、更に裏返ったりする事もある
そもそもの前提があいまいになる場合も
2.
前提ぽくない諸々の断片が前提でした
断片接合
いやいやそんな…が立て続けに起こる故に生じた信憑性から「ドン」
奇行の連続に原因があった(『うずまき』とか)
なにげないようで関連があった(読んでいる書籍の共通項…など)
3.
前提に伴う謎を解決したけど実は未解決でした
二段オチ
二重エンド
どんでん返しを更に行うような感じと似ている
バトル漫画の毎週の駆け引き、やりとり…なども多分
前提に伴う問題を解決したけどまたもう一つ謎が生じました
収束と思いきや飛躍したオチ(石川賢オチ)
前提の謎を発見して解決したけれど、解釈違いでした
間違い。うっかり。もうひとつあった…など
4.
前提が生じた・知ったが故に反応しなきゃいけなくなりました
呪いのビデオ、取材、洋館這入った、逃避行………など
以前と以後で変化するもの
観測、反応、奔走
逃避行となれの果て
分岐を選びまくった末路
前提を起こしましたので○○しようと思います
殺人、失恋、死別、病気、出会い、薬………など
何らかの「ショック」からスタートするもの
変な前提
変な人、変なもの、変な事………についてを語るもの
突飛からスタートして何らかが判明してゆく
5.
前提を解決しようとしていたら、〇〇が乱入した
ジャンルまたぎ
別の話に移行
それまでの前提から一気にジャンルが変化する。斜め上にすっとぶ
前提からの諸々を丁寧にしているほど飛躍の威力が増す(と思う)
ページをめくったら「え!?」となるやつ。突然死とか
「ゴリラ概念」というものらしい
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1. 前提出したけど前提がフェイクでした/前提出したけど前提の逆がほんとうでした
嘘語り手。
前提の反対を起こす。前提出したけど前提が嘘だった。平凡と思わせて異常。生きてる→死んでた。聖人→悪人。
そこにいると思わせてそこにいない………と思いきや、すごくいろいろなことが起こっていた、とか。
カメラワークとか隠されていたせいで気づかなかったが、実は………とか。
語り手が語る言葉を選んでいたり、シーンとか映像として隠されていたり、それで読み手に勘違いを起こさせておいて、それを利用してびっくりにもっていったり。
更にもう一回裏返ったりする。
2. 前提ぽくない諸々の断片が前提でした
断片接合。
前提と思えない諸々が前提の布石だった。断片がつながる。
いやいやまさか、が立て続けに起こる故に生じた信憑性からの「ドン」
いろいろの奇妙な出来事や前提から、「まさか」という真実に。奇行の連続に原因があったとか、なにげない諸々に関連性がありました、とか。
何かが起こっているがそれがなにか判らない。その理由が不明。理由が登場する。「なるほどそうか」となるもの。とおもいきやそれは勘違いで、全く別の法則でした(法則なんてなかった場合も)知った後の発展と観測(主観)
3. 前提に伴う謎を解決したけど実は未解決でした/前提に伴う問題を解決したけどまたもう一つ謎が生じました/前提の謎を発見して解決したけれど、解釈違いでした
二段オチ。
一件落着、収束―――とおもいきや解決してない。ホラー映画とか怪談噺とか。全体問題は解決したが終わったが個人問題の終はまだ。
一つの解決と後日談のオチ。一件落着後のもう一悶着。ターミネーター、ダイハード、スクライド、キューブ、リング―――いろいろ。
アクション映画の、今作の問題は終わったが次なる問題がラストで判明する、みたいなのとか。バックトゥーザフューチャーとかガメラ3とか石川賢先生のマンガみたいな勢いが大切。勢いパワー説得。
間違い。うっかり。もうひとつあった(とかのせいで、オチでひどい目にあったりする)
4. 前提が生じた・知ったが故に反応しなきゃいけなくなりました/前提を起こしましたので○○しようと思います/変な前提
関わったせいで巻き込まれる。呪いのビデオ、ドキュメンタリ的ななにか。
『ある場所』特定のなんらか、噂………諸々の場所へ這入ったが故の事件。土着宗教に巻き込まれる、怪異に出会ってしまう、謎を追いかけるうちに深みにはまる。
知った、把握した、認識したが故に価値観が捻転して、変わって、戻れなくなる。何かを失ったことで始まる。洋館に這入った、犯罪後の逃避行、居場所を失った故の旅路………
以前と以後で変化するもの。観測・反応・奔走・なれの果て。
分岐を選びまくった末路。
事件を起こす。死体、殺人、病気、のような、どうしても劇的になってくれる何かから始まって、転がって、オチに向かってゆくやつ(オチがオチというよりも「お話の終」という感じになると思う)
アドリブでどうにかしていく感じ(起こったこと、思いついたこと、喋ったことを肯定しつつ、〆でそれらの中から、オチに持ってゆけるものを発見して、つなげて、オチにする)で書くやつ
変な人、変なもの、変な事………についてを語るもの、もある。
5. 前提を解決しようとしていたら〇〇が乱入しました
飛躍。
『突飛なもの』を登場させて展開させるジャンルまたぎ。別の話に移行する。『ななめうえ』のさらに突飛なやつ。とびつつ、「あたりまえ」として常識として展開する、とか。それまでの前提から一気にジャンルが変貌する。前提からの諸々を丁寧にしていればしているほど飛躍の威力が増す(と思う)
マンガで云うとページをめくったら「え!?」となるやつ(やられてるとか)大ゴマ。
あらゆる展開の中へ突然『忍者』をぶちこむ。常識をぶちこわすもの。
或る意味では突飛が一ジャンルになっている可能性もあるので組み上げて壊して組み上げて壊してを繰り返すことになるのかもしれない(まだわからない)
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おわりに
人物の私感を、合間合間に少しずつ挿入できると、読む人との距離感が近くなる。近しいものと思ってくれるかもしれない(その可能性が増す)
僕は器用でないので、「4」になりがち。それも、頭から書いていってオチになんか、お話の終わるような文言がくればなんとか………というふうに書いているので、その場その場でどうにかしている書き方になってしまっている。ので計画性が無い。どうにかしたい。
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2023/11/16:追記
不純文学 1ページで綴られる先輩と私の不思議な物語 (宝島社文庫) 文庫 – 2019/10/4
https://gyazo.com/21e534c09e2e8096133d29646c2151d4
これを何回か読んだ挙句に書いた記事。
「これをすれば良い」ではなくて、組み上げるときの困りの解消をしたかったのだと思う。
けれども結局、いまのぼくはこういう組み方をしていない。
フィーリングで書いている。
ここにあるのがそう。