読んだもの|2024年10月~11月
https://gyazo.com/4eeaea6eb71394ec0bd762439ad8780a
いつか出るかもしれない本のサンプル/川谷パルテノン(写真左)
大阪文フリにていただいたサンプル。坂道はひたすら自転車の疾走感が印象に残り、同伴者はコントめいた事象が勃発するのが軽くてよく、魚影は風景という印象だった。ぼくはみっつのなかだと『坂道』がすき。ある人と人(ないしもの)が遭遇したとき、考えを続けるかリアクションするかしみじみするか、で3つあったと思う。篇の順番も大事そうで、おいおい短編集になったとき、今回最後にあった『魚影』がふいにきて「なんかすきだったなあ」みたいな心理が発生する気がした。そういう3つのお話だった。どう短篇集になるのか気になる。
【アンパン狩り補遺2】バードストライク/乾あまぐつ(写真右)
同じく大阪文フリにていただいたサンプル。おなじ作者さんのアンパン狩りをわたしは読んでいるのだが、さまざまなお話の短文の群れ、という感じがとてもすきだった。これも同じテイストで、今回読んだ中にそういうお話があるが、夢とか走馬灯とか、そういうものをぱっぱっぱっと目撃しているときの脳の働きを疑似体験している感覚になる。夏目漱石氏の夢十夜なんかもそうだが、こういうものは頭の中に残るようで残らないというか、お話の筋はうろおぼえだけれど、こんなものが映っていたなあ、みえていたなあ、こんな目に自分はあったなあ、という断片的な体験が残る。アンパン狩りから続くこれら超短篇の収録された印刷物は、その質感を目指しておられるのだろうな、と個人的には思う。のこるようでのこらないが、しかしなにごとか覚えているものがある。そういう状態でしか得られない馳せ、みたいなものがたぶんある。「タナバタさま」「ブーメランの期間」「悪狐退治」が、今回の収録物だと印象深かった。
/icons/hr.icon
リアカー(なかむら あゆみ)
https://gyazo.com/9e9818619038b57f7aea6f4221bdb398
これも同じく文フリ大阪で入手したもの。吉村萬壱さんがおられるブースがあり、そこで書籍を購入する際にサンプル品としていただいたものだった。すこし不思議なお話、SFなのだが、不穏さもあるというのが、この字数内で収まりつつ背景として香ってくるのがよくできているな、と思った。小説として読んだが、読み味としてあるのは詩とかそういう、短文で相手に光景を伝えるものと同じなにかな気がする。ものを想起さすための状況用意立てがあってこそなのかもしれない。うえのアンパン狩り補遺もそうだが、自分でもこうした、短文ばかりがある掌編群を書いて、まとめたいなと思った。
/icons/hr.icon