凡人が、天才に勝つ方法。|つんく♂
天才じゃない人間がヒット曲を出すコツは、いたってシンプル。とにかく数を作ることです。結局、自分の打率が1%なら、数を打つしかないってこと。
僕が一番作品を作っていた頃は、だいたい年間100〜130曲リリースしていました。ボツ曲も含めれば、気が遠くなる数を制作。そんな生活を、15年以上続けていました。
打率1%でもヒットが出ると、「なぜ今回は打てたのか」が、経験値として残ります。
当然、大量の曲を作るってことは、勉強しなきゃいけません。自分の知識だけでは、絶対に100曲も違うものを作れないからです。世間のヒット曲の研究もする。過去のヒット曲も調べる。米英のヒットチャートをチェックするだけでなく、ワールドミュージックも聴く。知識を詰め込んで、自分がそれまで培ってきた経験をもとに、分析して作っていきます。
結果、どんどん打率は上がっていきます。10曲の時点より100曲。100曲より1000曲作ったあとの方が、アウトプットの平均レベルは圧倒的に高くなる。手慣れて、小慣れて、自信もつくってやつです。
文章も同じ。noteはもちろん、自分のコメントやエッセイをバズらせたかったら、とにかく数(回数&量どちらも)を書くのが重要なのだと思います。
天才と凡人の違い
きっと、本当の意味での「天才」は、金儲けとか名誉とかを全部、完全に度外視して、単にやりたいことをひたすらやる人だと思います。
借金しようが、どんな格好してようが関係なく、とにかく「これがやりたい」を、貫ける人。もしくは、本当に頭の中に突然何かが降って湧いてくるような人。それが天才です。
そんな天才たちは、来月の仕事の予定が入ってようがいまいが、生活や家族のことは一切考えず、創作に没頭して生きていけるのかもしれません。正直、羨ましいし、憧れます。
僕の場合は、もちろん違います。「売れたい!」「目立ちたい!」「褒められたい!」などなどが動機でした。これまで「いたって普通の僕が世に結果を残すにはどうすべきか?」を、たくさん考えましたね。
凡人の中にも(プロアマ問わず)、才能がある人はたくさんいます。1回聴いたらメロディーを覚えちゃう人。頭にある記憶だけで、複雑な絵を描ける人。お店で食べた料理を、自分で再現してサッと作れちゃう人。
……こういう人たちが少し努力したら、ただの凡人は敵いません。いわゆる秀才といわれるような人ですかね? 音楽業界にもゴロゴロいて、そういう才能に遭遇するたびに、いつも悔しい気持ちになります。