【授業】学部3年実践セミナー「学校教育実践」
「(授業中)大島先生が「うなずいてくれてありがとう」「番号を言うときに次の人の顔を見ている人がいてよかったね」「みんないいこと言っていましたね」と肯定的な評価を合間に入れてくださっていて、(中略)勉強になりました。」
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今日は,所属するコースの学部3年生の必修授業,実践セミナー「学校教育実践」の初日。この授業は,3年次教育実習を終えた学生さんたちが,自身の実習体験やこれまでの学修を基に,更なる授業実践力,生徒指導実践力の向上を目指し,演習を行っていくものです。
本学では,1〜2年時から介護現場,幼児教育現場,学校現場(特別支援学校,小中学校)などの観察実習,そして,3年時の小学校における教育実習,4年時の中学校における教育実習を設定し,大学での学びと現場体験での学びがスパイラル上に行われるようにカリキュラムが組まれています。※1
さて,冒頭の言葉は,ある学生が書いた授業後のリフレクションの一部です。
授業の合間に,学生の学びの姿について評価とフィードバックをしていたのですが,その姿をちゃんと見ているのですね。
春の講義の際は,このような指導行為の背景にある,教師の意図について分析しているコメントは確かありませんでした。これを思うと,「観察する」ことで得られる学びとは別の学びを,学生さんが指導者側に立つことでしてきたのだなと感じます。
本時の授業は,「「よい授業」とは何か」がテーマ。
もちろん本時の最後に「「よい授業」とは何なのか」という「正解」があるのではなく,15コマの中で自分の考えを時に広げ,時に見つめ直し,壊し,そして,深めていくためのスタートしての課題です。このことを学生さんたちに語り,学生さんたちはディスカッションしました。
その話し合いは,私の想定を優に超えたもので,彼らはどんどん盛り上がり,話し合いを止めるのが申し訳ない思うほどでした。それだけでも,彼らがいかに充実した教育実習をしてきたのか,そして,自分が教師になることを真剣に考えているのかが伝わってきます。
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「本日は、良い授業とは何かについて考えた。実習期間中も、良い授業を目指してはきたが、実際に言葉に表すことは難しいなと感じた。(中略)グループで(考えを)共有すると、「それも確かにある」「それもそうだ」と思う場面が何度もあった。(中略)自分1人で考えて、自分だけが納得することは簡単だが、やはり視野が狭くなると思った。」
「いい授業をしたいと思いますが、改めていい授業とは何か聞かれると難しいなと思いました。自分の考えとしては、「子どもが自分から学びたいと思い、授業後に何を学んだのかがわかる授業」や「目標と評価が合っている授業」だと考えました。他の人の意見を聞いて、「なるほど!それも大切だ!」と思うものが何個もあり、勉強になりました。例えば、子どもが安心して受けられる授業や児童のやる気、向上心を引き出し、同じ熱量で学習に取り組める授業などです。授業が終わってからも考えましたが、自分の中で一つに絞る事はできませんでした。」
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学生さんたちからのリフレクションシートを読むと,ぼやっとしていた「よい授業」を,考えることで言語化し,またそれを仲間とのディスカッションをすることで,広げたり,見つめ直したりしたようです。そして,その後も揺れている模様。
15コマの最終でまた,「よい授業とは何か」を問うつもりです。
彼らの授業観に変化があるのか。今からとても楽しみです。
さて,授業の最後に,自身の思考の枠組みに気づき,見つめ直しを迫る,とあるVTRを見てもらいました。リフレクションシートには以下のような記述が。
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「最後に見たビデオも自分の予想とは異なり、見たいように見ていることを知りました。自分の常識を押し付けずに、しっかり向き合うべきだと思いました。」
「授業の最後のビデオは、自分が見たいものしか見ない、思考の枠組みができてしまっていることを実感するものでした。凝り固まった思考の枠組みになっていないか、そんな思考の枠組みはどんどん壊していけるような教師でありたいと思います。」
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自分は決して胸を張れるような先生ではなかったけど,彼らはきっと素敵な先生になる。そんなことを予感できる,いい時間を過ごさせてもらいました。
※1 もちろん,それは本学だけではなく,1991年の大学設置基準の大綱化による教職課程の見直し,1997年答申における「実践的指導力の基礎」の養成が強調,その一環としての「教育実習の充実」が要請,の流れの中各大学が行っていることです。