Corey-Fuchs アルキン合成
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Corey-Fuchs アルキン合成はアルデヒドを四臭化炭素とトリフェニルホスフィン(TPP)によってジブロモアルケンに変換し、続く塩基処理によってアルキンを得る反応です。
工程1
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TPPが四臭化炭素のBr-C結合のσ*軌道を攻撃し、生成した中間体をアニオン種が再度攻撃します。ここで得られた中間体からもう一分子のTPPが臭素を引き抜くことでイリド種が発生します。このため、TPPを2等量必要とします。
酸に弱い基質の場合はTEAやピリジンが添加されることも。
四置換オレフィンを作る場合はピリジンのみでリフラックスかけると良く進行したりします。
工程2
https://gyazo.com/4e2b29aa4ee6da2e6be8262e522c7d68
工程1で発生したイリド種がアルデヒドと反応します。この工程はWittig反応と同様に協奏的に起こります。生じた四面体中間体(オキサホスフェタン)はO=P結合の強さ(酸素とリンの親和力の高さ)を駆動力としてTPPOを副生しつつジブロモアルケンを生成します。
これにブチルリチウムを作用させると、金属-ハロゲン交換、続く脱離によってビニルカルベン中間体が生成。1,2-転位(Fritsch-Buttenberg-Wiechell 転位)によって水素が転位する。この時、末端アルキンの水素が酸塩基反応で引き抜かれてアセチリドとなります。これを酸で処理すると末端アルキン、適当な求電子剤で処理すれば内部アルキンとなります。
備考
・強塩基に耐えられない基質は使えないよ。
・反応よりも副生するTPPOの除去がテーマになりがち。
・反応機構の詳細が参考にする本によって違うことがある。