9981_深く思い出に残る、幼稚園に繋がる細い路地
不思議でした。園舎や園庭よりも、この門扉に繋がる細い路地が、今でも強く記憶に残っているのです。この幼稚園に入園したのは、50年近く前です。今日、小学6年生の同窓会が地元であり、少し前に到着した私は、その理由を確かめたかったのです。
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その理由は、路地の狭さからくるのでしょうか。
当時この路地は、つたの這うブロック塀に囲われていました。
しかし、その狭さを理由にするのなら、昭和45年頃、
近所にはいたるところ、そんな路地がありました。
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この路地が、途中「くの字」に折れていることに、
強く記憶に残ってしまった秘密がありそうです。
この「くの字」を通りすぎるまで門扉は見えず、
不安を感じていたのでしょう。
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やや右に曲がり門扉が見えて、きっと安心感を感じたのでしょう。
おそらく2年間、その繰り返しでした。
逆に、この「くの字」がなければ、通りから門扉まで見通せ、
不安を感じることなく、記憶に残ることもなかったのでしょう。
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「空間の奥性」というキーワードが、日本の都市空間の、
最大の特徴を読み解く鍵なのだと、聞いたことがありました。
見えたり見えなかったりすることによって生じる、
「空間のひだ」みたいなもの... 。
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見えるもの、見えないもの、見えないのに見えたことにする。
そして、見えたのに見えないことにする。
そんな、ひととひととの距離を調整する建物。
そして、それぞれのひとの心配り。
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『空間の質』は、単に空間のひろがりにあるだけでなく、
奥や深みの創造にあるはずです。後に感じることになる、
自分が造った建物の「うまくできた」「うまくできなかった」の、
わずかな違いは、実はこのあたりに理由がありそうです。