遊びについて4つの要素「遊びと人間」
「子どもの仕事は遊ぶことだからね」と、優しく私に言ってくれたのは誰だったのか、ずいぶんと昔のことなので、思い出せないのですが、私がその人が大好きだったのは、はっきりと覚えています。思えば野球や将棋を始めとした、私の小学生の頃の遊びは、現在の私に影響を与えているようです。それは、運動能力や知的能力を競ったことの「勝ち負け」ではなく、「人生の態度」の態度ともいうべきものにです。
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毎晩娘の遊びに付き合わせれていた頃、「私も子どもの頃は、こんな遊びをしていたっけ」と懐かしむのと同時に、「遊びはなぜ、何十年も続いていくのだろう」と思ったことがありました。私が幼稚園や小学生の頃と同じ遊びが、今でも続いている。遊び。遊びって何だろう。考えると不思議ですね。
遊びについて、フランスの社会学者、ロジェ・カイヨワが書いた、なぜ人間は遊ぶのか、遊びの本質を追究した哲学書です。ただ文体が古い(1958年)からなのか、とても読むのが辛い本でした。
カイヨワは、遊びを4つの要素に分類しています。どの遊びも、このいずれか、あるいは複数に当てはまるというのです。
• 1. 競争(アゴン)
• 2. 偶然(アレア)
• 3. 模擬(ミミクリ)
• 4. 眩暈(イリンクス)
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1. 競争(アゴン)
• 勝利という価値を得るために、相手と競い合って遊ぶこと
• サッカー、チェスなど、ほとんどの遊びはこれに属する
• 自分の練習、努力を頼りにする、その結果が反映される
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2. 偶然(アレア)
• ルーレット、すごろくなど、賭けて遊ぶこと
• 自分の努力とは無関係、運命に身を委ねるしかない
• 相手に勝つのではなく運命に勝つために、自分以外の外部の兆候を頼りにする
• 偶然は、人間だけの遊びで、動物にはないもの
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3. 模擬(ミミクリ)
• 何かを演じて遊ぶこと、他者になる、他者であるかに思わせる
• 俳優やタレント、飛行機や機関車のまねをする
• 架空の人物となり、それにふさわしい行動をする
• 自己を他者とすることにより、自分の世界から脱出する
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4. 眩暈(イリンクス)
• 混乱を楽しむこと
• すべり台、ブランコ、ジェットコースター、お化け屋敷
• ぐるぐる回ったり、急速な回転落下など、一時的な知覚の安定を破壊する
• 遊園地などで、長時間待たされてでも、楽しみたい眩暈
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遊びが人生に不可欠の資質を鍛錬する場でもあるということから、「子どもの仕事は遊ぶことである」といわれることが多いように、子どもの発達に特に重要な意味をもっている。
運動能力や知的能力を競うことで、これらの能力が発達していくと同時に、闘争本能も磨かれる。
その一方で「勝っておごらず、負けて悔やまず」という、おおらかな人生態度も学ばなければならない。
そしてまた、多くの遊びには大なり小なりのルールがあるので、ルールにしたがうフェアプレイの精神が培われ、ルールがあるからこそ、社会が成り立っていることを知らなければならない。
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人間の全ての活動は、実は「遊び」から、発しているようです。子どもの頃の遊びは、その後、大人となって社会へと出た時に、立ち向かうことになる苦難と、対峙する時にも役立つそうです。