9968_ナイチンゲールの「看護覚え書」
ナイチンゲールの関心は看護のみに留まらず、病院、建築、福祉などにもあったことが、私の住まいづくりに役立つのではと、友人から勧められました。その第一章は、「換気と暖房」から始まり、「住居の健康」「変化」と続きます。章立てを見ると、まるで住まいづくりのバイブルのようです。
https://gyazo.com/2b5f050efa007a4be958223dd9ad6d07
「看護士の勉強をする学生はみんな読んでいる」と、友人に紹介されたのは1998年、30代の前半の頃です。私の住まいづくりに役立つのではと、その友人は考えてくれたようです( 2017.07.22) hr.icon
換気と暖房
それを満たしさえすれば他はすべて放って置いてよいとさえ私は言いたいこと、——それは「患者が呼吸する空気を、患者の身体を冷やすことなく、屋外の空気と同じ清浄さを保つこと」なのである。
フローレンス・ナイチンゲール『看護覚え書』現代社 2000
住宅の空気環境や断熱性については、2000年以降にようやく、
重要視されるようになりました。
また、「身体を冷やさないこと」も大切であるとしています。
吉田兼好の徒然草では、『家の作りやうは、夏をむねとすべし。
冬は、いかなる所にも住まる』とありますが、
本当にそうなのでしょうか。
室外と室内の温度差は、夏は10度以内ですが、
冬では20度以上と、倍以上になります。
冬の室内での温度差を少なくすることは大切です。
暖かい浴室と寒い洗面室、暖かい寝室と寒いトイレ、
などの温度差が、高齢になると負担になってきます。
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住居の健康
住居の健康を守ることには、つぎの五つの基本的な要点がある。
1. 清浄な空気
2. 清浄な水
3. 適切な排水
4. 清潔
5. 陽光
これらのどれを欠いても住居が健康的であるはずがない。そして、これらに不備や不十分があれば、それに比例して、住居は不健康になる。
フローレンス・ナイチンゲール『看護覚え書』現代社 2000
160年前に書かれたとは思えないほど、
現代の住まいづくりに共通する部分が多いです。
なんという先見性、洞察力。いや、ひとりひとりの患者さんに、
真剣に向かい会えば、気づくことなのでしょうか。
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変化
長期にわたってひとつ二つの部屋に閉じ込められ、毎日毎日、同じ壁と同じ天井と 同じ家具調度とを眺めて暮らすことが、病人の神経をどんなにまいらせるかは、ほとんど想像もつかないであろう 。
フローレンス・ナイチンゲール『看護覚え書』現代社 2000
変化のない単調さ、生命のない壁面や天井などがよくない、
と述べられています。形の変化や色の美しさは、
「患者に回復をもたらす現実的な手段なのである」と。
病室を変えるまでしなくても、壁の絵を掛け替えること、
ベッドを移動させることでも、「変化」を得られると提案しています。
https://gyazo.com/a202ab2904191e81683b0644199b44a8
私は「変化」が好きです。いつも住まいづくりの中で、
「変化」を考えるようしています。
家族が集まるリビングは、様々な方位に小さくても窓をつくり、
一日の時間の流れ、季節の移り変わりの中で、
「変化」を感じられるようにしています。
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また、絵や写真を飾れるように、大切な壁面を確保しておき、
美術館のように飾り変えられると、
より一層、楽しく暮らせそうです。
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