9753_「子どもさんにとって良い姿勢に」トイレのバリアフリー
車いすユーザーの子どもさんのために、トイレのバリアフリー改修を依頼されました。入口の手前の廊下に車いすをとめ、お母さんが子どもさんを抱えた状態で移動していました。ですが、『子どもさんは10代になり、成長に合わせた改修が必要になった』とのことでした。
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バリアフリーの目的
• トイレへ安全にトランスファーをしたい
• 排泄中、安定した姿勢を保持したい
• 便座に座る時間が長いため、目をはなせるようにしたい
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トイレの大きさは1.5帖ほどで、手洗いキャビネットが付いていました。便器の正面が入り口になる、一般的なレイアウトです。
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トイレの入り口は片開き戸で、6㎝程度の段差がありました。今回のバリアフリー改修工事では、トイレの床全体を下げて、廊下との床段差をなくすことが必要でした。
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姿勢評価:改修前の排泄姿勢
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腹圧をかけている時の『排泄姿勢』です。普段は、トイレのフタによりかかり、姿勢を保持しているようでした。排泄中、「ずり落ち」「右への傾き」など姿勢が崩れてきた際、子どもさんがお母さんを呼び、姿勢をなおしている状況でした。
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第1案:傾き防止、ずり落ち防止
第1案では、傾き防止、ずり落ち防止のために、トイレのフタの後ろに、手すりを床から立ち上げ、体幹ベルトで体を固定する、プランを立てました。
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しかし、体幹ベルトだけで傾き、ずり落ちを防止すると、「筋緊張が亢進してしまうのではないか?」
「体を前方に傾けてあげた方が良い姿勢が保てるのではないか?」と疑問が湧き、病院の担当スタッフに相談しました。
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第2案:傾き防止、ずり落ち防止、筋緊張亢進の防止
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病院の担当スタッフの情報から、娘さんにとっての良い姿勢は、体幹を軽度前傾させ、前方にあるテーブルに、体をもたれさせた姿勢だとわかりました。
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バリアフリーの改修後
腹圧もかかり、筋緊張亢進を防止できそうです。そこで、体幹が前傾できる、跳ね上げ式のテーブルを設置することにしました。跳ね上げ式であれば、移動の妨げにもなりにくくなります。
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改修後、楽な姿勢がとれているか、見せていただきました。実際に拝見すると、以前より遙かによい姿勢が保てていました。『らくです。大丈夫!!』
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お母さんからも、『右への傾きやずり落ちもなくなって、目を離しても大丈夫』とのことでした。跳ね上げ式の手すりなので、トランスファーの邪魔にならず、かつ、家族が使うときにも邪魔にならないようです。