9742_『ゆっくりでいいよ』の一言を添えること
5年前に建てさせてもらった、バリアフリー住宅にお伺いしました。住まいてのMさんは車いすユーザーで、メンテナンスは直ぐに終わると、帰りがけMさんから、中学生の子どもさんの作文が、市内の中学生人権作文市長賞を、もらったことを聞き、私まで嬉しくなりました。見せて頂いた作文に私は感動しました。車いすユーザーとなった、お父さんについてでした。
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生きること。私がもっとも衝撃を受けたのは、工事中の打ち合わせでは、ママにだっこしてもらっていた子どもさんが、大学生になっていたことでした。我が家は、3月23日に小学校の卒業式があります( 2018.03.05) hr.icon
久しぶりに住まいてさんのお宅にお伺いして、感じることがあります。
住まいてさんご夫婦は、そんなに変わっていないのに、
対して、子どもさんたちが「激変」していることです。
そして、その成長は、「身体的なことだけではない」ということが、
中学生の子どもさんの作文には、書き連ねられていたのでした。
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その作文には、こうありました。
楽しみにしていた夏休みの家族旅行、朝に出発の予定が遅れてしまい、
昼前となってしまいました。お父さんの支度が遅れてしまったのです。
お父さんは前日、入念な準備を済ましていたのですが、出発当日に、
アクシデントが発生してしまいました。トイレのことで、でした。
家族全員、待ちに待った旅行です。普通ならここで「イライラ」して、
お父さんをせめてしまいそうですが、Mさんのお宅では違いました。
その人にとって、触れられたくない事に触れずに、
最良の手助けをしてあげられる方法。
僕の考えはこうである。
それは「待つこと」だ。
最初に述べた父のアクシデントについても、
その事には触れずに、ただ待っているだけだ。
そして、Mくんは提案するのです。
いきなり人の内面に踏み込まずに、
手助けするきっかけとして、まずは、
「何かお手伝いすることをありますか?」という声かけの後に、
「ゆっくりでいいよ」と付け加えてあげたい。
私が30年以上の時間を掛けて、たくさんの住まいさんから学んだこと、
Mくんにとっては、日常の一場面であり、あたり前のことなのでした。
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同じ様な話を、住まいてさんというよりは、私の師匠ともいうべき、
Oさんからも、聞いたことがありました。友人が多いOさんは、
何でも手を出してくれる、友人に対して、こう言うそうです。
『大丈夫、手伝わなくてもいいから』
『待ってくれることが、最良の親切なのよ』
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また、こんな思い出話もしてくれました。
Oさんが退院して住まいへと戻り、まだ間もない頃のこと、
同居している子どもさん夫婦から、こう言われたそうです。
お母さん、卑屈にならないでね。
お母さんは、よそのお母さんが教えられないことを、
お母さんは身を持って、私や子どもたちに教えてくれているだから。
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なるほど、どんな時でも、お父さんやお母さんは、教師なのですね。
どんな時でも。