9466_道先案内人に、行き先をたずねたかった春
春になると現れる、虹色の背中が美しいハンミョウは、人が近づくと飛んで逃げ、少し先に着地して後ろを振り返る、そんな行動を道案内にたとえ、「ミチシルベ」「ミチオシエ」という別名があるそうです。そう言えば私はこの年の春、道先案内人の登場を切望していたことを思い出しました。
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横浜市の南端、鎌倉市との境にあり、
周囲の市民の森と一体となって横浜最大の森の一角に、
横浜自然観察の森はあります。入口は何カ所かあり、
私は間違えて隣接する、上郷・森の家に入ってしまい、
その奥にある、「森の家口」から入りました。
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初めての散策地、立派な入口を入った途端こんな様子、
聞く人もなく慌てました。
森の中からは、うぐいすや野鳥の鳴き声が聞こえてきます。
右手の樹の枝の上にリスでしょうか、
やわらかい「おっぽ」が、逃げて行くのが見えました。
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散策路が、アスファルト舗装道になりました。
「チョットコイ、チョットコイ」と、
さきほど見かけたコジュケイが鳴き始めました。
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樹々の影の間の路面の日向のところで、何か七色に光が動いています。
虹色の背中が美しい、ハンミョウでした。
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人が近づくと飛んで逃げ、少し先に着地して後ろを振り返る、
そんな行動を道案内にたとえ、
「ミチシルベ」「ミチオシエ」という別名があるそうです。
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ですがハンミョウは、路面を横切るグレーチングの隙間から、
下の側溝の中へと落ちてしまいました。
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2011年、この年の春、私に限らず多くの人はきっと、
道先案内人の登場を、切望していたことでしょう。
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側溝の中から何事もなかった様に、上がってきたハンミョウは、
また、私の道案内を始めてくれました。
肉食性だからでしょうか、頑丈な口に驚きました。
頼りがいのあるハンミョウでした。
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虹色の背中を追いかけて行けば、行くべき道を進むことができる、
2011年の春から、2019年の春まで、点と点はつながっています。
この先もずっと、点をひとつでも多く、つなげていきたいのです。