障害は人にあるのではなく、環境にあり変えられるもの
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車いすユーザーのOさんのお住まいは、私が初めて造らせて頂いた、バリアフリー住宅です。私ひとりが設計したのではなく、Oさんとともに車いすで生活する上での問題点を、ひとつひとつ解決していきました。
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例えば、玄関室は狭いのですが、上がり框に段差はなくしたり、玄関やリビングの引き戸の幅を広くし、バリアフリーにしました。
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Oさんのお宅に、久しぶりにお伺いした時のことです。リビングで談笑していると、玄関室の方から「ピンポーン」と、チャイムの音が鳴りました。Oさんが玄関室に出向くと、郵便局の方でした。荷物だとわかると、一旦リビングに戻り、ハンコを取り出し、また玄関へ行って、荷物を受け取りました。
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『ごめんなさいね』と、すぐにリビングに戻ってきました。この一連の流れの中では、Oさんが車いすユーザーではなく、健常者だとしても、全く同じはずでした。そこには、「障害者」と「健常者」とを、分かつものはありませんでした。
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取り立てる程でもない場面ですが、その時に気づいたのです。 「あっ、これがバリアフリー住宅なのだ」と。バリアフリー住宅とは、特別な住まいではなく、あたり前のことがあたり前にできる、住まいのことなのだと。
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バリアフリーではない、
段差のある一般的な玄関室だったら、
どうだったのだろうかと、
我が家の玄関室に立って想像しました... 。
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「上がり框の段差がある」
→ 土間に下りられず、玄関ドアの鍵を開けることができない。
「狭い廊下、狭いドア」
→ 玄関室に行くために、何回も切り返さなければならない。
結果、来客を少しの時間でも、待たせることになってしまい、 きっとOさんは、来客に対して申し訳なく、思うことでしょう。我が家の様な「バリアフリーではない」玄関室では、Oさんは、健常者と同じ様には対応できず、「障害者」になってしまいます。
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対してOさんのお住まいの様な、「バリアフリー」な玄関室では、健常者とまったく同じ様に、来客を出迎えることができました。車いすユーザーを、住まいづくりの工夫によって、障害を感じさせない様にできると、確信しました。
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「障害」は、その人にあるのではなく、
環境にあり、
そしてそれは、変えられるものであること。
「障害者」と「健常者」とを分かつもの、
私はこう考えました。
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Oさんのお宅にお伺いした時の一場面、
思いがけなく、バリアフリーを再発見する、
気づきがあったのでした。
この一場面が、バリアフリーの原点となりました。
その後に続く住まいてさんから教わったことを、
さらに続く、住まいてさんたちに伝えていくこと。
この住まいてさんから、わたされたバトン
このバトンを落とせずに、
次の住まいてさんにわたすこと
このことが私の役割なのだと、考えています。