ベッドを置く場所を、選択できる自由があること
https://gyazo.com/6d80338f2dacd4580e9ddf9342454d96
住まいてさんが進行性の難病により、近い将来に車いすを使うこと、ベッドに横になっている時間が多くなることが、想定されました。東西に広いマンションなのですが、そのベッドをどこに置くのか悩みました。「東側のリビング」がいいのか、それとも「西側の寝室」がいいのか。
https://gyazo.com/6d80338f2dacd4580e9ddf9342454d96
東側のリビングは、環境はいいのですが、ベッドでは落ち着けない、
ベッドのあるリビングには、来客を招きにくくなることでしょう。
一方、西側の寝室は、落ち着くのですが、日中の環境がよくない、
リビングの家族とのつながりが、少なくなる心配もありました。
https://gyazo.com/a705bfce032ee7fa708758749f7c6ab4
『廊下を広げること』が、この問題を解決するのではと考えました。
一般的な廊下の幅は80cm前後で、車いすで行き来するにはやや狭く、
できることなら90cm、また、110cm程の幅があれば直角に曲がって、
洗面室やトイレに入りやすくなるので、110cmにしました。
https://gyazo.com/d1ee882bcbeebe85ab3caa2d715fb09e
限られた面積の中では、廊下の幅ををそこまで広くせずに、
「廊下に面した戸の幅を広げることによって、曲がりやすくする」
という方法もありました。廊下を広げたいと考えた大切な理由は、
リビングと寝室の間を、「ベッドを移動させたかった」からです。
https://gyazo.com/3d30e3b1be27980f1c1756ecb3d324ee
どちらかにするというのではなく、そのときの気分や状況により、
ベッドの場所を変えられるようにと、考えた結果でした。
その東西をつなぐ大切な役割を、廊下に与えたいと思いました。
できれば「廊下の無い間取り」がいいと考えていますが、
しかし、廊下をなくせないならば、それを逆手に取れないのか。
結果、この廊下によって端から端までを見通すことができ、
広がりを感じられ一体感があり、ゆったりできると好評でした。
ところで「バリアフリー」とは、
『障がい者のための配慮、障がいとなるものを無くしていくこと』
だけを指す言葉なのでしょうか。
https://gyazo.com/db36a281770319c9c6a3019c09424e53
単に、車いすユーザーの、ご主人にとって使いやすいだけなら、
ご主人は、家族さんに対して申し訳なく思うでしょう。なので、
「家族全員にとって使いやすいこと」を大切に考えました。
それが、広い廊下や、使いやすい水回りなどのアイディアへと、
つながっていきました。
https://gyazo.com/eade0e1c5ec2cffae4ec0a6d7294d2d6
大きな発明をするというより、身の回りの小さな工夫、
アイディアを、ひとつひとつ発見していく姿勢を、
常に持っていたいと考えています。
「バリアフリー」というよりも、『フリーマインド』という言葉が、
私の気持ちにより近く感じます。「とらわれない心」という意味。
設計に行き詰まった時は、現場を訪ね、そこの空気を吸ってきなさい
ある建築家をアトリエを訪ねた時、そう教わったことがありました。
住まいに限らず創作するとは、何よりも「感じること」から始まる、
感じたことを自分の中で昇華させれば、自ずと形が浮かび上がると。