シャワー浴できる浴室に、またぎやすい木製浴槽を置く
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当初、この浴室の増築したとき、「浴槽をまたぐには腰に負担がかかってしまうので、浴槽の代わりにシャワー椅子だけを付けて欲しい」と、依頼されたのでした。ですが私は考えました。住まいてさんは、将来、湯船につかりたくなるかもしれない。小さくても浴槽が置けるスペースを確保しておこうと。数年後、私の予想は、現実のものとなりました。
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寒くなると湯船につかりたい。肩まで浸からなくていいので、
またぎやすい浴槽がほしい、とのことでした。
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浴室の増築の際に、壁を背にするシャワー椅子を取り付けました。
使わない時は折りたためます。ハンドシャワーがあるのですが、
介助者が利用するハンドシャワーを、壁に取り付けました。
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木製浴槽の材質は、高野槇(まき)、内寸は「55cm x 110cm」。
浴槽を囲う様に手すりを取り付けました。浴槽専用の水栓はなく、
2ヵ所のハンドシャワーから、お湯を入れていきます。
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またぎ高さ「40cm」が、安全にまたげる最大限の高さでした。
浴槽深さは「35cm」と浅くなり、半身浴しかできませんが、
この『またぎやすさ』を、最優先することになりました。
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浴室こそ暖かくすることが大切で、天井に温水循環式の暖房機、
床のタイル下にも、温水循環式の床暖房を入れてあります。
暖かくする工夫がもう一つあります。「暖色」にすることです。
浴室の天井はホワイトが一般的ですが、実は天井を貼り終えた時、
住まいてさんから「水回りは暖色にしたかった」と言われました。
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私はもっともだと思ったのですが、ピンク色の浴室天井材はなく、
天井をピンク色に塗装しました。また、壁や床のタイルも同様に、
淡いピンク色のタイルにし、目地は濃いピンク色に変更しました。
この住まいてさんの仕事の以降、住まいてさんの年齢に関わらず、
色の選定も時間をかけて打ち合わせさせてもらう様になりました。
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もうひとつ、付け加えたいことがあります。それは誰にでも、
「思い出したくないこと」があるのでは、ということです。
住まいてさんが、ホワイトのタイルを嫌った理由は、
『真っ白なタイルを見ると、手術室を思い出してしまう』
とのことでした。単に、色の好き嫌いだけではないのでした。