『ゆっくりでいいよ』の一言を添えること
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以前に建てたお住まいを訪問しました。住まいてのMさんは車いすユーザーで、メンテナンスは直ぐに終わると、帰りがけMさんから、中学生の子どもさんの作文が、市内の中学生人権作文市長賞を、もらったことを聞き、私まで嬉しくなりました。見せて頂いた作文に私は感動しました。その内容は、車いすユーザーとなった、お父さんについてでした。
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久しぶりに住まいてさん宅にお伺いして、感じることがあります。
住まいてさんご夫婦は、そんなに変わっていないのに、
対して、子どもさんたちが「激変」していることです。
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そして、その成長は、「身体的なことだけではない」ということが、
中学生の子どもさんの作文には、書き連ねられていたのでした。
その作文には、こうありました。
楽しみにしていた夏休みの家族旅行、出発の予定が遅れてしまい、
昼前となってしまいました。お父さんの支度が遅れたからです。
お父さんは前日、入念な準備を済ましていたのですが、
出発当日に、アクシデントが発生してしまいました。
トイレのことで、でした。家族全員、待ちに待った旅行です。
普通ならここで「イライラ」して、
お父さんをせめてしまいそうですが、Mさんのお宅では違いました。
その人にとって、触れられたくない事に触れずに、
最良の手助けをしてあげられる方法。
僕の考えはこうである。
それは「待つこと」だ。
最初に述べた父のアクシデントについても、
その事には触れずに、ただ待っているだけだ。
そして、Mくんは提案するのです。
いきなり人の内面に踏み込まずに、
手助けするきっかけとして、まずは、
「何かお手伝いすることをありますか?」という声かけの後に、
「ゆっくりでいいよ」と付け加えてあげたい。
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私が30年以上の時間を掛けて、多くの住まいさんから学んだこと、
Mくんにとっては日常の一場面であり、あたり前のことなのでした。
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同じ様な話を、住まいてさんというよりは、私の師匠ともいうべき、
Oさんからも、聞いたことがありました。友人が多いOさんは、
何でも手を出してくれる、友人に対して、こう言うそうです。
大丈夫、手伝わなくてもいいから。
手伝ってほしい時は、こちらからお願いするから。
待ってくれるだけでも、最良の親切なのよ。
お手伝いをする、お手伝いをされるの関係では、お互いの目線が、
同じ高さにはならないのに対し、「待ってもらう」だけなのなら、
お互いの目線を同じ高さに感じることができ、自分の気持ちに、
寄り添ってもらっていると感じられると、お話しくださいました
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また、こんな思い出話も聞かせてくれました。
Oさんが退院して住まいへと戻り、まだ間もない頃のこと、
同居している子どもさん夫婦から、こう言われたそうです。
お母さん、卑屈にならないでね。
お母さんは、よそのお母さんが教えられないことを、
お母さんは身を持って、
私や子どもたちに教えてくれているだから。
なるほど、どんな時でも、お父さんやお母さんは、教師なのですね。
どんな時でも。