日本語で行動抑制系/行動賦活系システムの個人差を測定する尺度
作成日: 2025/6/16
次の研究に関連するかもしれないので,BIS/BASの尺度下調べをした際のメモ。
安田朝子・佐藤徳(2002).行動抑制システム・行動接近システム尺度の作成ならびにその信頼性と妥当性の検討 心理学研究,73(3), 234–242. https://doi.org/10.4992/jjpsy.73.234
Carver & White(1994)をもとにして作成。ただし,BASの3因子に合わせてBISも3因子に変更するために項目を追加
因子分析の結果から項目の削除を行い最終的に各因子5項目で30項目のものが作成された
上出寛子・大坊郁夫(2005).日本語版BIS/BAS尺度の作成 対人社会心理学研究,5, 49–58. https://doi.org/10.18910/7563
Carver & White(1994) の日本語訳を作成。安田・佐藤(2002)への言及はなし。
BIS 1因子とBAS3因子
高橋雄介・山形伸二・木島伸彦・繁桝算男・大野裕・安藤寿康(2007).Grayの気質モデル パーソナリティ研究,15(3), 276–289. https://doi.org/10.2132/personality.15.276
Carver & White (1994) をそのまま翻訳
安田・佐藤(2002)が既にあるがそれとは別に翻訳を行った理由として以下のように記述している
安田・佐藤 (2002) は, Carver & White (1994) に基づいて日本語版 BIS/BAS 尺度を作成しているが,質問項目を追加/ 削除して,尺度を構成し直しているため,調査結 果の国際比較が難しい (p. 278)
考察で次のような記述があるけど,これはだれかやってるのかしら。
心理測定の見地から見ても,確認的因子分 析の結果 (Hartig, Patron, & Moosbrugger, 2003; Campbell-Sills, Liverant, & Brown, 2004) からも支持的な知見が出ているので,今後は国内のサンプ ルでも確認的因子分析,高次因子分析による検討 が行われていくことが期待される。(p.286)
中村敏健・守谷順・平石界・長谷川寿一(2011).ドットプローブ課題を用いたBIS/BAS尺度日本語版の構成概念妥当性の検討 パーソナリティ研究,19(3), 278–280. https://doi.org/10.2132/personality.19.278
高橋他(2007)の尺度について,認知課題との相関を確認して構成概念妥当性を確認しようという研究。こういう累積的な証拠の積み重ねはショートレポートというカテゴリをよく生かしているように思う。
ドットプローブ課題を用いて,(ホワイトノイズで)嫌悪条件づけされた方の刺激へ注意が向く程度の得点(注意バイアス得点)を算出して相関を検討した。その結果,(1)注意バイアス得点とBISの間に正の相関(.40で有意),(2)注意バイアス得点とBAS得点の間に負の相関が見られ(一致試行は有意で,不一致試行は有意傾向,どちらも–.40前後)理論と整合的な結果が得られている。