チ。
まさに、というか話のテーマがドンピシャに良い。
1巻の主人公ラファウは主人公たるキャラの立ち方で、物語を引っ張るのに十分な才能と度量があったが、1巻の最後で自殺したことにはかなり驚いた。
そこから2章が始まり、地動説を証明するという目的のもとに新たな主人公が据えられて物語が進んでいく。
物語の目的地は地動説の証明による知識、真理の勝利というところで、テーマはその心理の証明のために世代を跨いで継いでいくというところにあることはかなりわかりやすく示唆されている。
世代を跨いで継いでいくというテーマに対するアンチとして、2章の研究者ポジションとしてバデーニが描かれる。
心理の解明のためには当代だけではなし得ない、というのはおそらく研究者にとっては珍しくもない価値観だとは思うけれど、自分のような一般人が意識するようなことではまずない。継承こそが唯一の人間に与えられた時間というリソースの確保の手段であり、これは大抵の読者にとっては通常では認識できない驚くべき価値観として提示される。
これだけテーマがはっきりとしているとキャラクターの生死は極めて軽く、だからこそラファウという有望な主人公すら序盤で殺すことができたのだろう。
ある意味主人公が空席となる(各章の主人公は語り部にすぎない)にもかかわらず進行するためには同一の目的と同一の信仰を持たせることが必要で、地動説の証明が同一の目的として、C教の弾圧に対する服従と抵抗が同一の信仰として機能する。
難しい(珍しい)構成で書かれている漫画だと思うけど、結構テーマがいいので今後も追っていきたい。