Macの向こうから — 新海誠
from 新海誠 インタビュー
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Macの向こうから — 新海誠
https://www.youtube.com/watch?v=nrsgMBQiZ7o&ab_channel=%E3%83%9E%E3%83%83%E3%82%AD%E3%83%BC
完成しなかった名作よりも傷があるが完成した作品のほうがはるかに価値がある
はいい
傷を少なくしていくしか無い
その時に無理矢理にでも信じないと手が止まる
何を信じるかと言うとこの世の中にはまだ語られてない物語があるのではないか
わかりました。
東京に住んでいると、自分の周りの風景が、年単位でどんどん変わっていってしまいますよね。『言の葉の庭』や『君の名は。』には、数年前の千駄ヶ谷駅の姿がそのまま出てくるんですよね。自分が好きだった風景が変わっちゃう前に、その場所のアルバムを作品の中で作るというか、個人的な動機なんですけれども。
僕は長野県のすごく田舎で生まれ育ったので、あまり遊ぶ場所がないというか、眺めるものもないというか。空の存在感がすごく強い場所だったんですよ。自分がすごく綺麗だと思うような空であったりとか風景の一部になりたくて。その一部になるための手段というのが、絵を描くこととか、詩のような言葉をノートに書くことだったりしたんですよね。でも、それはやっぱりどこまでいっても断片に過ぎなかった。それを全部、同じ一台の中で扱うことができる道具が自分の手元にきた途端に、それが一つの大きな物語に繋がっていったんですよ。
20年前の一番最初のファイルです。これはちょっと恥ずかしいですね。今であればもっとちゃんとした企画書を書くと思うんですけど、もう自分の気持ちですね。何気ない台詞から強さや勇気を感じさせるような気持ちになれるものを目指そう。この程度だったんですね、当時思っていたことは。
ものづくりで一番しんどいのが、一番最初の一歩を踏み出すことのような気がしていて。最初の一歩を始めてしまって、後ろも見ずに駆け抜けてしまう。そんな勢いがないとそもそも作品は完成しないし、完成しなかった名作よりも、傷があるけど完成した作品のほうが、やっぱり遥かに価値が大きいと思いますし、そのことを重ねていって、少しでも作品から傷を少なくしていく、その方法を見つけていくしかないと思うんですよね。
その時に、無理やりにでも信じないと、手が止まっちゃうんですよね。何を信じるかっていうと、「この世の中には、まだ語られていない物語があるはずだ」と。それは小さな可能性なのかもしれないけど、でもそれを信じて、一行ずつでも、一枚ずつでも、何かを書いて、それを作品に繋げていくことができて、その果てに、もしかしたら本当にまだ誰も見たことがなくて、でも、「まさにこういうものが見たかったんだ」って、見た瞬間に多くの人が思ってくれるようなものが作れるかもしれない、ですものね、誰にでも。