pico-8 を勉強している
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まずはとにかく、コードエディタ、リソースエディタ、実行環境が統合されているのが素晴らしい。これさえあれば他のツールを使わずにゲームが作れるというのは幸せなことだ。
ゲームのライセンスもアップロードした人が設定できるようになっており、CC4-BY-NC-SAなら再利用も可能と素晴らしい。しかし最大の魅力はシンプルなAPIとファンタージコンソールという設定によるリソースサイズの制限だろう。 命令表を見てもらうと分かるようにAPIは本当に必要なものだけが用意(徹底しておりluaの標準ライブラリも使えない)されており、名前空間も1つしかない、関数名も短く基本1単語だ(アンダーバーも無い)。標準エディタが昔の開発環境のように画面が小さいため、長い名前の関数だとそれだけで画面を占有してしまいシンプルにならざるを得ない。
しかしそれが最初に学ぶときの敷居を大きく下げてくれる。最近のプログラム言語のAPIを全て覚えるのはほぼ不可能だと思うがpico-8なら人によっては可能だろう。ファンタジーコンソールによる制約が人間にとっても優しくなっている。
制約は他にも面白い現象を与えており、私が特にすごいと思ったのはカートリッジサイズだ。pico-8 のプログラムやリソースサイズは最大値が決まっており、それなりの規模のゲームは全て何らかの最適化をしている。しかし現在のコンピュータ環境では実はそんなことをしなくても本当は動く。当初私は命令をシンプルにするのはさておき、カートリッジサイズまで制約を設けるのは作る側にとって足かせになるのでは?と感じた。
しかし実際に触ってみるとこれが流通面で重要で、特にゲームを遊んだり中身を覗く側にとってはなかなかにありがたいことだということが分かってくる。アップロードされているゲームをいくらダウンロードしても現在のコンピュータにとっては微々たるサイズなので安心してダウンロードすることができる。最近のゲームでありがちな「ダウンロードしてみたら思ったよりも大きくて他のソフト消さなくちゃ」みたいなことは起きない。
リソースの数やコードの行数にも制限があるため、頑張れば理解できるんじゃないか、と思える規模なのはとても重要なことだと思う。大規模なソフトウェアを読む場合はそのファイル構造を解き明かすだけで一苦労だがpico-8の場合はいきなりメインディッシュから取り組むことができる。
リソースエディタに関しても、絵は16色(色も固定)で8x8ドットのスプライトなので私のように絵心の無い人間でもなんとか書けそう、音楽も謎の波形エディタを触ると何となくピコピコ音が作れる。フォトショップを駆使した高解像の絵など書ける気がしない人でもやってみようと思わせてくれる。
あえて制作環境に制限を設けることでかえってクリエイティブが増幅する、参加できる人が増えるという現象は大変面白いと感じた。コンピュータの能力が人間を様々な分野で上回り続ける現代ではむしろ制限の無い制作環境など存在しなくなってしまうのかもしれない。