嘘吐き=僕
●A面
僕の肩書は「嘘吐き」。英語で書く時は「fabulist」。 嘘吐き(うそつき)と云う肩書にしたのは、僕には「小説家」や「作家」「文筆家」……等々、そう云うものがどうもしっくり来なかったからだった。
僕が書いて居るものなんて、小説や文芸、随筆エッセイ評論等々、どんな文章作品にも当てはまらなくて、「嘘」位なものなんです。
僕は君たちを氣持ちよく騙せるような、質の良い嘘を沢山吐きたいと思って居ます。
●B面
「嘘吐き」と云う名称に思い当たった時すごくしっくり來ると思った。
そうして少しして、此れは前の人生からの感覺だったことを思い出した。
前の人生で僕は自分のことを「嘘吐き」だと思ってずっと責めて居たようだった。 君の事を守ると云ったのに、僕は誰よりも君のことを深く傷附けて仕舞った。
守れなかったどころか、傷附けて仕舞った僕は嘘吐きに他ならない。
そう思って僕はずっと自分のことを責めていた。
その罪悪感が、今でも深い處に傷として残って居た。
此の事を思い出した時、しばらくまた涙が止まらなかった。
君のことを思い出すと何時もよく泣いて仕舞うね。