会話
攻殻機動隊SSCのラストで頭を打たれて間もなく死に至る犯人に対して少佐がダイブして問答を行うシーンがある。ダイブしてる間に死なれると少佐も戻ってこれないためバトーは少佐に早く戻ってくるよう急かす。
攻殻機動隊シリーズではタチコマがコミュニケーションとして会話に加えて体験を共有する並列化を行うが、我々が普段他人と行う会話のうち体験の伝達や共感を求めるもの、教導はこの並列化を理想として行っているものだと思っていて、自分がぱっと思いつく会話のレパートリーもこのあたりが主なので並列化がコミュニケーションの理想、いつか情報通信が極限まで発達したとき人々の頭脳労働は多くの人々が並列化した状態のネットに接続し、一瞬で並列化を完了し労働も終わるものだと妄想していた。
一方並列化が可能な世界にいる少佐は時間をかけて問答を行った、ターン制である問答はプロセスを踏む会話であり、あるステップでの発話は前のステップなしに生まれないので、その言葉はもとから個人の記憶にあった言葉ではなくその場で生み出されたアイデアということになる。一次的な思考の共有・伝達ではなく、プロセスを踏んだ会話はクリエイティブな行為なのではないかという風に思った。これは一時的に対して継続的な思考の共有、というか言葉を介した思考の同調ともいえるのかなと思う。