システム制御工学前期中間
持ち込み
筆記用具
定規
以下の項目を特に調べておくこと。(プロック線図は前期末試験範囲とする)
制御とは
フィードバックの基本構成
ラプラス変換の基礎
基本的入力と応答
伝達関数の導出
1次遅れ系と2次遅れ系
教科書p15
表2.1のラプラス変換は与える。
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第1回
次の制御について説明している文章の( )に入る語句を答えよ。
制御とは、「ある (A) に適合するように、対象となっているものに所要の操作を加えることである。
自動制御とは「制御装置によって、 (B) 的に行われる制御」のことである。
また、 (C) 制御とは、 (C) によって、制御量(=制御される量)を目標値と (D) し、
それら一致させるように (E) 動作を行う制御である。
A:基準
B:自動
C:フィードバック
D:比較
E:調整
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次の関数のラプラス変換を求めよ。
$ (1) \; f(t) = t^3+3t^2+5t
$ \mathcal{L}\{t^n\} = \frac{n!}{s^{n+1}}より,
$ F(s)= \frac{6}{s^4} + \frac{6}{s^3} + \frac{5}{s^2}
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$ (2) \; f(t)=te^{-4t}+\sin(3t)
$ \mathcal{L}\{te^{-4t}\} = \frac{1}{(s+4)^2}
$ \mathcal{L}\{\sin(3t)\} = \frac{3}{s^2+3^2} = \frac{3}{s^2+9}
$ F(s) = \frac{1}{(s+4)^2} + \frac{3}{s^2+9}
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$ (3) \; f(t)=3\sin(2t-4)
$ \sin(2t-4) = \sin(2t)\cos(4) - \cos(2t)\sin(4)
$ \mathcal{L}\{3\sin(2t-4)\} = 3 \mathcal{L}\{\sin(2t)\cos(4) - \cos(2t)\sin(4)\}
$ = 3 \left[\cos(4) \mathcal{L}\{\sin(2t)\} - \sin(4) \mathcal{L}\{\cos(2t)\}\right]
$ = 3 \left[\cos(4) \cdot \frac{2}{s^2+2^2} - \sin(4) \cdot \frac{s}{s^2+2^2}\right]
$ = \frac{6\cos(4) - 3s\sin(4)}{s^2+4}
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過去問 2022
問題1
下図はフィードバック制御系の基本系の信号の流れ(ブロック線図)である。
Uを目標値(入力)、Aを制御装置とする。
Bは何と呼ばれるか?信号Yは何と呼ばれるか?信号Eは何と呼ばれるか?
また、A、B の部分の伝達関数をそれぞれ $ G(S) 、$ H(S) とするとき、$ \frac{Y}{U} を$ G と$ H で表しなさい。
https://scrapbox.io/files/68447d810123720914488bec.png
$ A = 制御装置
$ B = 制御対象
$ Y = 出力信号
$ E = 偏差
$ \frac{Y}{U} = \frac{GH}{GH+1}
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問題2
制御について説明している文章の( )に入る適切な単語を回答欄に書きなさい。
制御とは、「ある(A)に適合するように、対象となっているものに所要の操作を加えることである。(B)制御とは「制御装置によって、自動的に行われる制御」のことである。また、フィードバック制御とは、「(C)によって、制御量(=制御される量)を(D)と比較し、それらを(E)させるように訂正動作を行う制御」である。
$ A = 目標
$ B = 自動
$ C = フィードバック
$ D = 目標
$ E = 近づけ
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問題3 入力を $ u(t) 、出力を $ y(t) とするとき入出力系を考える。以下の問に答えよ。
(1) 伝達関数 $ G(S) の定義を書きなさい。
$ G(S)= \frac{L[y(t)]}{L[u(t)]} = \frac{Y(s)}{U(s)}
(2) 伝達関数 $ G(S) の逆ラプラス変換 $ L^{-1}[G(s)] を $ g(t) と書くとき、関数 $ g(t) を何とよぶか?
重み関数とよびます。
(3) $ g(t) と $ u(t) 、$ y(t) の $ t 領域での関係を書きなさい。
$ y(t) = \int^{t}_{0} g(\tau)u(t-\tau)d\tau
(4) 伝達関数 $ G(S) = \frac{5}{S+2} のとき、$ g(t) を求めよ。
$ g(t) = L^{-1} \left[\frac{5}{S+2}\right] = 5e^{-2t}
(5) 伝達関数 $ G(S) = \frac{5}{S+2} の入出力系で、入力 $ u(t) = \sin(3t) のとき、出力 $ y(t) のラプラス変換 $ Y(S) を求めよ。
$ U(S) = L[u(t)] = L[\sin(3t)]
$ = \frac{3}{S^2 + 9}
$ Y(S) = G(S)U(S)
$ = \frac{5}{S+2} \cdot \frac{3}{S^2 + 9}
$ Y(S) = \frac{15}{(S+2)(S^2+9)}
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問題4
過渡応答に一般的に用いられる入力信号には、3種類ある。入力信号 $ u(t) の信号名、時間領域での関数 $ u(t) 、ラプラス変換された $ U(S) についてまとめた次の表を埋めなさい。また、伝達関数 $ G(S) ($ K は定数)が与えられたときの応答 $ y(t) を表内に書き表を完成させなさい。
https://scrapbox.io/files/6845b7e464cb9dd200d6dfe5.png
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問題5
右の回路図を考える。入力を電圧 $ V_i(t) 、出力を電圧 $ V_o(t) とするときの伝達関数を求めよ。
$ R は抵抗、$ C_1 、$ C_2 はコンデンサである。
https://scrapbox.io/files/6845bc2b856447789a19b539.png
$ s = j\omegaと考えると分かりやすいですhill_san.icon
抵抗$ R のインピーダンスは $ Z_R = R
コンデンサ $ C のインピーダンスは $ Z_{C} = \frac{1}{sC}
(備考:インダクタ $ L のインピーダンスは $ Z_{L} = sL )
$ R と $ C_2 の並列インピーダンス $ Z_{RC_2} は、
$ Z_{RC_2} = \frac{R \cdot \frac{1}{sC_2}}{R + \frac{1}{sC_2}} = \frac{\frac{R}{sC_2}}{\frac{sRC_2 + 1}{sC_2}} = \frac{R}{sRC_2 + 1}
回路全体のインピーダンスは、$ C_1 と $ Z_{RC_2} の直列接続なので、$ Z_{total} = Z_{C_1} + Z_{RC_2}
$ Z_{total} = \frac{1}{sC_1} + \frac{R}{sRC_2 + 1} = \frac{sRC_2 + 1 + sC_1 R}{sC_1(sRC_2 + 1)}
伝達関数 $ G(s) は $ G(s) = \frac{V_o(s)}{V_i(s)} と定義され、
分圧の法則より、$ V_o(s) = V_i(s) \frac{Z_{RC_2}}{Z_{C_1} + Z_{RC_2}}
したがって、
$ G(s) = \frac{Z_{RC_2}}{Z_{C_1} + Z_{RC_2}}
$ G(s) = \frac{\frac{R}{sRC_2 + 1}}{\frac{1}{sC_1} + \frac{R}{sRC_2 + 1}}
分母を通分して、
$ G(s) = \frac{sC_1 R}{s(C_1 R + RC_2) + 1}
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問題6 ラプラス変換に関する以下の問いに答えよ。
$ (1) 5t^2 - 3t^4 + 2
$ L[5t^2 - 3t^4 +2] = 5\cdot\frac{2!}{s^3} - 3\cdot \frac{4!}{s^5} + 2\cdot\frac{0!}{s^1}
$ = \frac{10}{s^3} - \frac{72}{s^5} + \frac{2}{s}
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$ (2)t^2 e^{-3t} + \sin(4t)
$ L[t^2 e^{-3t} + \sin(4t)] = \frac{2!}{(S+3)^2} + \frac{4}{s^2 + 4^2}
$ (3)4\sin(2t + 3)
$ 4\sin(2t + 3) = 4 \{\sin(2t)\cos(3) + \cos(2t)\sin(3)\}
$ L[4\sin(2t+3)] = 4\cos(3)L[\sin(2t)] + 4\sin(3)L[\cos(2t)]
$ = 4\cos(3)\frac{2}{s^2 + 2^2} + 4\sin(3)\frac{s}{s^2 + 2^2}
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問6<2> 次の関数の逆ラプラス変換を求めよ。
$ (1) \frac{1}{(s+1)(s+2)}
$ \frac{1}{(s+1)(s+2)} = \frac{A}{s+1} + \frac{B}{s+2}として、
ヘヴィサイドの定理より、
$ A = \lim_{s \to -1} \frac{1}{s+2} = 1
$ B = \lim_{s \to -2} \frac{1}{s+1} = -1
よって、
$ L^{-1}\left[\frac{1}{(s+1)(s+2)}\right] = L^{-1}\left[\frac{1}{(s+1)} - \frac{1}{(s+2)}\right]
$ = e^{-t} - e^{-2t}
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$ (2) \frac{s-1}{(s+3)^2 (s+1)}
分母に重根が含まれる場合は、素直に連立方程式を解いた方がよさそうhill_san.icon
$ \frac{s-1}{(s+3)^2 (s+1)} = \frac{A}{s+1} + \frac{B}{s+3} + \frac{C}{(s+3)^2}として、
右辺を共通の分母$ (s+3)^2(s+1)になるよう通分して、
$ \frac{A(s+3)^2}{(s+1)(s+3)^2} + \frac{B(s+1)(s+3)}{(s+1)(s+3)^2} + \frac{C(s+1)}{(s+1)(s+3)^2}
左辺の分子$ s-1と、この整理した分子を比較する。
$ s-1 = A(s+3)^2 + B(s+1)(s+3) + C(s+1)
右辺を展開して整理(5分経過hill_san.icon)
$ s-1 = (A-B)s^2 + (6A + 4B + C)s + (9A + 3B + C)
よって、
code:latex
\left\{
\begin{array}{l}
0 = A+B \\
1 = 6A + 4B + C \\
-1 = 9A + 3B + C
\end{array}
\right.
を満たす$ A, B, Cを求める。(8分経過hill_san.icon)
code:latex
\left\{
\begin{array}{l}
A = -\dfrac12 \\
\\
B = \dfrac12 \\
\\
C = 2
\end{array}
\right.
よって、
$ \frac{s-1}{(s+3)^2 (s+1)} = \frac{-1}{2(s+1)} + \frac{1}{2(s+3)} + \frac{2}{(s+3)^2}
$ L^{-1} \left[\frac{-1}{2(s+1)} + \frac{1}{2(s+3)} + \frac{2}{(s+3)^2}\right]
$ -\frac12 e^{-t} + \frac12 e^{-3t} + 2t e^{-3t}
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<3> ラプラス変換を用いて、次の$ y(t)についての微分方程式を解きなさい。
$ \frac{dy}{dt} + 4y = -2t $ y(0) = 1
両辺をラプラス変換して、
$ \{sY(s) - y(0) \} + 4Y(s) = -\frac{2}{s^2}
$ \{sY(s) - 1 \} + 4Y(s) = -\frac{2}{s^2}
$ Y(s)についてまとめると、
$ Y(s) = \frac{s^2 -2 }{s^2(s+4)}
$ \frac{s^2 - 2}{s^2(s+4)} = \frac{A}{s} + \frac{B}{s^2} + \frac{C}{s+4}として、
これを解いて、
code:latex
\left\{
\begin{array}{l}
A = \dfrac18 \\
\\
B = -\dfrac12 \\
\\
C = \dfrac78
\end{array}
\right.
$ y(t) = L^{-1} \left[ \frac{1}{8s} - \frac{1}{2s^2} + \frac{7}{8(s+4)} \right]
$ y(t) = \frac{1}{8} + \frac{1}{2}t + \frac{7}{8} e^{-4t}
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問題7 一般に1次遅れ系の伝達関数の標準形は $ G(S) = \frac{K}{1+TS} で与えられる。$ K と$ T は正の定数である。以下の問いに答えよ。(15点)
(1) $ T は何と呼ばれるか?(2点)
時定数とよびます。回路の部品(インダクタ、キャパシタの値)に依存します。
キャパシタが$ 1 - (e^{-1}) \approx 0.632 = 63.2[\%] 充電されるまでの時間
(2) 単位ステップ入力時の応答(出力)$ y(t) を求めよ。(5点)
$ Y(S) = G(S)U(S) = \frac{K}{1+TS} \cdot \frac{1}{S}
$ \frac{K}{1+TS} \cdot \frac{1}{S} = \frac{a}{1+TS} + \frac{b}{S}として、
通分して分子を比較
[$ K = aS + b(1+TS)]
整理して、
$ K = b + (bT + a)S
$ \therefore a = -kT, \ b = K
$ Y(S)=\frac{-KT}{1+TS} + \frac{K}{S}
分母を S+a の形にする
$ Y(S) = \frac{-K}{\frac{1}{T} + S} + \frac{K}{S}
$ y(t) = L^{-1}\left[\frac{-K}{\frac{1}{T} + S} + \frac{K}{S}\right]
$ y(t) = -Ke^{-\frac{1}{T}t} + K
$ y(t) = K(1-e^{-\frac{1}{T}t})
(3) (2)の応答(出力)の式から、$ y(T) を求めよ。(2点)
$ y(T) = K(1-e^{-1})
代入するだけ
(4) (2)の応答曲線 $ y(t) の$ t=0 での$ T の接線の式を求めよ。(2点)
$ y(t)' = \frac{K}{T}e^{-\frac{1}{T}t}
$ t=0[]を代入
$ y(0)' = \frac{K}{T}
両辺を積分して、
$ y(0) = \frac{K}{T}t
(5) (4)の接線と$ T の関係を(2)の応答曲線 $ y(t) の図を用いて述べよ。(2点)
https://scrapbox.io/files/6845c89e249625561885950a.png
(4)の接線のy座標がKのとき、x座標は時定数Tとなる。
(6) $ G(S) = \frac{5}{3+6S} で与えられる1次遅れ系の$ K と$ T を求めよ。(2点)
$ G(S) = \frac{K}{1+TS} の形になるよう整理
$ G(S) = \frac{5}{3+6S} = \frac{\frac{5}{3}}{1 + 2S}
$ \therefore K=\frac{5}{3} , \; T = 2
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問題8 2次遅れ系の伝達関数の標準形は次の式で与えられる。ここで、$ K はゲイン、$ \omega_n は固有角周波数、$ \zeta は減衰係数とよばれ、すべて正の定数とする。次の問に答えよ。(8点)
$ G(S) = \frac{K\omega_n^2}{S^2 + 2\zeta\omega_n S + \omega_n^2}
(1) $ G(S) = \frac{4}{2S^2 + 3S + 8} のとき、$ K 、$ \omega_n 、$ \zeta はそれぞれいくらか?回答欄に書きなさい(6点)
$ G(S) = \frac{2}{S^2 + \frac{3}{2}S + 4}
$ \therefore K = \frac{1}{2}, \omega = 2, \zeta = \frac{3}{8}
(2) 2次遅れ系のステップ応答が振動的になるための条件を述べよ。(2点)
$ 0 < \zeta < 1
$ \zeta > 1のときは非振動的である。