ドラえもん
https://www.youtube.com/watch?v=IVuXGgOGR7Q
藤子不二雄の藤本弘(のちの藤子・F・不二雄)が執筆した漫画『ドラえもん』は、1979年に2度目のテレビアニメシリーズが放送開始され、2023年現在も放送中である。
44年!nishio.icon
本作の第1話「ゆめの町ノビタランド」はプロローグ的な意味合いなどは全く持たない平常的な作品...ドラえもんが初めてのび太の前に現れる原作の第1話にあたる「未来の国からはるばると」は、翌年の正月特番として放送された。
企画書を作成した高畑勲は通常のエピソードを第1話に用意した意図について次のように記している。 ドラエモン〔ママ〕は何者か、どこから来たか、のび太とどういう関係なのか、をはじめからわからせるために、特別な第1話を指定することはしない。
ドラエモンの出現とのび太のおどろきをみせない方が良いということを積極的に主張する根拠はないが、ドラエモンとのび太の友情の発展していく過程とか、パパやママのそれを受け入れていく過程などを描くことが予定されていない以上、第1話それ自体としての問題でしかなく、要は如何に面白い話を第1日目に提出するかという点で考えたい。
「ドラエモン」の魅力はドラエモンという不可思議な存在が、その存在のリアリティを子供に植えつけることで増加するわけでなく、ドラエモンがポケットから出すものによって、平凡な日常生活が急に活気を帯び、楽しく夢のあるものになったり、なりかけて駄目になったり、イタズラ心や子供っぽい復讐心に刺激を与えられて、笑いを解き放たれるところに、その魅力があるのだから、短刀直入〔ママ〕に個々のエピソードを展開しはじめたほうが良いだろう。 同じような意味で、のび太、パパ、ママ、しずか、スネ夫、ジャイアンなども、最も一般的なタイプを代表していて、ドラエモンの道具によって異変が持ちこまれるべき「日常生活の世界」を最もシンプルな形で構成しているのだから、この藤子不二雄的人物達とその関係は子供達に一目瞭然であり、余計な説明も肉づけも不要である。
以上の点から、このシリーズの場合、シリーズの構成といったものは不要であり、いかにバラエティを考えるかだけが重要である。
— 高畑勲「ドラエモン"覚書"」1977年
こういう「シリーズの構成」を持たない、単独のショートショートの集合体だからこそ44年も続いたわけなんだなぁnishio.icon