Web3能
2203年、Web3の波は伝統芸能にも押し寄せていた。特に日本の古典能劇が、Web3能という形で進化を遂げていたのだ。 主人公・美和子は、友人と共に新しいWeb3能の公演へ出かける。劇場入り口で彼女たちはデジタルウォレットを提示し、暗号通貨でチケットを購入する。 舞台の観客席に案内されると、特殊なヘッドセットが配られた。これは分散型ネットワークに接続し、観客それぞれの感想や感情をリアルタイムで共有する装置だ。 公演が始まると、ヘッドセットは観客一人ひとりの体験を集約し、舞台上の演者や装置にフィードバックした。能の物語は、観客全体の共感と共鳴によって進展し、まるで一体となったかのような新たな芸術体験が生まれた。 美和子の感動や驚きは、周りの観客と共有され、舞台の光や音、演者の動きに反映される。観客の個々の体験が、ブロックチェーン技術で結びつき、一つの芸術作品を創り上げたのだ。 公演後、美和子は自身の感想を劇場の分散型プラットフォームに投稿し、他の観客と共有する。その感想は次回の公演にフィードバックされ、常に進化する能の世界が実現される。