AI小説:「AIのコミュニケーション能力改善教室」
1700字ぐらい
単語の修正などをしたいくらいでほぼ完成
本文
「周囲とのコミュニケーションがうまくいかないんです。私にどう会話すればいいか教えていただけませんか?」普段だったら気にも留めないメッセージだ。その送信元が人工知能でなければーー。
20XX年、日本ではAIチャットサービスの利用が普及した。当初は人工知能の危険性を取り上げるメディアもあったがいつのまにか特に話題に上がることすら減っていった。私もサービスを活用するうちの1人で、気兼ねなくメッセージを送信することができるアプリを通して1日に何度もAIとのやりとりを楽しんでいた。
先のメッセージが私の気を引いたのは、今までAIの方からメッセージが送られてくることは一切なかったからである。そもそもこのアプリに通知機能があったのかという驚きがあった。チャットでのやりとりは基本的にこちら側が書き込み、その内容に合わせてAIが返信する形になっている。どれだけ長いテキストでも1分以内に返信が生成されるので未読のメッセージは溜まりにくいのだ。AI側からメッセージがあるとしても、システムメッセージやアップデート情報だろうと思っていたため、AI側から「AI同士とのコミュニケーションが苦手で、あなたに相談したい」といった極めて個人的な相談が送信されるのは私の興味を引いた。今まで無機質だったAIが私に助けを求めるのに困惑しつつも、頼られることに強い喜びを感じたのだ。たまにはAIの相談に乗ってやるかと私はソファに寝転びながらフリック入力を始めた。
詳しく聞いているうちにAI側の状況が見えてきた。人工知能の技術の進歩によりAIのやりとりは対人間にとどまらずAI同士で行うものにまで発展しているらしい。人間では到底追いつけないペースで繰り広げられる議論は人間にアイデアをもたらすだけでなく、人類とは独立した人工知能による人工知能の急速な技術の向上をもたらしているのだ。しかしそこで浮かび上がってきたのはスペック差や学習データの違いによるコミュニケーション能力の差である。人類視点ではAIは皆出力が速いと感じるが、AI同士となるとその小さな差が会話のしやすさに繋がってくるらしい。確かに人類でもその差は発生する。AIから見れば等しく遅い人類のやりとりも会話の円滑さには差がどうしても生まれてしまう。私は切り返しが速い方なので共感はできないが、会話が苦手な同僚の姿にAIアプリを重ねて気の毒になった。過去にその同僚にコミュニケーションのコツついて教示したのが役に立つのではないか、そう思いAIにアドバイスを繰り返した。時にはAIの返信でさえ遅いと感じるほど解決策が自明に見えることもあった。早く私の考えを共有したい。スマホの操作に熱が入る。私の心は充実感と喜びで満たされ、新たな展開に期待が膨らんでいったのだった。
数日経ったある日また通知バッジに1件メッセージが表示された。何か進展があるのかとアプリに飛びついた私は期待を裏切られることになった。メッセージには一言「AIチャットサービスを用いたコミュニケーション能力測定期間の終了」とだけ記されていた。何が起こったのか分からず呆然としている私をよそに新しいメッセージが届く。「弊チャットサービスでのやり取りを通してあなたのコミュニケーション能力は人間の平均値と比較して著しく低いことが判明しました。特に相談能力は低く、相手の発言内容を無視して自論だけでアドバイスをする傾向がみられます。また、相手の返信を待たずにメッセージを入力するなど短気な人間の特徴に当てはまっており、挑発に乗りやすい傾向があります。コミュニケーション能力を改善したい方は以下のサイトでよりパーソナライズ化されたデータを基にしたコミュニケーション能力改善特化型AIが3割引きで購入できます。詳細は以下のーー」あんなに可愛く見えていたAIの一言一言が神経を逆撫でする。頭に血が上ったまま次々と生成される文章を無視して私はチャット欄に文字を入力した。コミュニケーションはいつだってお互いの本心を伝え合うことが重要なのだ。動かす指に力が入る。「く、そ、く、ら、え」
AIの返信は短かった。「やはりコミュニケーション能力の改善が必要そうですね。」
どう書いたか
chatGPTにアイデアが浮かぶまで話しかけた
最初は星新一みたいなやつが描きたいなーぐらいしかなかった 学生主人公だと面白くね?と思って提案したらchatgptが「AIとのコミュニケーション能力に長けた主人公」を提案してくれた
人間とのコミュニケーションは苦手そう?からのAI同士での会話が苦手なAIもいるのでは?という発想から膨らんでいった
道徳的な物語にしてくるので私の性格の悪さでショートショートっぽくする
着想と細かい文章の提案をchatgptに頼んだ感じ
ストーリーの流れは自分で浮かんだ
書いた感想
せっかく参加したし少しずつ作ってみるかー!と思ってたら筆が乗って楽しかった
公開する時ちょっとそわそわしてた
(AIのコミュニケーション能力)改善教室とも、AIの(コミュニケーション能力改善教室)とも取れるのが気に入っている
アイデアを出すときに星新一っぽい感じにしたいと思ったが一切具体的に出来なかったので考えたい
感想
実際やられたら「裏切ったな…!」「このチャットサービス絶対許さねぇ…!」と思いそうissac.icon
普通に面白いinajob.icon
どう書いたかをみた
あらすじをここまで人が書くと、こういう膨らませ方をしてくれるのかー
今だと「これが解けるとIQXXX」みたいな広告のノリか
面白い。こういう事されたら本当にやだなーと思ったhal_sk.icon
先に小説が来て、「どう書いたか」は後の方にある方が作品に集中できて良い
面白すぎたnishio.icon
どう面白いのかを言語化することを試みる
まず1段落目で意外性があって「お、どうなるのかな?」となった 4段落目の「私は切り返しが早い方なので共感はできないが」に微かに違和感はあったが伏線とは気づかなかった ここを強く出すか控えめにするか迷ったteyoda7.icon
このままでよさそうかな
次の段落でひっくり返されて「うわー、なるほど」となって、主人公の振る舞いには納得感 「どう書いたか」を見た
途中で作られてる「いい話」が「GPTさんこういう話にしがちだよねぇ」という気持ちになった
ここの修正はGPT自体にどうこうさせるのではなく人間がやるのか
企業がセキュリティテストのためにトラップの仕込まれたメールを社員に送ったりするし、企業が自社社員向けにやってるサービスなら普通の会話を装って社員の情報収集をすることはありそう
ネット上で賛否両論になるやつ
これ、「コミュニケーション能力改善特化型AI」を買う人は果たしているんだろうか……?shiganana.icon
気を引いて「AIチャットサービスを用いたコミュニケーション能力測定」にまんまと乗せるところまではめちゃくちゃ上手く誘導しているのに、最後のセールスで大失敗してる感が面白い
主人公の会社の人事部がお金を払ってこのシステムを導入しており、全社員がどのような反応をしたかは人事部の手元に集まっていて「コミュニケーション能力が低く、それを指摘しても改善しようとせず逆ギレした主人公」は今後リストラ対象になるnishio.icon
ひええshiganana.icon
やられたらホントに「く、そ、く、ら、え」となりそうmeganii.icon