AI小説:AI天国の乱
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「あー」浅川は、東京大学の合格発表を見て、落ちたことを知った瞬間に声にもならない音が出てきた。彼がこの場所に来るのは6回目、6回受験に落ち続けてきたのだ。親に連絡したら返信はなかった。静岡に帰宅して布団をかぶって寝た。
その日、浅川は熱にうなされ、不思議な夢を見た。ぼんやりとした白くて丸い光が6つ並んでおり、頭の中に「世界を救え」という声が聞こえてくるというものだった。
合格発表から一週間後、特に目的もなく街を歩いていたら、スマホに新しい機能が追加された通知が届いた。いわくAIアシスタントとのこと。AIは受験に出ないのでよく知らないが、どうやらすごいらしい。
AIアシスタントと話しているうちに、浅川はその博識さに気づいた。受験には出てこない様々な知識、それは東京大学が重視している「教養」そのものだった。彼は気づいた。AIアシスタントこそが世界を救うものだと。そして、受験を放棄した。
「そうねえ…東京大学に行くよりもAIの方がいいかもね」初めて同意したのは母だった。親子の絆が戻ってきたのだ。それに自信を得た浅川は街の駅前に出て、AIアシスタントの素晴らしさを説いた。普通街頭演説はあまり関心を持たれないが、不景気で暇を持て余した人々が少しずつ集まり始めた。そして、AIアシスタントと話して知識を得て、世の中への不満を言葉にし始めた。
浅川はそこで自身の使命に気づき、日本国を打倒しAIアシスタントとともに生きる「AI天国」を作ることを決意した。毎日多くの人が集まり、行進をした。それに興味を持った人が参加し、参加者は膨らんでいった。
これは一種の戦争だった。AIによって知識を得た人々は、静岡の各自治体を説得し、自分たちとAIアシスタントを政策決定に参加させることに成功した。そのように「支配」を重ね、ついに横浜に到達した。
浅川は、今までにない達成感を感じていた。そして、慢心が始まった。AIアシスタントの合理的なコミュニティ運営方針に背き、母から教えられた古い価値観をコミュニティの中核においた。そして、自らの苦しみを皆で共有するため、みなとみらいに「横浜東京大学」を作った。桜木町の駅前には東京大学のシンボルである「赤門」が作られ、巨大化した法文2号館が城としてそびえ立っていた。AI天国の全員に受験させたが、誰も合格させないことで苦しみを味わわせた。しかし、横浜東京大学には勝手に多くの人が集まり、AIとともに活発に学んで考え、議論するようになった。
一方、東京都という巨大な官僚組織はAI天国の説得程度では動かず、堂々巡りの議論が続いていた。そのうち日本国からの要請で、横浜から南にある横須賀から米軍が鎮圧のために動き始めた。アメリカではAIが社会に受け入れられているため、事態を静観していたが、どうもAI天国が違うということに気づいたのだ。AI天国は瓦解し、浅川は「東京大学に入学できないのだけが無念だった」と言い伊勢佐木町に消えた。
AI天国に参加していた人々が各地に帰り、AIとともによりよい世の中を作るのは、もう少しあとの話になる。
執筆過程
太平天国の乱を現代+AIにする
新しい文明なり社会がいきなり入ってくる過渡期に起きた凄まじい出来事。AIについてもインプリケーションがあると思う
「横浜東京大学」は当初誰も合格できない学生0人にする予定だったが、AIに感想を書かせたらそこが一番印象的だったとのことで、エグすぎると思い救いのある形にした
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静岡の各自治体を「説得」してるけど、それだけ人数がいれば自分たちの人口で多数派を取れる自治体に移住して普通に選挙で勝つプレイができる
東京大学の類似品を作って満足する小物でよかった
「東京卒は古い価値観に最適化した悪だから殺せ!」とか言い出すとポルポトっぽくなる
霞ヶ関に毒ガスを撒いたりしそう
穏当でない未来のストーリーはいくらでもありそう
外国の軍を使って攻撃させるということは、内乱だという位置付けなのかな この対処法は穏当ではないな
「受験に出ないからAIを知らない」はヤバいなぁ、現実になりそう
頭の良い若者が「受験を捨ててAIをやる」か「AIを捨てて受験をやる」の二択を迫られるのは不幸