Clipperの仕様の違いが気になる 11/21/2024
クリッパーの挙動を複数社分観察したよ
TLDR
同じであろうハードモード/softness=0で似たような設定(OSなし、Ceiling=0、+12in、-12out)にしても音は全然違った
音はSerumの正弦波@ C5
出力された音の違いについて
Signum Audio SKYE clipper:緑
SIR Audio Tools Standardclip:青
Venn Audio V-Clip:赤
Kazrog KClip:白
https://scrapbox.io/files/673f3434f042f193d46f449f.png
観察したこと
StandardとVennのハードは出力された帯域が完全に被っており、表示が紫色になっている
考察:違う会社が同じ工夫をしたとは考えづらいので、工夫なしのHardclipperと予想
K-Clipは一番下の倍音(150Hzあたり)がStandardとVennほど出ていない
考察:低音に対する歪みを歪みの曲線なのかハイパスなのかで減らしてると予想
SKYE以外の3製品はC以外の場所にも音が出ているが、SKYEは折り返しノイズが少ない
SKYEはより純粋な歪みを付加することができていると言える
SKYEはオーバーサンプリングなしの設定でこれなので、仕様が不明(マニュアルにも書いていなかった)
レベルについて
https://scrapbox.io/files/673f34a5061b4fb6a9089ef0.png
StandardとVennは-12になっているので、設定した数値通りになっている(通常のHardclipperと同じ挙動をしている)
KClipとSkyeは設定した数値(12)から少しレベルが高い:ピークを超えたにも関わらず、クリップされていない部分がある
ハードモードにしても、完全なブリックウォールクリッパーにはならない(どこまでもSoft)のかも
波形について
https://scrapbox.io/files/673f38d727dfdf3d44d1de78.mp4
StandardとVennは波形が同じで、ほぼ矩形波になっている
やっぱりHardclipper
KClipは上2つ以上に少し丸みのかかった矩形波
Skyeはさらに丸みを帯びた矩形波で、波の1周期の中で一番レベルの高い(天井の)ところが直線ではなく、チリチリしている
というか、ここまで色々語ってきたけど、StandardclipはSoftclip Proが個性なので、
ハードクリップの話ばかりしていても勿体無い気がしてきた。
〜以降は使用感とか主観を重きに置いた生地になります〜
StandardClipのSoftclip Proはレシオ1/2のコンプを閾値以上の音に対してかけて、それで半分になった分のゲインを足してSaturatorに突っ込む仕様になってるっぽい。(マニュアルにもそう記載してあった)
実際に試してみるとClip後の音が聴感では数値ほど歪んで聴こえなかったのと同時に、メーター上では数値の通り切れていたので、濃いめにかけて音圧が稼ぐ事ができるなと感じた。
このコンプ→クリッパーという手法自体は特に新しいものではないので、手軽にやりたい人向け、という感じだと思う。
(僕は既にやっていた手法なので不要かも?と思いつつ、サクサクこれができるのは魅力なので悩み中という感じ)
現にSpinz 808などを利用したヒップホップ系の打ち込みTipsだと、FLのサンプラーにあるリミッティング機能をオンにした上で、後段にFruity Clipper(プラグインの名前がうろ覚え)を挿すようにプロデューサーが話していた。