認知負荷
Cognitive load
人間の有限の認知資源を圧迫する負荷
文脈により定義が異なるが、このような意味で使われ始めたのは教育心理学の研究に由来
1988年の論文 "Cognitive load during problem solving: Effects on learning." 以降
認知負荷および認知負荷理論 (Cognitive Load Theory) をもう少し正確に理解するための心理学研究・知見の紹介
認知負荷理論とは人間の認知機能の構造と限界に注目して、効果的な学習デザインを考案するための理論である
学習や経験により獲得される知識体系(スキーマ)をいかに構築するか、利用を促すか、を論じている
スキーマは関連づけられた知識や概念、手続きのネットワーク
3つの認知負荷
intrinsic cognitive load (課題内在性負荷)
学習対象そのものの複雑さ = 要素の困難度により生じる負荷
学習者の既有知識や習熟の程度によって増減する
外部から直接・即時に操作することはできない
extraneous cognitive load (irrelevant load、課題外在性負荷)
学習に無関係な外的な負荷
外部からの操作により減らすことが可能で、極力減らすべき
germanecognitive load (relevant load、学習関連負荷)
理解など学習目標の達成のための認知活動により生じる生産的な負荷
ワーキングメモリからintrinsic cognitive loadとextraneous cognitive loadを引き、残された容量がgermanecognitive loadに用いられる
認知負荷理論の基本的な関心は、いかに extraneous load を減らすデザインを工夫し、そしていかに germane load を喚起するようなデザインを行うか、という点にあると言えます。
ohbarye.icon 人月の神話、Out of the Tar Pitにおける本質的な複雑さ・偶発的な複雑さの議論に関連