情報専門学科におけるカリキュラム標準
世界標準である米国IEEE/ACMのCC2001-CC2005を土台として、日本の情報専門教育の状況に対応した見直しを行い、コンピュータ科学(J07-CS) 情報システム(J07-IS) ソフトウェアエンジニアリング(J07-SE) コンピュータエンジニアリング(J07-CE) インフォメーションテクノロジ(J07-IT) の5つの領域と、広く情報について学ぶ内容を定めた一般情報処理教育GEについてまとめたカリキュラム標準です。幅広い情報教育分野のなかで、各知識領域について体系的に学んでいくべき 指針となるカリキュラム構成や最低限習得させるべき項目をコアと指定 しています。
J07の策定から10年が経過し、技術の内容が大きく変化したこともあり、今回全面的な見直しを行い、J17として公表することとした.
J17は、従来からの6カリキュラム標準に加えて、世の動きに合わせて情報セキュリティ、データサイエンスという発展中の対象領域についても、別立てに側面別カリキュラム標準をおく方針を立てている.ただし、現時点では、サイバーセキュリティに対する側面別カリキュラム標準J17-CyberSecurityの素案だけを提示する段階にある.
1990年代、J97というカリキュラム指針があったが産業界の要請に即していないという指摘があったらしい
基礎分野に寄りすぎている
ohbarye.icon 大学なので基礎を教えるのは当然な気もするが…
従来は計算機科学(コンピュータサイエンス)1領域がカリキュラムの対象だったが、社会の変化と計算機の爆発的な普及により、ACMとIEEEが定めた大学カリキュラム案CC2005では5つの領域に分割された http://www.ipsj.or.jp/12kyoiku/J07/20090407/fig_2.png
この図はCC2205 Overviewを元にJ07用に改変したもの
https://gyazo.com/cf67306f5c6ff3dd5c244f7e3a0073bf
ohbarye.icon ohbarye が各5領域のシラバスから必須科目を抜き出して配置した
複数領域にまたがる物が多すぎるので正確に図示することは諦めた
IT領域はトピック量が多すぎるのでほんの一部しか抜き出せていない
Soft skillsとかある
2020年5月時点で、自分の経験・専門領域が右上から中心にかけてのIT, IS, SEあたりとわかってきた
https://gyazo.com/914f39a92e0c6bf6f2b7e26f5fad7171
5領域
上記図からわかるように、重なり合っている
CS (Computer Science)
CS は,情報の表現・蓄積・伝達・変換に関するアルゴリズム的プロセスを,理論・分析・設計・実現・評価の各面にわたって系統的に扱う領域である。この領域の根底にある問題意識は,「何が効率よく自動化できるか」である。
つぎに示す学習域などの,少なくとも3学習域についてのより深い学習
アルゴリズムとデータ構造
オペレーティングシステム
計算理論
コンピュータシステムの構成とアーキテクチャ
情報ネットワーク
数値計算・記号計算
ソフトウェア方法論・ソフトウェア工学
知的システム
データベース・情報検索
ヒューマンコンピュータインタラクション
プログラミング言語
IS (Information System)
IS は,社会や組織の問題点を見つけ出し,組織の変革を行い,費用対便益の高い情報システムの開発・導入を創造的・効果的に実現するために必要となる,理論・技術・技量を幅広く扱う領域である。この領域の根底にある問題意識は,「いかにして最大の費用対便益をもたらすか」である。
つぎの学習域についての基礎的項目
データ管理
分析と設計
組織における情報システムの役割
情報システムを囲む環境
多様な情報システムの事例理解
情報システム開発の実践に必要な問題形成・モデリング・プロジェクト管理についての十分な量の実習
立場や国を超えてのコミュニケーション能力・プレゼンテーション能力を得させるための十分な量と深さをもった学習
SE (Software Engineering)
SE は,CS およびソフトウェア工学 を基にし,「体系化された方法論および計量技法を用いて,ソフトウェアシステムを開発,運用および保守すること」を目的とする領域である。
ソフトウェア技術者としての社会的責任の遂行と実践に必要となる,情報倫理・社会・法律・経済・安全に関する事項の学習
ソフトウェアシステムに関わる,要求分析,設計,検証・正当性確認,実現および保守に関する基礎的技術の学習
ソフトウェアシステム開発の実践に必要な,プロジェクト管理・プロダクト構成管理・プロセス管理・リスク管理・品質計量尺度に関する基礎的技術の学習
ソフトウェア開発プロジェクトに参加するために必要な,つぎの視点からのコミュニケーション能力養成
提案作成,プレゼンテーション,聞き取りと分析
計画,折衝,協調,技術・経済の両面からの意思決定,統括
CE (Computer Engineering)
CE は,情報のプロセスを応用各面にわたって系統的に扱い,ハードウェアでの実現を目指す領域である.
システムプログラムに関する基礎的項目
つぎの示す学習域などの,少なくとも一つの学習域についてのより深い学習
コンピュータシステム(論理設計,集積回路,コンピュータアーキテクチャ,電子回路,ディジタル回路,など)
情報通信(信号処理,符号理論,情報ネットワーク,ディジタル通信,など)
コンピュータ応用(画像処理,音声処理,マルチメディア処理,データベース,人工知能,など)
IT (Information Technology)
ITは,情報システムから,アプリケーション技術,そしてシステム基盤に至るまでの広い範囲にわたって,組織や個人の情報技術に関する広範なニーズに答えることを目指す領域である.
+2領域
GE(一般情報教育)
CyberSecurity
参考