Netflixの人事制度
by パティ・マッコード、櫻井 祐子
優れたチームとは、これからどこに向かおうとしているかをメンバー全員が知っていて、どんなことをしてでもそこに到達しようとするチームのことだ。
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このとき私たちは最初の重要な気づきを得る。それは、最高の結果を出せる人だけが会社に残っていたということだ。したがって経営陣が従業員のためにできる最善のことは、一緒に働く同僚にハイパフォーマーだけを採用することだと学んだ。これはテーブルサッカーの台を設置したり、無料で寿司を提供したり、莫大な契約ボーナスやストックオプションを与えたりするよりずっと優れた従業員特典だ。優秀な同僚と、明確な目的意識、達成すべき成果の周知徹底──この組み合わせが、パワフルな組織の秘訣である。
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従業員を大人として扱うとよい成果が得られること、また従業員もそれを望んでいることがわかった。
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社内のどの部署、どのチームの問題であっても、従業員がそれを自分のものとして解決するには、経営幹部と同じ視点が欠かせない。この視点があれば、事業のあちこちに潜む問題や機会を発見し、うまく対処することができる。
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企業はいろいろな研修プログラムに多額の費用をかけ、従業員のやる気を高め業績を測定するために膨大な時間と労力をつぎ込みながら、事業のしくみを全従業員に説明するのを怠っているのだ。
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事業が複雑になればなるほど、事業のしくみはもちろん、今後の進路についても全員と意思疎通を図ることが難しくなる。これを行う方法を考案するには──また経営トップや人事担当役員が、これを一貫して継続的に行うよう、すべてのマネジャーを指導するには──時間がかかる。うまくやる秘訣は、「コミュニケーションのハートビート」[ネットワークに接続された機器が、正常に稼働していることを確認するために定期的に送信する信号] を確立することだ。
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事業のあらゆる面について、簡潔にしっかりと説明するのは楽なことではないが、見返りもそれだけ大きい。私はコンサルティングでこれを提案するとき、わかりやすいように、こんな質問をする。 「御社のカスタマーサービス担当者は、事業のしくみをどれだけ理解していると思いますか? 事業の最優先課題を理解しているでしょうか? カスタマーサービスの仕事が収益にどう貢献しているかを、数字を挙げて具体的に説明できるでしょうか?」
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あなたから情報を得られなければ、従業員はほかの誰かから誤った情報を与えられる可能性が高い。あなたが業績や戦略、課題、アナリストの評価を伝えなければ、彼らはその情報をよそから、そう、たぶん彼らと同じように情報に疎い同僚や、気の滅入る噂や下世話な陰謀説の渦巻くネットから得るだろう。
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私たちが仕事を通して得る最も大切な気づきの一つは、「敬意と誠意をもって正直な話をするのは残酷なことではない」ということだ。むしろ、相手が知るべきことを正直に伝えなければ、信頼と理解を得ることなどできない。
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ネットフリックス文化の柱の一つに、「同僚や同僚の仕事のやり方に不満がある場合、当人同士で、できれば直接顔を合わせて話をする」というルールがあった。陰で批判をしてほしくなかった。
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この透明性基準を社内に徹底することには、多くのメリットがある。一つは、陰口や密告に歯止めをかけられること。私はいつもいっているように、社内政治というものが大嫌いだ。陰険だし、非効率きわまりない。
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エリックが教えてくれた別のエピソードは、上司が部下に厳しいフィードバックを与えないときに起こりがちな問題をよく表している。上司は「部下のミスをカバーしなくては」という余計な負担を抱え込むだけでなく、部下から行動を改める機会まで奪ってしまうのだ。エリックはヤフーで部下に与えるべきフィードバックを与えなかったために、部下の不手際をフォローするはめになり、大変な思いをしたし、部下にも気の毒なことをしたという。「優しすぎたんだ」と彼はいう。 「上司としていろんな意味で失格だった。部下のミスをとり繕うはめになり、それは彼のためにもならなかった」
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ときには不満をもつ人の話を聞いてやり、ガス抜きをさせることもあった。彼らは相手がどんなにひどいかを事細かに並べたてる。そこで私は聞くのだ。 「あなたがそういったとき、相手は何て答えたの?」 文句をいっている人はたいてい、「こんなこと、面と向かっていえるわけないじゃないか!」というから、もうひと押しする。 「でも私にはいえたじゃない?」 すると彼らはばつが悪そうに、相手のいないところで不満をぶちまけたことを反省する。そして次に、同じ内容を感情を交えずに話す方法を練習した。また問題行動の具体例を挙げ、解決策を提示することも大切だと教えた。こうしたルールにしたがえば、対話はとても建設的なものになる。
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フィードバックで最も重要なのは、「あなたはぼんやりしている」のような、相手の性格描写ではなく、行動に関するフィードバックを与えることだ。またそれは相手が改善できることでなくてはならない。フィードバックを受ける人が、「自分の行動の何を変えることを求められているのか」を具体的に理解できるようにする。「
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ありのままを話すことにためらう人が多い。だがじつのところ、いわれた側は──喧嘩腰や上から目線の批判でない限り──自分がどんな言動をしていて、どんな印象を与えているかを知ることができてよかったと思うものだ。
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ネットフリックスの経営陣はあの手この手で、正直な姿勢を率先して示した。その一環として、チームミーティングで「スタート・ストップ・コンティニュー」と呼ばれるエクササイズを行った。各人が誰か一人の同僚に対して、始めてほしいことを1つ、やめてほしいことを1つ、とてもうまくやっていて続けてほしいことを1つ伝えるのだ。
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徹底的に正直であることの手本をトップダウンで示すために、チームリーダー全員にその姿勢を求め、それを実践する方法を指導した。また部下にフィードバックを継続的に与えてほしいと要求した。さらに、「陰で同僚を批判したり、同僚の不満を上司にいうことは許されない」という規範をチームにはっきり示してほしいと要請した。
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ネットフリックスでは、変化に対応できる体制を整えるうちに、会社全体に信頼感が生まれた。力を合わせれば会社を進むべき方向に進められるという信頼感、必要な変化について誤った情報を与えられないという信頼感だ。
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経営上層部は、事業に関する問題を従業員に知らせると不安が高まると考えがちだが、知らせない方がずっと不安を煽ることになる。どのみち、厳しい現実は従業員から隠し通せない。真実を隠したりいい加減なことを伝えたりすれば、不信感を生むだけだ。信頼を成り立たせるのは誠実なコミュニケーションだ。いい加減なことを教えられた従業員は冷笑的になる。冷笑はがん細胞のようなものだ。不満を生み、それがあちこちに転移して自己増殖し、やがて疑心暗鬼や足の引っ張り合いをもたらす。
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デロイトがさまざまな業種の企業を対象に行った調査によると、「業績を損なうおそれのある問題について黙っていたことがある」従業員は 70%に上るという(
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部下に「私は全然いい考えだと思いません。その理由はこうです」と切り出す勇気をもってほしいなら、あなたがまず率先してその勇気を示すべきだ。
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透明性を徹底すれば、誰もが自分の支持した立場に責任をもち、事後的に非難されることも少なくなる。正直、「ほら見たことか」というのは楽しいが、建設的な問題解決にはならない。
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一般に、匿名の方が正直になれるといわれる。だが私の経験からいうと、そうではない。正直な人はどんなときでも正直だ。それに匿名の場合、どの上司の下でどんな仕事をしているどんな人が書いたのかもわからないコメントを、どう解釈すればいいのか?
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匿名調査の最悪な点は、「匿名のときに正直になるのが一番だ」という誤ったメッセージを送ってしまうことだろう。
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相手がとりくんでいる課題に心から関心をもってする質問は、理解の架け橋になる。技術系でない従業員は、この質問への答えを通して、エンジニアがどんなに手ごわい課題にとりくんでいたかを初めて知り、視野を大きく広げた。
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注意すべきは、「事実主導」が「データ主導」ではないということだ。最近では、データそのものが答えであり究極の真実であるといわんばかりに、データを神か何かのようにあがめる傾向が見受けられる。データすなわち事業運営に必要な事実だ、という危険な誤解がある。信頼性の高いデータは当然必要だが、定性的な判断と、たしかな根拠に基づく意見も欠かせない。
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スティーブ・マクレンドンが、もう一つの意外なテスト結果のことを思い出させてくれた。それは会員登録のプロセスに関するもので、テスト結果に彼は啞然としたという。ネットフリックスではこのプロセスに関するテストを常時行っていたが、このときのテストはとくに議論を巻き起こした。初期登録の際にクレジットカード情報の入力を不要にすれば、無料お試し体験の登録者数を増やし、ひいては加入者数も増やすことができるという仮説を検証するテストだ。スティーブは加入者数が劇的に増えるはずだと強く主張した。だがテスト結果は惨憺たるもので、加入者数はいきなり 半減した。彼は驚きのあまり、テストのやり直しを検討したほどだ。だが会議で結果を議論するうちに、皮肉にも、顧客の手間をとり除くはずが、登録プロセスを二度も行わせることで、かえって手間を増やしていたことに気づいたのだ。
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チームづくりで犯しがちなもう一つのまちがいが、今の人材が成長して将来必要な職務を担えるようになると思い込むことだ。
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私がスタートアップの創業者に、会社が成長して業務内容が激変したら、今の従業員の多くはやっていけなくなると指摘すると、たいていこんな返事が返ってくる。「でも彼らが好きだし、みんな一生懸命やっていて、本当にいいやつらなんだ!」。だが考えなくてはいけない。今より大きな規模で仕事ができるだろうか? 今彼らのやっている仕事はこの先も必要なのか? 必要でなくなったら、彼らをどうするつもりなのか?
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ビジネスリーダーがいつも考えていなくてはならない最重要事項の一つは、「今のチームが 理想の チームでないことが、私たちの足かせになっていないか?」である。
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私が企業の経営者やチームリーダーに与えるアドバイスのなかで、おそらく最も受け入れがたいのは、「会社は、顧客を喜ばせる優れた製品を時間内に提供できるように努めることを除けば、従業員に何の義務もない」というものだろう。従業員に能力を超えた仕事や才能と合わない仕事を引き受けるチャンスを与える義務はない。長年の貢献に報いるために別のポストを用意する義務もない。彼らに遠慮して、会社の成功に必要な人事変更を控える義務も、もちろんない。無情だと思われるのはわかっている。会社は従業員の能力開発に特別な投資を行い、キャリアパスを提示し、高い定着率を維持するために努力するものだという考えが染みついているからだ。
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チームリーダーにとって、部下を新しい職務に昇進させ指導することは、とてもやりがいのあることだし、業績にとってもプラスになることがある。だが部下の登用や能力開発が、チームの業績にとってベストな選択でないことも多い。マネジャーにキャリアプランナーの役割を期待してはいけない。変化のめまぐるしい今日の事業環境でその役割を演じようとするのは危険である。
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ネットフリックスの採用面接では、うちはキャリアマネジメントの会社ではない、キャリアマネジメントはあくまで従業員自身の責任だ、社内に昇進の機会はたくさんあるが、会社として従業員のためにキャリア開発をすることはないと、はっきり伝えた。一般に企業では、「ある従業員に職務のすべてを遂行する能力がないため、職務の半分だけを任せている」ということがよくある。ネットフリックスはそんなことをしている余裕がなく、職務のすべてを任せられる人材が必要だった。また成績がよいというだけの理由で、マネジメントの適性のない人材を管理職に昇進させるという、ありがちなあやまちを犯すまいと誓った。
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社内で得られない職務や、会社にとって重要でない職務を強く望む従業員には、社外で機会を見つけるように促した。また従業員に、他社の面接を定期的に受けて、ほかにどんな機会があるかを見定めた方がいいと勧めた。そうすることで私たちも、彼らにどれだけ需要があるのか、どれくらいの報酬を支払うべきかを、より正確に知ることができた。柔軟なチームづくりは、従業員と会社の双方にメリットがあるのだ。
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ネットフリックスでは人材管理に関して3つの基本方針があった。一つ、優れた人材の採用と従業員の解雇は、主にマネジャーの責任である。二つ、すべての職務にまずまずの人材ではなく、最適な人材を採用するよう努めること。三つ、どんなに優れた人材でも、会社が必要とする職務にスキルが合っていないと判断すれば、進んで解雇すること。
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「解雇のタイミングを判断することが、会社の求めるスキルをもつ優秀な人材を採用できるかどうかのカギを握る。二つは表裏一体の関係にある。逸材を採用する能力がなければ、いい人たちを安心して放出できない。どっちかだけうまいなんてことはあり得ないし、それじゃ優秀なチームはつくれない」
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最も優れた従業員は、やりがいのある新しい機会をつねに求め、会社に強い忠誠心をもっているが、いつか社外に機会を求めてやめていくことが多い。彼らがいつ退社を決めるかはわからないし、たいていの場合、説得して思いとどまらせることはできない。
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従業員定着率はチームづくりや文化のよしあしを測る指標に適さないと、私は考える。たんに会社につなぎとめている従業員の数だけでなく、必要なスキルと経験を備えた人材の数を示す指標が必要だ。そんな人材を何人確保できているか? 必要なスキルと経験をそなえた新しい人材を何人採用するつもりか?
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仕事の満足度は、グルメサラダや寝袋やテーブルサッカーの台とは何の関係もない。仕事に対する真のゆるぎない満足感は、優れた同僚たちと真剣に問題解決にとりくむときや、懸命に生み出した製品・サービスを顧客が気に入ってくれたときにこそ得られる。
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ネットフリックスにはボーナス制度がなかった。会社を第一に考える一人前の大人なら、年次ボーナスがあるからといって仕事に精を出したり、才能を発揮したりはしない。
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ストックオプションを、転職を防止するための「金の手錠」として使うことはせず、権利確定期間を設けなかった。
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優れた人材を採用するということは、最適なマッチングを実現するということだ。ある会社のA級プレーヤーは、別の会社に行けばB級プレーヤーになるかもしれないし、その逆かもしれない。人材に高い業績を挙げさせる黄金法則を見出すために、とほうもない労力が費やされ、あの手この手の評価方法が試されているが、そんな一般原則などあるはずがない。
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最適な人材を探すうえで大切なのは、「カルチャーフィット(文化の適合性)」ではない。カルチャーフィットがよい人とは、一緒にビールを飲みたい相手だというくらいの意味しかない。この方法で人材を探すのは、往々にして激しくまちがっている。会社が必要とする仕事に合致したスキルをもつ人材には、じつにさまざまな個性をもった人がいる。
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カルチャーフィットは双方向に働くのだ。
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ネットフリックスでは、事業が高度に技術的なこともあって、人材を採用したい部署のマネジャー自身が採用プロセスに深く関わることが欠かせなかった。だが技術系に限らずどんな会社であっても、マネジャーの関与を要求すべきだというのが、私の持論である。人材を採用しようとするすべてのマネジャーは、会社の採用方針とそれを実行に移す方法を細部にわたるまで十二分に理解していなければならない。
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私たちがめざしたのは、面接に来てもらったすべての候補者に、その職務に就きたいと思ってもらうことだ。たとえ私たちが彼らを気に入らなくても、彼らにはこう思ってほしかった。「いやあ、すばらしい面接だったなあ。効率的で、効果的で、時間通りで、質問は的を射ていて、担当者はスマートで、尊厳をもって扱ってもらえた」と。部下にはいつも、「たとえその人がうちに合わなくても、その人の隣人はうちにぴったりかもしれないでしょう」といっていた。
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私が人事考課が嫌いなのは、人事担当者の時間を食うからだけでなく、業績や顧客への貢献度がまったく不明な場合が多いからでもある。
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私がネットフリックスでまっ先にやったことの一つが、給与制度と人事考課のプロセスを切り離すことだった。そんなことができるのか、ましてや望ましいのかと疑う気もちもわかる。なにしろ、二つの制度は切り離せないほど密接に絡み合っているように思えるからだ。
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ネットフリックスは一部の職務に専門性と希少性をもたらしているため、社内の給与水準にこだわれば業績貢献者に経済的損失を与えることになる。他社に移ればもっと稼げるのは確実なのだから。優秀な人材が、会社をやめない限り自分の価値に見合う金額をもらえないような制度は廃止しようと決めた。また私たちは、従業員に定期的に他社の面接を受けることを奨励している。これは、うちの給与が他社と遜色のない水準なのかどうかを、最も効率的かつ確実に知る方法なのだ。
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覚えておいてほしいことがある。オファーレターに契約ボーナスを含める場合、たとえそれが給与の一部ではなく契約時の一時金であって、翌年の給与見直しの対象外だと明言したとしても、彼らは必ず対象になると考える。
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給与やその他の報酬に関する情報は従業員に秘密にするべきだと考える企業が多い。私がコンサルティングを行ったある創業者は、報酬情報は医療情報のようなものだといっていた。そんなことはない。私が本当にばかげていると思うのは、それほどのお金をかけて手に入れた給与調査のデータを従業員に共有しないことだ。それは給与額の根拠として提示すべき情報なのに。企業は従業員に報酬の根拠を説明する努力を惜しんではいけない。なぜ情報を与えたがらないかといえば、市場全体の水準からすればもっと高い報酬を支払われるべきだと従業員に思われることを恐れているからだろう。また、同等の価値の仕事をしている同僚より自分の給与が少ないことを知った従業員が気を悪くするのを恐れている。
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オープンな姿勢でいれば、なぜほかの人があれだけの給与をもらっているのかと従業員に聞かれたときも、説明することができる。金額のちがいを説明する適正な根拠をもつことによって、業績志向の文化が強化される。従業員に公開できる根拠がないという場合、なぜないのかをよく考えた方がいい。 報酬を適正で理にかなったものにするには、給与やその背後にある方針についてオープンに話し合うのが一番だと、私はかねがね考えている。給与情報を公開することが従業員の感情を害すると思われがちなのは、業績への貢献度よりも上司のおぼえや年功などがものをいう不条理がはびこっているせいでもある。
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会社がどこをめざしているのか、そこにどんな課題や機会が待ち受けるのかを、上層部が社内の全員にはっきり伝えることには、従業員が自分のスキルをその未来に照らし合わせて評価できるというメリットがある。また従業員は、自分がその未来の一翼を担いたいかどうかを自問し、それを希望しない場合は社外の機会を積極的に探すこともできる。
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私が人事関連で使われる「エンゲージメント」という言葉が大嫌いなもう一つの理由は、「業務遂行上の問題はやる気不足に原因がある」という暗黙の前提が見え隠れするからだ。正直いって、そんなに単純な問題なはずがない。やる気のない人材を解雇するだけで高業績を挙げられるなら、どんな企業もとっくに大成功している。
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私はマネジャーが部下を評価する際に、次の単純なルールを使うよう勧めている。ちなみに大好きなエンジニアたちの用語を借りて、このルールを「アルゴリズム」と呼んでいる。 「この従業員が情熱と才能をもっている仕事は、うちの会社が優れた人材を必要とする仕事なのか?」 このアルゴリズムは、事業活動を評価する方法と何らちがいはない。批判的思考に基づいていて、意思決定から感情を排除する方法だ。また従業員も同じアルゴリズムを使って、いまの会社にとどまるべきか、もっと自分に合った仕事を社外で探し始めるべきかを判断するといい。 アルゴリズムのもう一つのメリットは、マネジャーが「部下にできないこと」にとらわれずに、「部下が情熱と才能をもっていること」に目を向け、その人に合った次の仕事を探す手助けができることだ。
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