Legibility
判読性, 可読性
https://www.ribbonfarm.com/2010/07/26/a-big-little-idea-called-legibility/
人間の状態を改善するための国家的な試みが失敗してきたことに関するJames C. Scottの本Seeing Like a State (1999) について
失敗モードの背後にある思考スタイルを権威主義的ハイモダニズムと呼んでいる
ハイモダニズムは20世紀前半の短い期間のものだったがこれはそこに限定されない
自分の主観的な理解不足を、見ている対象に「非合理性」として投影してしまうこと
私たちは判読性を求める欲求に駆られて、このような間違いを犯してしまう
遊牧民、牧畜民、ジプシー、そして主流から外れた生活を送る人々を国家が定住、あるいは「定住」させようとする取り組み
ハイモダニズム(バウハウスやル・コルビュジエ)の美学は単純化へ向かう
多くの目的を果たす現実は、単一の目的に基づいたビジョンからは読み取れないから
単一の目的において機能しない要素は混乱を招きやすく、「合理化」しようとする過程で排除されてしまう
思考における根本的な欠陥は、繁栄し、成功し、機能する現実は必然的に読み取れるはずだという誤った思い込みにある
地上の地域に根ざした目よりも、空から見通す国家の目にとって読みやすいものでなければならない
人間をこの失敗に誘い込むのは一見混沌とした状態によって引き起こされる不安を和らげるから
単なる愚かさ以上の何かが働いている
関連
Joel SpolskyのThings You Should Never Do, Part I (2000) にも触れている
コードをいちから書き直すというNetscapeが行った戦略の失敗
あとから入ったプログラマにとって乱雑でひどく見えるコードも動作している、高い上空から見た乱雑さをもって整理しようとする試みで新たなバグの混入や既存コードの破壊が起きる
The illegible nature of software development talent
採用と昇進(評価)のどちらの場合も、意思決定者は判読性の問題を抱えている
この問題は必然的に、直接観察しやすい細部に注目することになる