おばあちゃん・清彦さんからの聞き取り
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*(テキスト)は伊藤による補足です
*()は聞き取れなかった話です
おばあちゃんからの聞き取り
伊藤:来てみて部屋がたくさんあるなという風に感じたのですけれど。
おばあちゃん:6つ。前3つ、後ろ3つ。
伊藤:「お客さんが来たときの部屋」とか分かれてるんですか?
おばあちゃん:分かれてねぇよ。前の座敷3つのうち、真ん中の座敷だないつも使うのは。はいる口はあれ畳だったのに撮影やるのに無くしちゃったから、真ん中の座敷は畳だから(いつも使っている)。
伊藤:では撮影の前、畳があった頃はそこに居たのですか?
おばあちゃん:居たよ。
スタッフさん:おばあちゃんがね、さっきお弁当食べながら話聞いたら、最初お嫁にいらした頃は多い時で十何人も(暮らしてたって)。
おばあちゃん:子供ら4人いたから、親夫婦、あと他所から頼んどった
スタッフさん:おばあちゃんのご主人の、旦那さんのお父さんとお母さん
おばあちゃん:そうそうそう。年寄りがいた、その上のがさらにいた。そんであたしらも増えたっぺ。
スタッフさん:それだけで6人か(笑い)
おばあちゃん:バントウサマもいたしジンチョウサマもいた。
伊藤:バントウサマ?
おばあちゃん:バントウって仕事するのにやる人。だからおばあちゃんの子供をおんぶして面倒見る人。私の子供も面倒見てくれた。私らは働きに行く。だから大勢になっちゃう。
伊藤:じゃあ10人以上での生活をしてたんですね。
おばあちゃん:そうそうそう。
スタッフさん:子守をする人は何さんって言うんでしたっけ?
おばあちゃん:あれは、女中だな。なんでもやる人。
()
おばあちゃん:昔の人は苦労して亡くなったんだ、贅沢もしねぇで。昔は子供4人なんか少ない方だからな。6人7人8人いたか。
伊藤:そんなにたくさんいて大変ですね。
おばあちゃん:昔は麦飯。麦飯だよ、白いご飯じゃねえよ?いましてね今でもきっと売ってるよ麦。
伊藤:売ってますね。
おばあちゃん:からだに良いの。
伊藤:たまに食べます。(笑)
()
おばあちゃん:代ごとにいろんな変わりごとがあるよね。
スタッフさん:そうですよね。
おばあちゃん:それをみんな受け継いで、親のやることを受け継いで下の人に教えていくの。ためになることは教えていくの。
()
伊藤:ここはもう普段からこうゆう作業場ですか?(1)
おばあちゃん:そう。
伊藤:今何作ってるんですか?
おばあちゃん:今、神社に飾るやつ。あそこになんか落ちてる。
伊藤:あぁ〜あれですか。何に使うんですか?
おばあちゃん:神社の周り、入り口には半紙をやって裏の方は()ずーっとやって50メートルあって、重ねてできるように50メートル()ぐるっとやる人もあるし。これ東京さ売るんださ。()年取ると60までしか働けねぇからな。遊んでるより良いでしょうね。これ1枚やったっていくらにもならねぇ。
伊藤:でも、すごい大変な作業ですよね。
おばあちゃん:大変だよ。(どんなかばできねぇからんな)。
スタッフさん:あんなに同じ太さにできないですよね。()
おばあちゃん:こいつでぶって()
伊藤:藁は近くにある藁ですか?
おばあちゃん:違う。これ専用の。()自分で田んぼさ作る人もいる。人の作ったやつ買ったらいくらでも儲けられないよ。
伊藤:そうですよね。
おばあちゃん:私はこれ、妹が作って持って来てくれるから
お金は取られないけれど。()暇だから、いつもやってるんだ。だってすることねぇもん年取って。
伊藤:このほかに何かする作業はありますか?
おばあちゃん:このほかにする作業はねぇど?だって、屋敷周り草取ったり草刈ったり。機械はあるだけれど平なとこじゃなきゃ機械で刈れないからな。だからそうゆう刈れないところ鎌で刈ってる。()大昔よりは楽になったよ。()だから今農家少しくらい作ったって食べてけねぇよ、いっぱいじゃなきゃ、機械(出ないと食べていけない)。
スタッフさん:お正月にはその藁を使ってお飾りしたりしますか?
おばあちゃん:ううん。これだけしかやらねぇよ。うちの方はあまり飾りはやらねぇんだ。場所によってはやるんだよ、派手に。()
スタッフさん:あと、かまどの上には?
おばあちゃん:かまどの上にはやらない。やっても玄関口だけだな。
スタッフさん:それも、自分で作ったものを飾るんですか?
おばあちゃん:自分で作る人は少ねぇから買ってくるだっぺな。()こうゆうの魔除けって言うんだからな。病気になることが無いようにって。
スタッフさん:あの穀蔵様?
おばあちゃん:氏神様な、故人の。
スタッさん:氏神様は木崎家の
おばあちゃん:木崎家ってか、うちのだ。ここら辺みんな木崎家だからな(笑)みんな氏神様持ってるからな。
スタッフさん:各家にあるんですか?
おばあちゃん:小さい(けど)氏神様持ってるから
スタッフさん:穀蔵様はお参りはいつするんですか?
おばあちゃん:9月16日()
スタッフさん:どんなことするんですか?
おばあちゃん:お赤飯ふかして、お客さんきたり。今までは(おばた作ってやったんだけれど)でも今はやらねぇ。()お赤飯くらいだな。
おばあちゃん:昨日はよ、風がきつくてあのテント吹っ飛んじゃったの。すーごい強かったの。
スタッフさん:大変
伊藤:そんな強かったんだ
おばあちゃん:()
スタッフさん:穀蔵様の棟のところに「木崎」ってちゃんとお名前入ってるんですね。
伊藤:あ〜見ました!
おばあちゃん:穀蔵様は木彫り。木彫りで玄関口に彫ってあるの。辰だかなんだか、彫ってあるの。(2)
スタッフさん:龍みたいな
おばあちゃん:龍だ龍。()なかなかあんなの素人じゃできない
伊藤:穀蔵様ってもうずっとあるんですか?
おばあちゃん:()
おばあちゃん:こうゆうの聞きに来る人時々あるんだけど、何か論文か何か書くの?
伊藤:今回は論文では無いんですけど、基本的には家の測量がメインで、私はどのように使われてたのかっていうのを聞いて、あとでみんなの合わせてまとめるんですけど
おばあちゃん:なかなか難しいな。(できる人ばかりいるの?)
伊藤:皆んな上手いので
おばあちゃん:10人やれって言って10人できないよ。
伊藤:今回は田んぼの方から家の裏側までの断面図も記録する人がいて、結構大掛かりにやってますよね。
伊藤:10何人住んでた頃は全部6つの部屋を使っていたのですか?
おばあちゃん:全部だかなんだかわからねぇけど、女と男は別の部屋だっぺから。あと家族もいるしほとんど使ってたと思う。だって部屋なんかはつかわねぇもん()部屋はいっぱいだっぺよ、大事なもの着るものだのパンツだの(が置いてあるから)、勝手場はほとんど使っていたと思うよ。
スタッフさん:寝る場所はどこだったんですか?
おばあちゃん:寝る場所はヒヤって言って、寝る場所だって一箇所じゃねぇからな()
伊藤:入りきらないですもんね
おばあちゃん:入りきらない。今は皆んなこっちで寝るけどな(アートサイト八郷の人が泊まってた場所)いいけれど、前はこうゆうの無かったから(母屋にみんな寝てたから)。
伊藤:ここは学生が来る前はどういう風に使ってたんですか?
おばあちゃん:誰も使わねぇ。お客様が来た時は別だけれど。
スタッフさん:バントウサンがいた頃?相当昔?
おばあちゃん:相当昔。
スタッフさん:その頃はバントウサンはどこに住んでいたんですか?
おばあちゃん:バントウサマは皆んな一緒だと思うよ。一緒じゃねぇとき、近くからきたこともあった、通いで。この部落だからね。(家族が大勢の人は食べられないから)子供らのことは大きい百姓の家に(頼んじゃう)。() 1日働いて、日に3度ご飯食べさせてもらって、そして明日食べる米をもらって来るの。
スタッフさん:戦争の終わったあとだからね、物がなくてね。
おばあちゃん:そう。戦争の終わった後だったからね。
スタッフさん:ここはね、お米作ってるほどだから人の分まで食べさせてあげるほど豊かだったんでしょうね。
おばあちゃん:()そしてきょうしつに取られちゃったっぺ
伊藤:キョウシツ?
おばあちゃん:キョウシツって田んぼを、、、米つくるっぺ?五表取れたとするでしょ、そしたら食べるだけ置いてあとみんな持っていかれちゃうの。それ、町の人に食べさせなきゃいけないから。そういうことがあった。
伊藤:持っていかれちゃうんですね、、、
おばあちゃん:持っていかれちゃう、強制的に。(昔は隠しといたり何しても綺麗に持っていかれちゃう)みんな本当に家族の人数に(応じて)おいていくんだから。()そいで、手で植えたんだから昔は。機械が無いから昔は手で植えた。前の田んぼ起こして。機会がなくて。それで3回も田んぼ起こすんだから。植えるまでに。1回起こして、その次また起こしてその次()そう苦労したんだよ。その人たちは死んじゃった。苦労した人たちは死んじゃった。
伊藤:機械を使って田植えするのも大変だと思っていたのに、手作業だともっと大変ですよね。
おばあちゃん:大変だよ。腰が痛くてね。上手な人は早く植えちゃって、その後くっついて行くの大変なんだよ。今は機械だから綺麗にね。そうゆう時代もあった。今、田植えだって男たちしかやらない。
伊藤:うちも実家田んぼあったんですけど、やれなくなっちゃったので貸して作ってもらってますよ。
(世間話のため割愛)
おばあちゃん:昔は手でやったのに今稲刈り機械だもんな。
伊藤:家を建て替えしようって話にはならなかったのですか?
おばあちゃん:ならねぇ。()
伊藤:全然まだ、立派ですよ。
おばあちゃん:(新宅の話)
伊藤:これ(学生が止まっている場所)っていつ頃建てたのですか?
おばあちゃん:何年くらい経つべな、、、15年くらい経つかな。
伊藤:割と最近ですね。
おばあちゃん:最近だな。毎年こうやって泊まるようになっちゃった。
伊藤:お世話になってます(笑)
おばあちゃん:でも寂しく無いからいいんだけどね。悪者はここら辺入ってこないから。逃げられねぇからね。
伊藤:みんなに知られちゃいますからね。
おばあちゃん:知られちゃうよ。出口がねぇから、出口のところ電話しとけば捕まっちゃう(笑)悪者が入ったって話は聞いたことがねぇ。
おばあちゃん:みんな(長い時間やってるけど)なにやってるの?
伊藤:みんな今日は絵を描いて、明日は測って記録します。
おばあちゃん:それを先生に見せるの?
伊藤:そうですね。見せて、この木崎邸の資料として後で見てわかるようにしてます。
おばあちゃん:それは誰がやってもできるの?
伊藤:いや、、、難しいと思います。
おばあちゃん:難しいよなー。
伊藤:ここ来る前も、学校で学校の建物描いて測って、練習してからきました。
おばあちゃん:間口が何間、奥行き何間って覚えなければ描けねぇもんな。部屋のマスまで描くべから。
伊藤:そうです。中から見たのもやってますね。
おばあちゃん:なんでそうゆうの(やるの)、何の参考になるの?
伊藤:こんな茅葺のお家見れるの珍しいので、みんな建築学んでて、勉強の一環で見させていただいてます。
おばあちゃん:そうだよね。これ、男の人もやってるの?
伊藤:はい、やってます。家と、さっき話した氏神様(穀蔵様)と門も記録してます。門はいつ頃建てられたんですか?(3)
おばあちゃん:家建てる時からだっぺ。何年って言ってたか忘れちゃったね。相当古いよ。
伊藤:門もすごい立派だから、門描きたい人が結構いました
おばあちゃん:()門はいい材料使うから
スタッフさん:この納屋だって住めちゃうくらい広いもんね。
おばあちゃん:昔はなんでも(セキ)があれば良いと思ったんじゃねぇの?養蚕ここで全部やってここ(屋根の下の部分)まで延ばしたんだから。高いところから座敷までみんなやった。
スタッフさん:蚕さんがいっぱいいたんだ。
おばあちゃん:そうやって昔は働いて残したんだっぺ。()
スタッフさん:この前萱を葺き替えたのはしばらく前ですか?
おばあちゃん:10年くらい前かな?
スタッフさん:茅葺替えるのはまた大勢でやるんですか?
おばあちゃん:大勢。いやー大変だよ。一人2万取られたら5人でもきたら()
スタッフさん:この萱葺き替えたときは、ここに住んでる時に葺き替えたのですか?
おばあちゃん:そうだよ。
スタッフさん:何日間くらい職人さんきてやるんですか?
おばあちゃん;1ヶ月くらいかな。全部やるんじゃねぇよ。6回ぐらいに分けてやるんだよ。
スタッフさん:結構かかりますね。
おばあちゃん:かかるよー。傷んでるところみんなとって、そんで(おしぼぼ)かってきたりこうやって細かい縄をかってきたり。そりゃ大変なこと。屋根をやるのはな。1年前から用意しないといけない。
伊藤:大掛かりな、、、
おばあちゃん:大掛かりだよ。ここさ行ったり来たりするのに矢倉作らないとならないよ。それだって職人さんがやるからそいつの手間も取られる。()
スタッフさん:一番最近葺き替えたのどの辺ですか?
おばあちゃん:一番向こうかな?いけすがあるところ。()かれこれ10年くらいやってない。()一箇所やねやったら全部やらないといけないもん、一回りぐるっと。だから、やらねぇで。()釘一本使って無い()
おばあちゃん:()昼間はやっぱいねぇよ、虫は。
伊藤:暑いといないんですかね。
おばあちゃん:今までにしてみれば夕方の虫も少ない。暑いからだと思う。
伊藤:茅葺だと夏場涼しいんですか?
おばあちゃん:そう言うんだわな。そう言うけれど感じない。()
伊藤:雪は積もりますか?
おばあちゃん:積らない。昔は膝っこまで積もったけれど今は足の(キビシ)くらいまで。
伊藤:養蚕のこと全く知らないんですが、養蚕は一年中できるものなのですか?
おばあちゃん:うん。1年に4回。1回終われば全部綺麗に洗わないといけないんだから。病気になっちゃうからな。
スタッフさん:桑畑も近くにあるんですか?
おばあちゃん:そう。桑畑も近くにあるよ。遠いと大変だっぺよ、桑積んで背負って来るから。あがるころになれば、もとからかってってお子様の膝に乗っけるの。()養蚕だってやったこと無い人はできないと思うよ。そうゆうことでもやらないとお金が入る方法ねぇもん。()昔だって苦労があったんだよ。
(世間話のため割愛)
清彦さんからの聞き取り
スタッフさん:(屋根の)上の瓦は相当古いですよね?(1)
きよひこさん:そうですね。おそらく古いと思います。ただ木材の中溶けているのでもうやり直さないといけない。普通の茅葺き屋根は上は茅でやってあるんですけれど、家が大きすぎるとトタンみたいなのを被せるか、ああゆう(瓦)ふうになっているんで。普通の茅葺き屋根だったらかっこよく茅で化粧模様なんか入れて鶴とか描いた絵があってそういうふうにやってる。
スタッフさん:穀蔵様は?(2)
きよひこさん:穀蔵様はもともと、江戸時代の地図にはそこにあったんだけれど、によるともっと向こうの田んぼの中にあったのをこちらに引き取った、時代はわからないけれど、という言い伝えがある。この家で作ったものかは(わからない)。
スタッフさん:でも、”木崎”って描いてありましたけれど?
きよひこさん:あれは屋根葺き替えた時に、勝手に職人さんがやったの。一応個人の所有物なんで。昔江戸時代の頃はああゆうやつが、この青柳地区、上青柳地区に8つくらいあって、だいたい山の中にあるんですけれど、そこをカンノウサマがお参りして昔歩いたんだ。その中の一つ
スタッフさん:今もそうやって巡ったりするのですか?
きよひこさん:昔ほど()平等な時代なので、今はその古いものを嫌がると言うか昔こき使われたってイメージ持っているので()。
スタッフさん:穀蔵様のコクって穀物の穀ですか?
きよひこさん:穀物の穀ですね。穀物の豊穣を願ってあるのか、それとも例えば川の水がもって穴があいてもって泥鰌なんかがその穴に頭入れてみせものにしてたとか。その二つがあって勝田にある大きい穀蔵ナントカっていうのは大きいから穀物の方(の由来)なのかな。
スタッフさん:時々お参りを家族でしたりするのですか?
きよひこさん:小ちゃい頃なんであるんだろうなと思ってたくらいで、昔はもっと屋根が傾いたりしてたのであんまりその、物置小屋みたいに使っていて。
スタッフさん;入れることは入れるんですか?
きよひこさん:そうですね。建物自体は補強はしていなかったけれど、小ちゃい頃何も考えないで、他の子の家を出た古い人から言い伝えを聞いたりして、そうなんだな〜と(思っていました)。
伊藤:昔、穀蔵様にお赤飯をあげたって言ってました。
きよひこさん:地元の人やっぱ田舎すぎて、自分家が古いって言い張るかけいがあるので、あんま昔の話を古い家同士でしないんですよ。やっぱこの家は他から来ている家なので、昔どうのこうのってのプライドもってないので。
スタッフさん:他から来た家っていうのは?
きよひこさん:ほんとの昔はおそらく古い書物なんか読むと平家とか源氏の戦いの頃に、平家の負けた人たちがこの家はそうじゃないと思うんだけどこの近くに平家の落ち武者が結構住んでるところがあるみたいで。
スタッフさん:それは、すごいですね。
きよひこさん:()ここもおそらく山の麓で、米が取れるところですよね。()地元民追い出して、住み着いたとか。山の麓は水が抑えられるので、米作りは立地的に山の麓が昔は有利らしいのですよ。山の方が、水が優先的に使えるからね()山の麓の方が、山の奥の方より裕福なんです。追い出した説が本当かもしれないし。ただここはどっちかというと太陽が当たるのが向こうの地区なんで後から来たからこっちに来たんだろうな。もっと山奥にいたのがここに来てるから。
スタッフさん:ここより前に住んでいたところがあったんですね。
きよひこさん:うちのお寺、サタケのお殿様の配下なのでサタケとうちが関係あるかはわからないんだけれど、お寺がサタケのお殿様としてこっちに来た人なので()。
スタッフさん:さっきもとは木崎って名前ではなかったんだけれど「木崎という名前をつけたら」と勧められて名前がついたって聞いたのですが。
きよひこさん:まぁこっちの地元の人たちが木崎なので、木崎にね、言い伝えだけどね。もともと別の名字を名乗ってた。
スタッフさん:コタロウじゃなくてなんでしたっけ。
きよひこさん:タモツタモロウ。まだ江戸時代名字があまりなかったんでね。ただお寺の名字には木崎っていう名前で江戸時代末期には(記載が)あるので。昔のことだから()あやふやだけどね。あまりね()昔は頑張った。山奥は不景気なので。
スタッフさん:茅場の周り植林もされてましたよね?あそこも木崎さん家の?
きよひこさん:そうですね。昭和の初期30、40、年ぐらい山はめちゃくちゃ金になったので、そうゆう時代親たちは仕事してるので、山が空いてたら植林するっていうのは生活維持するにはそれが、3本4本売れるだろうってことで植林しただけども、銀行さんが(儲かるようになってしまってるから)。
スタッフさん:田んぼもやるし、蚕もやるし、植林もあって
きよひこさん:それは手伝いに来る人もいるし、昔はそれなりに主が仕事しなくても()
スタッフさん:木崎さんが子供の時も雇ってる人がいましたか?
きよひこさん:そんなのいなかった。近所に人が手伝ってくれたっていうんだけれど、その頃は高度(経済)成長なのでこの辺だとみんな勤め人が多かった。農家やりながら、日雇い労働やって。みんなそれなりに立派な家建ててるから、高度経済成長の頃はよかったのかな。
スタッフさん:ここで生まれて小学校、中学校と育ったんですか?
きよひこさん:はい。
スタッフさん:この辺だとどういう風に遊ぶのですか?さっきのカニとったりとか?
きよひこさん:山で遊んだりしなかったですよ。家でテレビ見てました。
伊藤:意外ですね。
きよひこさん:近所にも子供いましたけれど、あんま小さいころ、保育園にも幼稚園にも行ってなかったし。家で山とかに行くのついて行って山でお弁当食べて帰って来るっていう。田舎なんで、普通の家と違うっていうのは同級生()してもらえないっていうか
スタッフさん:小学校まではどのくらい歩いていたんですか?
きよひこさん:3キロくらいあったかな。1時間くらいかかってましたよね。
スタッフさん:3キロ!?
きよひこさん:歩いてましたね、毎日。小学校1年生からね。
スタッフさん:3キロっていうと、30分以上1時間くらいかかりますね。でも近くにお家がありますけど同級生とかはいましたか?
きよひこさん:同級生はいたけれど、後ろに同級生がいたから二人で通ったり。あまり田舎で自分の年代仲良くないので、やっぱ家がこういう古い家だから()まぁ地元にあんまいなかったっていうのもあるけど。
伊藤:私も田舎で周りに子供がいなかったので、外で遊ぶことはなかったですね。
きよひこさん:たまたま田舎だから税金かからないからよかったの。だから石岡の市街地とか税金高かったら家の維持ができなかった。山奥だから、税金めちゃくちゃ安かったので、鶏を始めるまでは何も仕事しなくても払えた。太陽光だけやってるからなんか知らないけれどいっぱいお金払ってますね。
スタッフさん:太陽光?
きよひこさん:はい。
スタッフさん:パネルありましたね。
きよひこさん:老後ちゃんと働いてくれるかなと思ってやったんです。
スタッフさん:いまこのような大きいお家は八郷の周辺何棟か残ってるのですか?
きよひこさん:おそらく茅葺き屋根90%以上の家が江戸時代に作った家がそのまま残っているんですよ。茅葺き屋根ってみんな江戸時代からの、八郷町に残っているのは。ここはたまたま火事で燃えちゃって明治になってから建て替えた家が残っているけど、他の茅葺き屋根の家はほぼ江戸時代に作った家で、明治元年か10年くらいまではその時期環境は家を建てる環境じゃなかったらしく、ほとんど家この辺は建ててないんです。たまたま(木崎邸は)幕末に燃えたので、勢いで建てちゃった。おそらく山の水、おさえているから安定的に(なったから、建てられた)。
スタッフさん:江戸時代に建てた茅葺の屋根がこの周辺に何棟残っているか聞きましたっけ?
きよひこさん:この家作った時には身内なんだけれど、ほとんどその当時身内というか親戚関係の家だったんだけれども、3人でこの程度の大きさの家を建てた。嫁さんに行ったとかお婿さんに行ったとかで、同じ身内3人で建てたんだけれども、もう一軒はトタン屋根になって残っているけれど、もう一軒は無くなっちゃった。だから、3人こうゆう家を建てた人がいたんですよ。
スタッフさん:でも、本当に茅葺で残っているのはここだけなんですね。
きよひこさん:そうですね。トタンとかじゃないのはここだけですね。残っているというか、時代の波に乗り遅れて、やっと維持できていてこうゆう感じ。そんなに税金かかってないから。石岡の市内の税金の高さを身内にも聞くと払えないですよ。()たまたま山奥にいたから、昔は税金払っていたけど、今はもう安いので。
伊藤:でも、維持するのは大変ですよね。
きよひこさん:昔旅番組作った千葉県出身のなんとかさんっていたよね。地井さん、地井武男さん。あの人の話も茨城の県庁に呼ばれて聞いたんだけれど「やっぱり発展していくのには古いものと新しいものを創造させないと生き残れませんよ」って言って亡くなっていったので。()まぁ学生さん来てくれて、なんかのはずみでなんか変わるかもわかりませんからね。
スタッフさん:そうですね。
きよひこさん:でも田舎なので、税金、補助金当てにするとろくなことが無いというか。政治に絡んでいない家なんで、力持ってないので、補助金を当てにしないで、なんとか頑張りたい。
スタッフさん:お金ないかもしれないけれど、学生はみんな応援団です。だから色々もしかしてここが維持できるアイデアも出てくるかもしれないし。
きよひこさん:例えば白川村かあの辺の地域は、一つの家を助けるのに3000くらい募金を集めて、白川村なのか五箇山なのか忘れちゃったけど、3000万くらい集めてその家を助けたっていうけど、ここはまだ他に茅葺き屋根いっぱいあるので、他の茅葺き屋根の家金持ってるけど、金使わないんだよ昔の人は。()。だってロケやるのにも怒られたんだもん。映画のロケ勝手にやるんじゃないって。
伊藤:近所の人にですか?
きよひこさん:例えば仕切っている方にロケしが来て「上青柳の人に黙ってロケやるんじゃない、一軒一軒断りなさい』って無理難題なこと言う。めんどくさいからいいやって(思ってやってるけど)。全部じゃないよ、一部の人が、こうゆうこと言う。あんまり色々言われると隣町か、嫁さんの家に逃げるか。嫁さん千葉なので。でも今までロケやった担当者、千葉の方で親切な方がいてその人が母親と仲良いので結構、その人が再現ドラマも。うち断らないし、土地がいっぱいあるからうちの母さんがうんって言うとロケに入れるので。ロケで重要なのは、初めて話が来た時に変な顔するとよってこないけれど、いいねって言うとそのあとずっとくるんですよ。一回でも断ったら寄り付かないんですよ。
スタッフさん:どうしておばあちゃんはダメだよって言わないんですかね。
きよひこさん:田舎者だから断るって言う選択肢がないんですよ。そもそもみなさん自分(きよひこさん)とも話し合っていますけど、小ちゃい再現ドラマの場合母親だけでやるんですよ。大きい映画とかになると制作担当者が自分のとこまでどこまでもついて来ますけど。突如市役所行ってロケしたいって言う団体はあまり大きい団体じゃないんで。どうしても取りたいって人は直談判にくるので、それから市役所に行くので。だからちゃんとしたロケ地担当者は直接交渉にくるから、そうゆう人たちは本気なんだなと思うと、お金安いけれどまあいっかって。
スタッフさん:八郷でけっこう撮られているんですか?
きよひこさん:ここは多いですね。やっぱりお金払わなくても撮れるから。飲み会誘うからこれでいいでしょって(笑)この辺のお母さんたち映画出てるんですよ。
スタッフさん:木崎さんの土地はどこからどこまでなんですか?前の田んぼも全部そうですか?
きよひこさん:おそらくこの辺は自分たちの一族が持っている土地なので
スタッフさん:あの小屋も木崎さんの土地に建てているんですか?
きよひこさん:そうですね。
スタッフさん:卒業制作なんだって。
きよひこさん:この風景は江戸時代の地図をみるとおそらく()大体こうゆう感じのままなんですんね。植林してあるのは、昔は植林してなかったんですけど。目の前に家がないので、向こうからみるとロケーションがいいっていうね。庭も広いから、家の中撮影するのにも丁度いい。大きな家ってよりも撮影がしやすい家。
スタッフさん:普段は車も入ってこないんですか?
きよひこさん:そうですね()昔は山を越えた向こうの地区にも頻繁に出入りしていたので。
スタッフさん:人が住んでいたんですか?
きよひこさん:そうですね。今は山を越えて向こうに出入りしないけど、お寺の関係で、向こうの(道の)方が近いんですよね。お寺が向こうの家は違うので。
スタッフさん:そのお寺はなんて言うお寺なんですか?
きよひこさん:たい寧寺
スタッフさん:そちらにお墓があるんですか?
きよひこさん:いや、お墓は、あそこにあるのが自分のお墓だけれど幕末の頃はあちらに墓が、
スタッフさん:あるんですか
きよひこさん:はい。
スタッフさん:お墓が自分の土地にあるんですね。
きよひこさん:昔からあるので、明治の頃とかそうゆう時代に、許可もらって、今から墓作るって言ったってムリ。江戸時代は、お墓に人は埋まってない、うちのお寺関係は
スタッフさん:土葬じゃないんですか?
あそこには人が埋まってないから別のものが埋まってるって言う人もいますけど。江戸時代は、うちのお寺はお墓に人を埋めていない。
伊藤:うちの方も二つお墓があって、一つは居ない方でもう一つは居る方なので、両方のお墓に毎回行ってます。
きよひこさん:お寺の宗派によって別のところに関係なくのところに人を埋めているんだって。だからおそらく本当のお墓は行ってない方なんだけど思うんだけど、地区のお墓というか国が作って()が昭和の初め頃にあったので、墓が変わっているんだと思う。
穀蔵様へ移動
きよひこさん:昔はここに土蔵があったんだけれど(3)。これが明治維新の記念碑。(4)()これ(穀蔵様)昔からあって、茅葺。おそらく15、6年前に葺き替えています。自分が小ちゃい頃から全然葺き替えてなかった建物なんで()1周30万くらいかかったかな。
スタッフさん:これは一回で全部やってしまうんですか?
きよひこさん:そう。一回で全部やって30万。
スタッフさん:自分の茅場のものを使うのですか?
きよひこさん:おそらく、自分の茅場で1年前に刈ったやつを保存しておいたやつを使ったと思います。
伊藤:龍の彫刻がされているっておばあちゃんが言ってました。
きよひこさん:彫刻は彫刻だけれど、何の彫刻かわからない。昔は赤く塗ってあった形跡があるけどね。中は(壊れそうだったので補強しました。)
スタッフさん:棚とか、新しくしたんですか?
きよひこさん:もっとこじんまりした、机みたいな棚だった。仏像の周りが壊れかけてた。一部ロケ担当の方達が、ここにお参りするといいことがあるっていうので(一部の人はお参りしてます)。本来はここにあったんじゃなくて向こうの田んぼの中にあったのをこっちに持って来たっていう話で、いつの時代かわからないけど。
?:これごと?
きよひこさん:小屋ごとかわからないけど、田んぼの向こうの方にあったやつをここに江戸時代の半ばごろの地図にはここに描いてある。農家だから嘘か本当かわからないんだけど。()
?:僕らの大学は()なんですけど、なんか流行ったみたいで、コンクリートで作った祠が同じようなのがいっぱいあるんですよね。それでもともと農村にあったんですけど、()この前学生連れて見に行ったら
案外種類はパターンがいくつかあるんですけど、どうも水が生命線ですから水の周りに建てた、お稲荷様もあるんだけど、水神様というか、何種類かあるみたいだけれどそれ以上調べてない。あとは丸い石が置いてあったりする。ここにもちょっと積んでありますけど。これ(石碑)にはなんて書いてあるんですか?
きよひこさん:これは家の争いごとで長男に後を継がせないとか書いてあって。()
伊藤:ここには土蔵があったんでしたっけ?
きよひこさん:土蔵があって弱くなって勝手に倒れたんで、()土蔵だってちゃんとやると1千万くらいかかるって話なので()
スタッフさん:この囲われているような植木は?(3)
きよひこさん:植木は昔もちの木で、火事にならないようにもちの木を植えている、家の周りにはね。昔は茅葺なんで燃えたんですよ、よく。お風呂場の煙突からちょっと火が出て燃えたり
スタッフさん:ここが角になってるのは
きよひこさん:ここに土蔵があったからそうなっている。土蔵が倒れちゃったんでそのまま。昭和の時戦争で金貸しに、大きい農家をやっていたので土蔵とかに借金のカタで帰ってこないときにはなんか預かりものを入れて置いたり、お米を入れておいたり、大晦日に返しにくるってパターンが多かったっていう話ですよね。
?:我々は土蔵があっても入れるものがない(笑)
スタッフさん:ひんやりして、中に入るしかない(笑)
こうゆう農家でジメジメしているので、昔の書き物はみんな読めないんですよ、よっぽど金持ちであったり、ちゃんとした家でないと読めるのは残ってないですよ。
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https://scrapbox.io/files/61ecff4901dc340020c40dcd.JPG
清彦さんからの聞き取り 茅葺き屋根の母屋を前にして