絶対的に〈他なるもの〉とは、〈他人〉〔Autrui〕である。〈他人〉は私と同列の員数に入ることはない。私が「君」や「私たち」と言う場合の集団は「私」の複数形ではない。そこでの私や君は、ある共通概念に属する個人ではない。所有も、数の統一性〔=単位〕も、概念の統一性も、私を他人に結びつけることはない。共通の祖国の不在が〈他者〉を─〈異邦人〉にする。わが家をかき乱す〈異邦人〉である。しかし、〈異邦人〉とは自由な者という意味でもある