時代はルネ・デカルトを、しかしまたヤーコブ・べーメをも生み出した。前者はスコラ哲学の廃墟の上に人知の壮大な合理的体系を再建しようとし、後者は、世界が神の存在に与るという神秘的なグノーシス主義に逃れようとした。ふたりとも神を信じ、そしてふたりとも、自分から望んだことではなかったが、宗教を弱体化させた。神を自分たちの企てに縛りつけることは泥沼にはまり込むことであったが、そうすることでデカルトとベーメは信仰にとっては困難な明日を用意してしまったのである