何年も前から、彼は匂いを嗅ぎ分ける技術に熟達していた。嗅覚もまた、聴覚や視覚の快楽にひとしい快楽を感じ得るものと思っていたし、生まれつきの素質や専門的な修業の結果によっては、いずれの感覚からも新らしい感動の要素を引き出し、それらを倍加し整理して、ある作品を組み立てることは可能であると言じていた